簿記2級・商業簿記第1問‐仕訳問題対策

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 簿記2級の商業簿記の第1問「仕訳問題」の独学に必要なことを最小限にまとめています。難化した昨今、単純な仕訳は出てこない。反対に、シンプルな問題のときは、「何か仕掛けられていないか」注意する必要がある。解ける問題から解き、難しいのは「後回し」にする目利きは第1問でも必要。主語把握、下線、漢字注意など、仕訳問題の攻略方法も。

ひとくち基本方針

 第1問の仕訳問題では、かつてのような、単純な仕訳はもう出ない、と考えておきます。

 出題者は、問題文に、取引と関係のない数字や語句、用語を“ちりばめて”迷彩を掛けてきたり、キーワードをさらりと挿入してきたりして、かなり“応用を効かせた”設問となっています。

 逆に、シンプルな問題だったら、どこかに「罠」や「見落とし」がないかどうかを、疑っていいくらいで、「脳髄反射」で解答するのは危険です。

 第1問では、常に“何かある”と思って、問題文の1語1語に注意して、出題意図を正確に読み取らなくてはいけません。

 たとえば、「人件費を支払った」だけなら「賃金・給与」でしょうが、「“特別の研究”に従事する従業員に人件費を支払った」とあれば、「研究開発費」となります。

 「機械」もそうで、「“特別の研究”に使う機械を買った」のなら、固定資産の「機械」ではなく、「研究開発費」となります。減価償却の仕訳で、「機械○○円の××円は特別の研究用に使っている」と指定してきそうです。

 文言1つで仕訳は変わるので、本当に丁寧に読まなくてはなりません。

 「簿記2級の独学」で述べていますが、なぜ、はやめに過去問の洗礼を受けないといけないかというと、「1語1語の致命的さ」を知るためです。

 テキストに記載されているキーワードや記述を、読み飛ばしていたり、その重要性を把握していないと、第1問では苦戦します。

 過去問や予想問題集で問題演習をしたら、一度は、テキストを精読しましょう。ぐっと点数が安定するはずです。

解答方針‐ざっくり取る

 仕訳問題ではできるなら満点を取りたいですが、出題によっては、クソややこしいものや実務的な応用問題、解答するのに時間がかかる問題があり、思ったように行きません。

 ですから、「とりあえず、解けるものは解いて、残るは後回し」という姿勢が大事です。

 仕訳問題は、時間をかけて考えて、推論と検証を重ねれば、解答・正解できるものが多いです。

 しかし、あまりに時間をかけ過ぎると、他の問題にしわ寄せが来ます。

 「時間のかかる、ややこしい問題」は、“点数を上乗せするための問題”と認識です。

 すべての問題を解き終えて、つまり、点数の大部分を確保してから、最終得点に上乗せするような感じで、解くのがベストです。

 第1問での、クソややこしい系の問題は、他の問題の解答時間を奪う、「出題者のトラップ」かもしれません。

 「簿記2級の独学」でも述べているように、簿記2級も、簿記1級や税理士の簿記論のように、「完全解答ができない」試験に変わりつつあるので、問題への「目利き」が必要です。

仕訳問題は、主語を、追う

 まず把握すべきは「主語」です。

 問題文を読むときは、常に「主語」に気を付けて、取引の全体像を把握します。

 言うまでもありませんが、「企業」の取引(資産・負債・資本・費用・収益の増減)が、仕訳の対象です。

 「立て替えて“もらっていた”」などの文言があると、立替金を使いたくなりますが、よくよく考えれば、「企業」は何も立て替えてないので、通常の取引の認識となります。

 反対に言うと、出題者のやり口とは、問題文の「主語」をあやふやにして、迷彩をかけてくる・解答の邪魔をする・わかりにくくする、という手合いです。

 出題者の迷彩に気が付いたら、「あ、これ、意味がない」ってな感じで「取り消し線」を引いて“ガン無視”です。

 また、“長い”問題文を読むときは、英語の構文のように、昔なつかしの「SVO」を用います。

 どれが主語で、どれが目的語で、そして、どれが『修飾語』なのかを把握して、問題文の構成をつかめば、「何が、取引に該当しているのか=仕訳対象と計算対象」を、見抜けるはずです。

漢字に注意‐ついウッカリ

 第1問の仕訳問題では、解答に使う勘定科目が指定されています。

 ずばり、漢字に注意です。

 「有価証券」の「券」を、「拳」と書いていたりします。

 見直しの際は、「漢字」が間違っていないか、目を凝らしてください。何気にやらかしています。

 また、当該指定勘定科目以外で解答すると、「×」になる可能性が大です。

 たとえば、有価証券の評価について、「有価証券評価損益」のみが指定されているのに、いつもどおりのクセで、「有価証券評価損」とか「有価証券評価益」で解答すると、問題に指定がある以上、間違いとなる可能性があります。

 実務上、勘定科目は、会社によって微妙に異なり、「当該会社で使われている勘定科目」がきちんと使えるかどうかも、出題の背景にあることを否定できないからです。

 見直しの際は、漢字のみならず、「指定された勘定科目どおり」に書けているかどうかも、チェックしておきます。

第1問の仕訳問題まとめ

 第1問の仕訳問題では、「まず簡単に解ける問題」から手を付け、次いで「よくよく考えて解く問題」に着手します。

 「わからない問題」や「難しい問題」、「実務系の問題」は、「後回し」です。全試験問題を解き終えてから、ぼちぼち手を付けます。そのときに、頭を抱えてください。

 また、第1問の仕訳問題では、定番・頻出の仕訳があります。

 やはり、「仕訳問題」として、出しやすい論点というのはあるものなのです。(とりわけそれが、受験生が引っかかりそうなものであれば、殊更です。たとえば、固定資産や有価証券の売買は、細かい計算が必要なので、計算ミスが大好きのうっかり受験生を存分に“狩れる”はずです。)

 過去問でよく目にする仕訳は、当該仕訳のみならず“その周辺論点”まで、仕上げておきましょう。言うまでもなく、しっかり問題集で反復練習をしておいてください。

 なお、使用教材の詳細は、「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドクサイ人は…、

 テキストは「合格テキスト 日商簿記2級 商業簿記」を、問題集は「合格トレーニング 日商簿記2級 商業簿記」を、過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記2級」にしておけば支障ないです。

簿記2級のこまごましたもの

 簿記2級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記2級:ブログ記事」をばご参考ください。

 そのほか、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」なども役に立つかと思います。

 さらに、「検算のコツ」も知っておくと、磐石でしょう。

 また、簿記2級の求人数等を、「簿記2級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。

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