本問は、『預り金』の応用問題である。2016/2実施の第142回‐第1問の2問目。見慣れぬ社会保険料が登場するが、要領は同じ。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
2.従業員への給料の支払にあたり、給料総額\350,000のうち、本人負担の社会保険料\20,000と、所得税の源泉徴収分\14,000を差し引き、残額を当座預金より振り込んだ。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。
設問を見ていくと、「従業員への給料の支払にあたり給料総額\350,000のうち…略…残額を当座預金より振り込んだ。」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、
借方:給料 ???
貸方:当座預金 ???
…的な仕訳が切れます。
後は、「社会保険料\20,000と、所得税の源泉徴収分\14,000」うんぬんをチョイチョイしていくだけです。
言うまでもありませんが…、
「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。
「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者のこねるときの方です。
あまり目にしない「社会保険料」の処理がありますが、要領は、所得税の源泉徴収と同じです。
「使用勘定語群」を見ると、「所得税預り金」と「社会保険料預り金」があります。
んなもんで、当該2勘定で仕訳を切ります。
給料の支払は、費用の増加の仕訳ですから…、
借方:給料 350,000
…と相なります。
繰り返しますが、本試験では、「使用勘定語群」を必ずチェックしてください。
本問では「給料」が、先の勘定科目群に載っているから、この語句を使います。
試験によっては、使用勘定科目が異なることもあります。たとえば、「賃金」とか「給与」などになっている、という塩梅です。この場合、それぞれで解答しないと「×」になります。
見慣れた馴染みのものほど、チェックがずさんになるので、注意してください。
預り金は、単に、お金を預かっただけなので、後に支払義務があります。「預り金」は「負債」科目です。
負債の増加ですから…、
貸方:社会保険料預り金 20,000
貸方:所得税預り金 14,000
…と相なります。
設問は「差し引き、残額を当座預金より振り込んだ」となっています。そのまま処理するだけです。
残額は、「350000-20000-14000」で「316000」となります。この額を当座預金から決済するので…、
貸方:当座預金 316,000
…と相なります。
答えは…、
…です。
ひとくちコメントです。
本問の「預り金」は、実務事項でもあるので、実によく出ます。しっかり要領を押さえておいてください。
また、ブログの「所得税の源泉徴収税額の納付‐簿記3級仕訳」の方も、お目汚しをば。
ところで、「社会保険料預り金」と「所得税預り金」ですが、単に「預り金」で処理することもあります。
本問では、使用勘定科目群に先の2勘定科目があるので、当該語句で仕訳を切っています。
しかし、科目群にこれら2つがなくて、「預り金」だけしかなかったら、当該「預り金」で仕訳を切ることになります。
貸方:預り金 34,000
…ってな次第です。「34,000」は、言うまでもなく、「20,000+14,000」の合算額です。
本試験では、くれぐれも、『指定された勘定科目』で解答するようにしてください。
1問:減価償却費・・・「ふつう」。
2問:預り金・・・「ふつう」。
3問:貸付金・・・「ふつう」。
4問:未収金・・・「ふつう」。
5問:現金過不足・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
★みんなとシェアする