第142回‐仕訳過去問(2016/2実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『減価償却費』の仕訳。2016/2実施の第142回‐第1問の1問目。減価償却費のごくごく基本の仕訳。ほとんどの受験生は点にします。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第1問‐減価償却費

 ◇問題◇

 1.平成23年1月4日に購入した備品(取得原価\360,000、残存価額ゼロ、耐用年数6年、定額法で計算、直接法で記帳)が不要になったので、本日(平成27年3月30日)に\80,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。なお、決算日は12月31日とし、減価償却費は月割計算する。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。

 設問を見ていくと、「平成23年1月4日に購入した備品…略…に\80,000で売却」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、

 借方:??? ???

 貸方:備品 ???

 …的な仕訳が切れます。

 後は、おなじみ「減価償却費の計上」うんぬんと、決済の「代金は翌月末に受取」うんぬんをチョイチョイしていくだけです。

 言うまでもありませんが…、

 「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者のノミ取りをするときの方です。

ポイント

 おなじみの「固定資産の期中売却」です。

 一気に解答は出来ないので、整理しながら、こちゃこちゃ数字をメモしつつ、最終解答に到りましょう。

当期の減価償却の計算1

 まず、当期の減価償却費を計算します。なぜなら、“忘れやすい”からです。

 問題の指定は、「取得原価\360,000、残存価額ゼロ、耐用年数6年、定額法で計算」です。

 ほいで、償却期間です。

 問題文では、「決算日は12月31日」とあります。ですから、期首は「平成27年1月1日」になるという塩梅です。

 で、備品を売った日は、「平成27年3月30日」です。

 んで、但し書きには、「減価償却費は月割計算する」とあります。

 ですから、1月・2月・3月の「3ヶ月」が、償却期間となります。

 くれぐれも、問題文の「月割計算」を読み飛ばさないでください。

 ここを見落として、日割り計算すると、計算の手間を食う上に、しかも、数字が合わないという、踏んだり蹴ったりな目に遭います。

当期の減価償却費の計算2

 当期の減価償却費の計算に入ります。

 設問は、「取得原価\360,000、残存価額ゼロ、耐用年数6年、定額法で計算」です。

 んなもんで、シンプルに取得原価を耐用年数で割ればよい、つまり、「360,000÷6」の「60000」が1年分(12か月分)の減価償却費となります。

 で、本問での償却期間は「3ヶ月」ですので、「60000×3/12」で「15,000」が、当期計上の減価償却費になります。仕訳は…、

 借方:減価償却費 15,000

 …と相なります。

直接法の処理

 本問の指定は、「備品(取得原価\360,000、残存価額ゼロ、耐用年数6年、定額法で計算、直接法で記帳)」で、物珍しく『直接法』で処理されています。

 直接法では、毎期の減価償却費を、取得原価から直に控除して、表記するやり口です。

 対して、間接法とは、おなじみ「減価償却累計額」で表記するやり口です。

 本問は「直接法」なので、受験生が、いちいち、これまでの減価償却費の総額を計算しなくてはならない問題になっています。出題者は、配偶者なみに陰湿ですね。

 …さて、これまでの減価償却費の総額の計算ですが、単年度は、先に計算したように「60000」でした。

 後は、どんだけ使ったかの「年数」が明らかになれば、事が済みます。

 設問では、購入日:平成23年1月4日で、売却日:平成27年3月30日です。

 当期首は、先に見たように「平成27年1月1日」です。

 んなもんで、備品を購入して、「4年」が経過していることになります。

 このあたりの、年月数の計算が苦手な人は、下の図のように整理するのが、絶対に無難です。

 

 わたしは、必ず、図を書きます。

 さて、「4年」経過ですので、「60000×4」の「240000」が、4年間の減価償却費の総額となります。

 従って、期首の備品の帳簿価額は、「360000-240000」の「120000」と相なります。

 120,000の備品を売ったのですから、資産の減少の仕訳を切るわけで…、

 貸方:備品 120,000

 …と相なります。

損か?益か?

 備品の売却価格は「\80,000」です。

 後は、売却時に、備品にどれだけの金額が付いているか、です。

 取得原価は「\360,000」。

 過去4年間の減価償却費の総額は「240,000」。

 当期の3か月分の減価償却費は「15,000」。

 んなもんで、「360000-240000-15000」の「105000」が、備品の金額です。

 「105000」の価値のある備品が、「\80,000」でしか売れませんでした。

 んなもんで、「80000-105000」で「-25,000」となり、「損」となりました。

 仕訳は…、

 借方:固定資産売却損 25,000

 …と相なります。

代金の受け取り

 備品の売却代金\80,000は、「代金は翌月末に受け取る」とあるので、「未収金」で処理します。

 「未収金」は「資産」なので、資産の増加の仕訳を切ると…、

 借方:未収金 80,000

 …と相なります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 固定資産の期中売却は、このように、計算するところが多いので、出題者の好む論点となっています。何回も解いて、解き方を完全に習得しておいて下さい。

 総合問題でも、ド頻出です。

 さて、勘定科目「未収金」について、述べておきます。

 本問では、使用勘定科目に「未収金」があるので、当該「未収金」で仕訳を切ります。

 参考:本問の使用勘定科目

 しかし、当該「未収金」の代わりに、「未収入金」が使われることもあります。

 解答の際は、使用勘定科目を見て、そこで指定される勘定で解答してください。

 同じ意味合いの勘定科目でも、指定外なら、「×」になる公算が大です。

 ところで、勘定科目の“ゆらぎ”が気になった人は、「簿記検定 許容勘定科目表」で検索を掛けてみてください。

 そうすると、最新年度の許容勘定科目表のPDFが見れるページに行けます。そこで、チェックしてみてください。

 参考:グーグル検索:簿記検定 許容勘定科目表

142回‐第1問:仕訳

 1問:減価償却費・・・「ふつう」。

 2問:預り金・・・「ふつう」。

 3問:貸付金・・・「ふつう」。

 4問:未収金・・・「ふつう」。

 5問:現金過不足・・・「ふつう」。

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