本問は『賃金支払』の仕訳。2012/2実施の第130回‐第1問の3問目。本問は、賃金を支払った際に預った、税金や社会保険料の処理を問う問題です。言うなれば、おなじみの「預り」さんの問題です。ド定番なので、100%できるようになっておきましょう。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
3.当月分の従業員給料総額\3,600,000から、社会保険料\342,600、および、所得税\157,500を控除した残額を現金で支払った。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
本問では、見慣れない社会保険料が登場しますが、要領は、所得税と同じです。
ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。
対して、「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者にきなこ飴をあげるときの方です。
仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。
設問を見ていくと、「当月分の従業員給料総額\3,600,000…現金で払った」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、
借方:給料 ???
貸方:現金 ???
…的な仕訳が切れます。
後は、「社会保険料\342,600、および、所得税\157,500を控除」うんぬんをチョイチョイしていくだけです。
あまり目にしない「社会保険料」の処理がありますが、要領は、所得税の源泉徴収と同じです。
「使用勘定語群」を見ると、「社会保険料預り金」があります。当該「社会保険料預り金」で仕訳を切ることになります。
さて、「社会保険料預り金」ですが、これは、預り金の1種です。
単に、お金を預かっただけなので、後に支払義務があります。んなもんで、「預り金」は「負債」扱いです。
負債の増加なので、仕訳は…、
貸方:社会保険料預り金 342,600
…と相なります。
おなじみの所得税は、大丈夫なはずです。
使用勘定語群を見ると、「所得税預り金」とあるので、これで処理します。
仕訳の要領は、先の「社会保険料預り金」と同じです。
負債の増加なので、仕訳は…、
貸方:所得税預り金 157,500
…と相なります。
「給料」の金額は、\3,600,000です。給料支払は、費用の増加の仕訳ですから…、
借方:給料 3,600,000
…と相なります。
なお、本試験では、「使用勘定語群」を必ずチェックしてください。
本問では「給料」が、先の勘定科目群に載っているから、この語句を使います。
試験によっては、使用勘定科目が異なることもあります。たとえば、「賃金」とか「給与」などになっている、という塩梅です。この場合、それぞれで解答しないと「×」になります。
見慣れたものほど、チェックがずさんになるので、注意してください。
設問は「社会保険料\342,600、および、所得税\157,500を控除した残額を現金で支払った」となっています。そのまま処理するだけです。
残額は、「3,600,000-342,600-157,500」で「3,099,900」となります。現金決済するので…、
貸方:現金 3,099,900
…と相なります。
先の仕訳を合体させると…、
借方:給料 3,600,000
貸方:社会保険料預り金 342,600
貸方:所得税預り金 157,500
貸方:現金 3,099,900
…となります。
答えは…、
…です。
一口コメントです。
本問の「預り金」は、実務事項でもあるので、実によく出ます。しっかり要領を押さえておいてください。
また、ブログの「所得税の源泉徴収税額の納付‐簿記3級仕訳」の方も、お目汚しをば。
ところで、「社会保険料預り金」と「所得税預り金」ですが、単に「預り金」で処理することもあります。
本問では、使用勘定科目群に先の2勘定科目があるので、当該語句で仕訳を切っています。
しかし、科目群にこれら2つがなくて、「預り金」だけしかなかったら、当該「預り金」で仕訳を切ることになります。
本試験では、くれぐれも、『指定された勘定科目』で解答するようにしてください。
1問:内容不明入金・・・「ふつう」。
2問:仕入応用・・・「ふつう」。
3問:賃金支払・・・「ふつう」。
4問:売掛金回収応用・・・「やや難」。
5問:手形割引・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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