本問は『手形割引』の仕訳。2017/2実施の第145回‐第1問の3問目。一口で言えば、本問は知識問題。「手形割引」のときは、「この勘定科目を使う」という決まりを憶えておけば点が取れる。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
3.かねてより得意先より受け取っていた約束手形¥800,000を銀行で割引き、利息相当額を差し引かれて残額を当座預金とした。なお、利息相当額の計算は、利率年0.9%、割引日数は73日、1年は365日で計算する。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。
設問を見ていくと、「約束手形¥800,000を銀行で割引き、利息相当額を差し引かれて残額を当座預金」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、
借方:当座預金 ???
貸方:受取手形 800,000
…的な仕訳が切れます。
後は、利息相当額の「利息相当額の計算は、利率年0.9%、割引日数は73日、1年は365日で計算」うんぬんをチョイチョイしていくだけです。
言うまでもありませんが…、
問題文の「約束手形」ですが、「約束手形」なる勘定科目はありません。約束手形の勘定科目は、「受取手形」を使用します。
ついウッカリして、「約束手形」で仕訳を切らないでください。ごく稀に発生するケアレスミスです。
また、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。
対して、「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者にお手をするときの方です。
先述しましたように、本問は知識問題です。ですから、当該手形割引の処理を知っていないと解けないという塩梅です。
手形割引では、利息相当額は、「手形売却損」で処理します。
んなもんで…、
借方:手形売却損 ???
…ってな仕訳が切られることになります。
本問の肝は以上です。後は細々した計算だけです。
利息相当額は、算数をするだけです。
額面は「800,000」で、利率「年0.9%」、割引日数は「73日」、1年は「365日」ですから…、
800000*0.9%*73/365
…となり、数字は「1,440」と相なります。
当該「1,440」を、「800,000」から引くと、「798,560」となります。
これで答えが出ました。なお、後のほうに、「計算機の打ち方例」があるので参考にしてみてください。
答えは…、
…です。
一口コメントです。
本問の「手形割引」は、「手形売却損」の勘定科目を使います。きっちり憶えてください。よく出ます。
決して、「支払利息」で処理しないように!当該「支払利息」と間違える受験生が多いから、出題者は狙ってくるのです。
さて、利息相当額の計算ですが、本問では、配偶者なみに“やさしいこと”に、「割引日数」を数字で出してくれています。
しかし、試験が難化すると、「日数計算」を課せられる危惧があります。たとえば、「割引日数は5/25から7/10までである」と、月をまたいだ日数の計算を求めてくる、といった次第です。
「にしむくさむらい‐西向く侍で日数計算」などを参考に、日数計算のコツを押さえておいて下さい。
利息相当額を計算する際の、電卓の打ち方です。当方、カシオの「DF-120GT」を使っています。
まず、「M+」です。
「800,000」を入力したら、「M+」を押して、電卓内のメモリに当該数字を保存します。
んで、先のとおりの計算「800000*0.9%*73/365」を行います。
「1,440」が計算できたら、「M-」を押します。
当該「M-」を押すと、メモリに保存された数字と引き算ができるのです。
次いで、「MR」を押せば、液晶には、「798,560」と表示されているはずです。
そう、いちいち、「1,440」をどこぞにメモして、ほいで、再度、計算機に「800000」を入力して「1,440」を引き算する手間が省けた、という次第です。要らぬ手間はしないに限ります。
電卓は、打ち方1つで、劇的に効率が向上します。これを機に、電卓の打ち方に習熟してみてください。
なお、先の操作はカシオ製のものです。ま、ほとんど同じですが、他社の電卓の人は、自分のと読み替えてください。
おまけですが、「0.9%」の入力は、「.」「9」「%」と押すこともできます。
わざわざ、「0」「.」「9」「%」とか、「0.009」などと押さないでいい、ってな寸法です。たった「1キー」の入力が減るだけですが、かなり勝手が違うので、参考にしてみてください。
なお、電卓の打ち方等は、「簿記のコツは計算機(電卓):インデックス」以下を参考にしてみてください。
ところで、念のために言っておきますが、電卓操作前は、「AC:オールクリア?」なり「MC:メモリクリア?」なりを押して、電卓内の記憶領域をきれいにしてください。
1問:自家消費・・・「やや難」。
2問:商品券・他店商品券・・・「ふつう」。
3問:手形割引・・・「ふつう」。
4問:土地の取得原価・・・「やさしい」。
5問:所得税預り金・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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