本問は『自家消費』の仕訳。2013/2実施の第133回‐第1問の3問目。本問は、固定資産税の処理に、自家消費を加えた応用問題です。税金が2つも絡んできますが、要は、「自家消費」の分を、正確に把握して処理するだけです。ちょい混乱しますが、解説のように考えてみてください。仕訳そのものはカンタンです。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
3.店舗兼居住用の建物と土地にかかる固定資産税\168,000と店主の所得税\122,000を現金で納付した。なお、固定資産税のうち、25%については、店主個人居住部分に対するものである。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
固定資産税と所得税の処理と、簿記3級おなじみの論点「自家消費」が合わさった、応用問題です。
少々面食らいますが、落ち着いて解けば大丈夫です。
言うまでもありませんが…、
「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。
「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者をキャベツと和えるときのほうです。
本問のポイントは、『自家消費』部分です。
税金が2つも出てきているので、1つ1つ、ぶっつぶしていきましょう。まずは、固定資産税からです。
支払った固定資産税は\168,000です。
しかし、問題文の『なお書き』には、「固定資産税のうち、25%については、店主個人居住部分に対するもの」とあります。
基本的に、「お店」と「店主個人」とは、帳簿上、関係のないものです。
つまり、お店の帳簿には、「お店」に関係するものしか計上できない、ってな次第です。
「店主個人居住部分」が25%ですから、「お店分」は75%となります。
当該75%のところを、本式の固定資産税として、お店の帳簿に計上します。
残る「店主個人居住部分」の25%のところは、「お店の経営には関係ない」です。
「お店に関係ない」のですから、当該支払いは、「店主の個人的な使い込み」となります。
「個人的な使い込み」は、ごぞんじのように、「自家消費」として処理します。で、当該使い込みの額は、「168,000*0.25」の「42,000」となります。
大事なことを言います。
自家消費の処理は、使う勘定科目に注意しなくてはいけません。
自家消費の処理は、2系統あって、「引出金」か「資本金」の、どっちかの勘定科目で処理します。
使う勘定科目は、指定勘定科目群にあります。んなもんで、どっちが使われているかを確認したうえで、処理します。
自分勝手に仕訳を切ってはいけません。
本問指定の勘定科目群には、「資本金」があって、「引出金」がありません。よって、本問は、「資本金」で処理します。
今後、卑劣な出題者は、「引出金」でも出してくる公算が大です。自家消費の処理は、指定勘定科目群で使い分けることを、しっかり憶えておきましょう。
さて、自家消費の額は「42,000」です。
仕訳は、純資産(資本)の減少なので…、
借方:資本金 42,000
…と相なります。
本問のような固定資産税は、「租税公課」で処理します。
なお、当該「租税公課」は、そのほかに、印紙税や自動車税、負担の重い配偶者税を支払ったときも、当該勘定科目で処理します。
「お店の軽々に関係する分」は75%なので、「168,000*0.75」の「126,000」となります。これが、“本式の”、“経理上、正当な”固定資産税の額です。
仕訳は、費用の増加なので…、
借方:租税公課 126,000
…と相なります。
問題文には、「店主の所得税\122,000」とあります。
そう、当該店主の所得税の支払いは、お店の経営に全く関係がなく、あくまで、店主個人のものです。
んなもんで、所得税の支払いも、「店主個人の使い込み」となります。従って、所得税\122,000を、まるっと自家消費扱いで処理します。
先に見たように、本問では、「資本金」で自家消費の仕訳を切ります。
純資産の減少なので、仕訳は…、
借方:資本金 122,000
…と相なります。
決済は、「現金支払い」と、問題文にあります。
支払額は、「168,000+122,000」の「290,000」です。仕訳は、資産の減少で…、
貸方:現金 290,000
…と相なります。
漸く、駒が揃いました。
先の仕訳を合体すると…、
借方:租税公課 126,000
借方:資本金 42,000
借方:資本金 122,000
貸方:現金 290,000
…と相なります。
後は、重複している「資本金」を整理するだけです。
重複している「資本金」を、合算します。
借方:租税公課 126,000
借方:資本金 164,000
貸方:現金 290,000
…と相なります。これが答えです。
答えは…、
…です。
一口コメントです。
店主個人の所得税の支払いが絡んでくるので、最初は「???」かもしれませんが、問題文を落ち着いて読めば、同じ自家消費で処理することが分かるかと思います。
自家消費は、簿記3級固有の論点なので、本当によく出ます。何回も解いておきましょう。
1問:改定のため削除
2問:改定のため削除
3問:自家消費・・・「ふつう」。
4問:現金過不足・・・「ふつう」。
5問:決算振替仕訳・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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