本問は『支払手形と買掛金』の仕訳。2016/11実施の第144回‐第1問の5問目。仕訳自体はカンタンだが、“なぜ、このように処理するのか”を理解しておく必要がある。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
5.買掛金の支払として\250,000の約束手形を振り出し、仕入先に対して郵送した。なお、郵送代金\500は現金で支払った。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。
設問を見ていくと、「買掛金の支払として\250,000の約束手形を振り出し」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、
借方:買掛金 250,000
貸方:??? ???
…的な仕訳が切れます。
後は、「\250,000の約束手形」うんぬんと、「郵送代金」うんぬんを、チョイチョイしていくだけです。
言うまでもありませんが…、
「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。
「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者の小屋を掃除するときの方です。
仕訳自体はカンタンです。
「買掛金の支払」とあるので、買掛金を減らす処理と…、
「約束手形の振り出し」とあるので、支払手形を増やす処理をすればいいだけだからです。
んなもんで…、
借方:買掛金 250,000
貸方:支払手形 250,000
…と相なります。
設問の「郵送代金\500は現金で支払った」ですが、全く問題ありません。普通の処理をすればいいだけです。
「使用勘定科目群」では、該当する勘定科目には、「通信費」くらいしかありません。
んなもんで…、
借方:通信費 500
貸方:現金 500
…と相なります。
答えは…、
…です。
一口コメントです。
数字だけ見ると、全く変化がないように見えますが、経営の上では、かなり重大な意味を帯びます。
買掛金から支払手形になったというのは、「支払いが、段違いで、きつくなった」ことを意味します。
買掛金は、言うなれば、「ツケ」なので、お願いしたら「待った」をして貰えますし、最悪、支払わなくても、信用を失うだけです。
しかし、事が『手形』となると、状況は一変します。
もし、振り出した支払手形を落とせないと、要は、支払えないと、もうその時点で、商売に致命的な影響が生じます。というのも、一度でも、手形の決済事故をすると「銀行取引停止処分」となるためです。銀行が一切融資しなくなるうえ、銀行が貸した金の回収に入ります。
無論、取引先も、決済を即金で求めるでしょうから、資金繰りは、比較にならないほど、苦しくなります。倒産は時間の問題です。
このように、買掛金と支払手形は、同じ「負債」ですが、「法的な強度」が、恋人と配偶者なみに、異なります。
本問のように、買掛金を支払手形に換えたというのは、言うなれば、(あそこ、やばいんじゃないの?)的に評価され始めた、という次第です。
おそらく、出入りの営業マンが、「すいません、社長。来月から支払いは、手形でお願いできます?」的な申し出をしたはずです。
個人的には、胃の痛くなる仕訳です。
1問:売上戻り・・・「ふつう」。
2問:口座あれこれ・・・「ふつう」。
3問:消耗品・・・「ふつう」。
4問:貸倒れ・・・「ふつう」。
5問:支払手形と買掛金・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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