第144回‐仕訳過去問(2016/11実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『貸倒れ』の仕訳。2016/11実施の第144回‐第1問の4問目。貸倒引当金の出てこない、貸倒処理を問う問題である。普段と違うので、戸惑わないようになっておく。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第4問‐貸倒れ

 ◇問題◇

 4.得意先が倒産し、売掛金\800,000のうち\200,000は、かねて注文を受けた際に受け取っていた手付け金と相殺し、残額は貸倒として処理した。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。

 設問を見ていくと、「得意先が倒産し、売掛金\800,000のうち」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、

 借方:??? ???

 貸方:売掛金 800,000

 …的な仕訳が切れます。

 後は、残りの2つの処理「\200,000は、かねて注文を受けた際に受け取っていた手付け金と相殺し、残額は貸倒」うんぬんをチョイチョイしていくだけです。

 言うまでもありませんが…、

 「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者に小松菜をやるときの方です。

受け取っていた手付け金

 設問の「かねて注文を受けた際に受け取っていた手付け金」ですが、これは、「前受金」で処理します。

 商売の本流(要は、商品売買)での手付金は、「前受金」と「前払金」で処理します。

 本問では、「得意先」や「注文」とあるので、商品売買での手付金であることがわかります。んなもんで、「前受金」です。

 なお、「前受金」「前払金」と似たような勘定科目に、「仮払金」や「仮受金」がありますが、これらは、「概算払い」のときに使用する勘定です。混同しないように。

前受金がしっくり来ない

 「前受金」がピンと来ない人は、当該前受金の受け取り時の仕訳を考えてください。

 お金を受け取ったのですから、穏当に「現金」という「資産の増加」の仕訳を切って、「前受金」で合わせるだけです。んなもんで…、

 借方:現金 200,000

 貸方:前受金 200,000

 …と相なります。

 このように、本問の前提には、上記の仕訳が切られており、負債の欄(貸方)には「前受金200,000」が計上されているってな次第です。

前受金の仕訳

 本問では、回収不能になった売掛金を、当該負債の欄(貸方)に計上されている「前受金200,000」で相殺するわけですが、言うなれば、「前受金200,000」を「減らす・消す」仕訳と相なります。んなもんで…、

 借方:前受金 200,000

 …と相なります。

残額の貸倒分

 本問の問題文には、貸倒の際におなじみの「貸倒引当金」の文言がありません。

 また、「使用勘定科目群」にも、「貸倒引当金」がありません。

 ですから、残額は、そっくりそのまま、「貸倒損失」で処理することになります。残額は「800000-200000」の「600000」ですから従って…、

 借方:貸倒損失 600,000

 …と相なります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 本問は珍しいケースです。「貸倒」がテーマの問題の場合、おおむね、貸倒引当金を交えた処理をするのがセオリーです。

 しかし、本問のように、「貸倒引当金」が出てこない問題もあります。本問で、慣れておきましょう。

 ところで、「貸倒引当金」ですが、計上されている「貸倒引当金」は、前期の売掛金・受取手形が回収不能になった場合に充当します。

 逆を言えば、「貸倒引当金」は、当期で発生した売掛金・受取手形の貸倒には、充当しない、といった次第です。

 期間損益計算上、「こーいう処理」なので、併せて憶えておきましょう。一口で言えば、前期は前期の分で、当期は当期の分で、です。


144回‐第1問:仕訳

 1問:売上戻り・・・「ふつう」。

 2問:口座あれこれ・・・「ふつう」。

 3問:消耗品・・・「ふつう」。

 4問:貸倒れ・・・「ふつう」。

 5問:支払手形と買掛金・・・「ふつう」。

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