本問は『売上』の仕訳。2015/6実施の第140回‐第1問の1問目。本問は、売上の応用問題です。手付金の処理と、「なお書き」の先方負担の発送費の処理があり、そこそこ手間を食います。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
1.得意先新潟商店に商品\162,000(原価\97,200)を売上げ、代金のうち、\30,000は注文時に受け取った手付金と相殺し、残額は月末受取とした。なお、商品の発送費用(先方負担)\5,000を運送会社に現金で立替払いし、掛代金とは区別して計上した。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
注意するところは、「なお」以下の文言をきちんと処理できるかどうか、です。それ以外は普通です。
まずは、メイン取引の「得意先新潟商店に商品\162,000(原価\97,200)を売上げ、代金のうち、\30,000は注文時に受け取った手付金と相殺し、残額は月末受取とした。」から、手を付けて…、
借方:売掛金 ???
借方:手付金??? ???
貸方:売上 162,000
…と、ざっくり仕訳を切ります。
んで、残る「商品の発送費用(先方負担)\5,000を運送会社に現金で立替払いし、掛代金とは区別して計上」をチョメチョメしていきます。
さて、問題文には「\30,000は注文時に受け取った手付金」とありますが、「手付金」の処理は、簿記3級の仕訳問題で、ド定番の論点です。
というのも、勘定科目には「手付金」は使われないからです。問題文から勘定科目が類推できないため、出題者のお気に入りとなっています。また、取引の「前提」を把握できていないと、仕訳が切れないため、不良受験生を一掃できる論点となっています。
さて、商品売買(つまり、本業)で受け取った手付金は、「前受金」で処理します。
つまり、本問の前提には…、
借方:現金 30,000
貸方:前受金 30,000
…という仕訳が、“もう既に”切られていた、といった次第です。
つまり、「前受金」が\30,000、貸方に計上されているといった寸法です。
んで、本問の取引にて「相殺する」とあるので、当該前受金を\30,000減少させる、といった次第です。
ようやく主取引の仕訳が見えてきました。
さて、「売上」の総額は、「162,000」です。
問題文の「商品\162,000(原価\97,200)を売上げ」の「原価\97,200」はフェイクで、出題者が受験生を混乱させるためだけに、差し入れた文言です。無視します。
で、「売掛金」ですが、先の“手付金 \30,000”分を差し引くので、「162,000-30,000」で「132,000」と相なります。
資産の増加、負債の減少、収益の増加ですから、仕訳は…、
借方:売掛金 132,000
借方:前受金 30,000
貸方:売上 162,000
…以上のようになります。
残るは、『なお書き』部分の「なお、商品の発送費用(先方負担)\5,000を運送会社に現金で立替払いし、掛代金とは区別して計上した。」です。
絶対に読み落としてはいけないのは、「商品の発送費用(先方負担)」のところです。
発送費用は、「先方負担」です。つまり、「発送費」で仕訳を切ってはいけない、といった寸法です。
次に、「掛代金とは区別して計上した」と指示があるので、別立てで計上します。なお、付随費用は、“商慣習”の上では、掛代金に含めて処理することもあります。
「立替払い」は、後に払って貰う、一種の債権です。勘定科目には「立替金」があるので、当該科目で資産計上します。
仕訳は、立替金の資産の増加と、現金払いの資産の減少で…、
借方:立替金 5,000
貸方:現金 5,000
…と相なります。
後は、先の仕訳と合体して、ちょこちょこするだけです。
答えは…、
…です。
一口コメントです。
本業の「手付金」は、受け取ったときは「前受金」を、支払ったときは「前払金」で処理します。
当該手付金の処理はよく出るので、テキストで確認しておいて下さい。
あと、本問は、後半の「なお書き」部分をきちんと処理できるかどうかも試されています。
問題文を正確に読んで、解答してください。
1問:売上応用・・・「ふつう」。
2問:旅費交通費・・・「ふつう」。
3問:支払地代・・・「ふつう」。
4問:所得税預り金・・・「ふつう」。
5問:借入金・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
★みんなとシェアする