本問は『固定資産売却』の仕訳。2014/6実施の第137回‐第1問の3問目。本問は、固定資産を売却したときの処理。おなじみ、減価償却の計算の問題です。本問は、難しいところはないので、正確に計算して得点にしましょう。難しく考える必要はない。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。
◇問題◇
3.備品(取得原価\600,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年)を2年間使用してきたが、3年目の期首に\300,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。減価償却費は定額法で計算し、記帳は、間接法を用いている。
◇勘定科目群◇
結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
本問は、難しく考えなければ、即解答できます。
ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。
対して、「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者にイワシをあげるときの方です。
本問のような減価償却費を計算させる問題は、『時間軸』をきっちりさせて、解くようにしましょう。
本問は、償却期間が指定されており、加えて、期首売却なので、“異様に”カンタンですが、難化している昨今では、こんな問題は滅多にでません。
『時間軸』を明らかにしておくと、極端なまでに、間違いが減ります。
んなもんで、本問でも、「よき習慣作りの一環」として、線を引いて、年月日等を記入してから、解答する、ってな塩梅です。
本問の時間軸は…、
…ってな寸法です。
上記線が描けたら、終わったも同然です。
さて、問題文には、「減価償却費は定額法で計算し、記帳は、間接法を用いている」とあります。
「記帳は、間接法」とは、おなじみの「減価償却累計額」で、償却費を計上するやり口です。
本問には、過年度の減価償却累計額が記載されていないので、受験生が自力で計算することになります。
問題文には、「備品(取得原価\600,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年)」とあります。
減価償却費を出すには、単純な算数で、「(600000-0)/5」の「120,000」が、1年あたりの減価償却費となります。
当該金額が、減価償却累計額に計上されます。使用勘定科目を見ると、「備品減価償却累計額」とあるので、その科目を使って集計してきます。
1年目の「備品減価償却累計額」は、「120,000」と、相なります。
1年目と計算は同じです。
「(600000-0)/5」の「120,000」が、2年目の減価償却費となります。
当該金額が、減価償却累計額に加算されます。
2年目の「備品減価償却累計額」は、「120000+120000」で「240,000」と、相なります。
最終的な減価償却累計額は、1年目の120,000と2年目の120,000で、合計「240,000」となります。
当該\240,000が、備品減価償却累計額として、もう既に、貸方に計上されている、ってな寸法です。
さて、本問では、備品を「期首」に売却しています。
つまり、当期の減価償却費を計算しなくてよい、といった塩梅です。
しかし、こんな生ぬるい問題は、難化した簿記3級では、あまり出なくなっています。出るとしたら、「期中売却」で、当期分の減価償却費を計算させるのが主流です。
減価償却費の問題が、本試験で定番なのは、この「当期分の減価償却費」を忘れやすいためです。過年度の減価償却費を出したところで安心してしまい、当期分を忘れる、といった寸法です。
んなもんで、この種のケアレスミスを防ぐ意味でも、当期の減価償却費を、“計算するふり”だけでもしておきましょう。
期首売却なので、月数は「0」。「(600000-0)/5*0/12」で、減価償却費も「ゼロ」です。加算される減価償却累計額も「ゼロ」です。
売却した備品の取得原価は、\600,000でした。
減価償却累計額の合計は「240,000」でした。
売れた額は、\300,000でした。
備品の帳簿上の価値は、「600000-240000」の「360,000」です。
「360,000」の価値があるのに、\300,000でしか売れなかったので、差し引き「60,000」の損と相なります。
使用勘定科目を見ると、「固定資産売却損」とあるので、当該科目で、仕訳を切ることになります。
問題文には、「代金は翌月末に受け取ることにした。」とあります。
使用勘定科目を見ると、「未収金」とあるので、当該科目で、仕訳を切ることになります。
つまり、売却代金の\300,000は、「未収金」で処理する、ってな塩梅です。
これで、ようやく、解答に必要なものが出揃いました。
まず、貸方に計上されている「備品減価償却累計額」\240,000を取り崩します。
負債の減少なので、仕訳は…、
借方:備品減価償却累計額 240,000
…と相なります。
次に、売却損の計上です。先に見たように、売却損が「60,000」出ています。
費用の増加なので、仕訳は…、
借方:固定資産売却損 60,000
…と相なります。
次に、決済の仕訳です。翌月末の受取りの売却代金\300,000は、「未収金」で処理します。
資産の増加なので、仕訳は…、
借方:未収金 300,000
…と相なります。
んで、備品\600,000を売り払ったのですから、資産の減少で、仕訳は…、
貸方:備品 600,000
…と相なります。
すべての仕訳を合体させると…、
借方:備品減価償却累計額 240,000
借方:固定資産売却損 60,000
借方:未収金 300,000
貸方:備品 600,000
…と相なります。
答えは…、
…です。
一口コメントです。
勘定科目の「未収金」ですが、ときおり「未収入金」で登場する可能性があります。注意してください。両方とも同じ意味です。
また、使う頻度が多いのは「未払金」の方です。ついウッカリ「未払金」で処理しそうなので、注意です。
ところで、本問の減価償却は「間接法」ですが、「直接法」で出ても大丈夫なように、テキストを読み込んでおいて下さい。「直接法」とは、減価償却費をそっくり取得原価から控除するやり方です。
1問:当座借越・・・「ふつう」。
2問:租税公課・・・「ふつう」。
3問:固定資産売却・・・「ふつう」。
4問:手形割引・・・「ふつう」。
5問:仮受金・・・「ふつう」。
簿記3級は格段に難化しているので、本格教材を使うのが一番、無難です。
詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、
テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、
問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、
過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学に支障ありません。どれも『ド定番教材』です。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、現在わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。全く支障ありません。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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