第137回‐仕訳過去問(2014/6実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『当座借越』の仕訳。2014/6実施の第137回‐第1問の1問目。本問は、当座借越の処理を問う問題です。少しややこしいところもありますが、落ち着いて考えれば大丈夫。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第1問‐当座借越

 ◇問題◇

 1.先週末に受け取った埼玉商店振り出しの小切手\150,000を当座預金に預け入れた。現在、当座預金の口座残高は\80,000の借り越しとなっている。なお、当店は当座預金勘定と当座借越勘定の2勘定制を採っている。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 注意するところは、「口座残高は\80,000の借り越しとなっている」のところです。

 ここさえわかれば、後はカンタンです。

 ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者に塩ジャケをあげるときの方です。

\80,000の借り越し

 本問のポイントは、「\80,000の借り越し」の理解で、一口で言うと、「口座残高がマイナス80,000」になっている、といった塩梅です。

 テキストにあるように、本問のような「当座借越」とは、口座にお金がなくても、ある一定額までは、銀行が立替払いをしてくれる制度です。

 皆さんがお使いの銀行の「総合口座」も、同じような立替払いの仕組みがあります。高校生さんはピンと来ないかもしれませんが、社会人になれば、公共料金の引き落としでお世話になるはずです。

仕訳で考え、複雑に考えない

 当座借越とは、一種の立替払いなわけですが、つまりは、何らかの支払いがあった、という次第です。

 たとえばですが、本問の前の段階に、電気代\100,000の引き落としがあって、そのとき、口座残高は\20,000だったとします。

 この場合、残高が不足してますから、引き落とし不可なわけです。

 が、「当座借越」契約を結んでいると、不足分は、銀行が立替払いしてくれる、といった次第です。

 引き落とし不可+不足分立替え払いの仕訳を切ると…、

 借方:水道光熱費 100,000

 貸方:当座預金 20,000

 貸方:当座借越 80,000

 …といった寸法です。

 言うなれば、「当座借越」は、銀行からの“超”短期の借入金と考えればOKです。

 ですから、「当座借越」が発生すると、貸方の方に計上されるといった次第です。で、借入的なものですから、「負債」扱い、てな次第です。

 こんな次第で、問題文の「口座残高は\80,000の借り越しとなっている」とは、試験技術的に言えば、既に、貸方に「当座借越 80,000」が計上されている、といった次第です。

小切手の受取

 さて、本問では、小切手を受け取っているのですが、少しだけ勝手が違うので、問題文をよく読んでください。

 問題文には、「先週末に受け取った埼玉商店振り出しの小切手」とあります。

 ごぞんじのように、他店振り出しの小切手は、「現金」で処理します。

 ですから、先週末には…、

 借方:現金 150,000

 貸方:売掛金とか何か 150,000

 …といった仕訳が切られた、といった塩梅です。

 要は、本問の前提として、借方に「現金 150,000」が、既に計上されているってな次第です。

処理1

 ようやく、問題を解くのに必要なものがそろいました。解答作業に入りましょう。

 本問では、受け取った“小切手”を当座預金に預け入れています。

 つまり、「現金」勘定で計上した\150,000を減らす、といった次第です。

 資産の減少ですから、仕訳は…、

 貸方:現金 150,000

 …と相なります。

処理2

 次に、「当座借越」の処理です。

 先に言ったように、「\80,000の借り越し」とは、「当座預金の口座残高がマイナス80,000」になっている状態で、その分だけ、“超”短期の借入をしているってな寸法です。

 預け入れた\150,000の小切手は、まず、このマイナス80,000円に充当されます。

 つまり、既に、貸方に計上されている「当座借越 80,000」を取り崩す、ってな次第です。

 負債の減少なので、仕訳は…、

 借方:当座借越 80,000

 …と相なります。

 これで、当座借越の処理が終わりです。後は、当座預金の残高の計算だけです。

処理3

 元は\150,000の小切手の入金ですが、先に\80,000の当座借越に充当されるので、当座預金に入金される金額は、「150,000-80,000」の「70,000」です。

 資産の増加なので、仕訳は…、

 借方:当座預金 70,000

 …と相なります。

 後は、先の仕訳と合体すれば、解答となります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 本問のポイントは、「当座借越」の意味を理解しているかどうかです。

 間違えた人は、きっちり、テキストを読み込んでおきましょう。

 うまく仕訳が切れなかった人は、「前提として、どんな仕訳が切られているか」の把握に努めてください。前提が分かれば、すっと仕訳が切れます。

137回‐第1問:仕訳

 1問:当座借越・・・「ふつう」。

 2問:租税公課・・・「ふつう」。

 3問:固定資産売却・・・「ふつう」。

 4問:手形割引・・・「ふつう」。

 5問:仮受金・・・「ふつう」。

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