第143回‐仕訳過去問(2016/6実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『源泉所得税』の仕訳。源泉した所得税を支払った場合の処理を問うている。2016/6実施の第143回‐第1問の5問目。本問は、実務事項であるので、よく問われます。きっちり押さえておきましょう。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第5問‐源泉所得税

 ◇問題◇

 5.所轄税務署より納期の特例承認を受けている源泉徴収所得税の納付として1月から6月までの合計額\94,000を、納付書とともに銀行において現金で納付した。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。

 設問を見ていくと、「合計額\94,000を、納付書とともに銀行において現金で納付」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、

 借方:??? ???

 貸方:現金 94,000

 …的な仕訳が切れます。

 後は、「源泉徴収所得税の納付として1月から6月までの合計額\94,000」うんぬんを、チョイチョイしていくだけです。

 言うまでもありませんが…、

 「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者にしょうゆを注すときの方です。

 ところで、問題文の最初の方「所轄税務署より納期の特例承認を受けている源泉徴収所得税の納付として1月から6月まで」うんぬんは、解答に関係のないブラフです。ざっくり読み飛ばしてください。

 配偶者なみに陰険な出題者は、解答に関係のない文言を繰り出して、混乱させようと図ります。汚い手口に引っかからないようにして下さい。

源泉所得税

 事業者は、従業員に給与を支払ったときは、所得税を源泉徴収します。

 たとえば、500,000円の給与を現金で支払い、所得税の源泉額が50,000円だった場合の仕訳は…、

 借方:給与50万

 貸方:現金45万

 貸方:所得税預り金5万

 …と相なります。

 つまり、預かった所得税の源泉額は、「負債(貸方)」に計上されているってな塩梅です。

 本問の場合では、設問の前提として、「負債(貸方)」に、「所得税預り金」が「94,000」あった、という寸法です。

納付書で現金支払

 設問では、\94,000の源泉徴収額を現金納付したとあるので、「負債(貸方)」に計上されている、「所得税預り金 94,000」を減らす(なくす)処理をする、ってな次第です。

 負債の減少の仕訳ですので…、

 借方:所得税預り金 94,000

 …と相なる次第です。

 で、仕訳のお相手は、現金支払ですから、「資産の減少」の仕訳で…、

 貸方:現金 94,000

 …と相なります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 所得税の源泉徴収額は、本問では、「所得税預り金」で処理します。

 その理由は、「使用勘定科目群」には、当該「所得税預り金」しかないからです。

 所得税の源泉徴収額は、当該「所得税預り金」のほか、単なる「預り金」で処理することもあります。

 もし、使用勘定科目群に「所得税預り金」がなくて、「預り金」がある場合は、「預り金」で処理してください。

 使用勘定科目群にない勘定科目で仕訳を切ると、即断で「×」になります。

 使用勘定科目群に目を通して、解答する勘定科目を決めてください。

 なお、ブログ記事の「所得税の源泉徴収税額の納付‐簿記3級仕訳」も、参考にしてみてください。


143回‐第1問:仕訳

 1問:有価証券・・・「やさしい」。

 2問:仕入応用・・・「ふつう」。

 3問:売掛金決済・・・「ふつう」。

 4問:備品と付随費用・・・「ふつう」。

 5問:源泉所得税・・・「ふつう」。

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