第143回‐仕訳過去問(2016/6実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は、『仕入』の応用問題である。2016/6実施の第143回‐第1問の2問目。代金の処理について、きちんと仕訳が切れるかどうかがポイント。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第2問‐仕入応用

 ◇問題◇

 2.仕入先静岡商店に注文していた商品\200,000が到着した。商品代金のうち、20%は手付金として支払い済みなので相殺し、残額は掛とした。なお、商品の引き取り運賃\3,000は着払い(当店負担)なので、運送業者に現金で支払った。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 仕訳問題は、まず第1に、「取引の大きな枠組み」を把握することから始めます。

 設問を見ていくと、「注文していた商品\200,000が到着した」うんぬんが、大枠ってな感じです。この時点で…、

 借方:仕入 ???

 貸方:??? ???

 …的な仕訳が切れます。

 後は、前半の「20%は手付金」うんぬんと、後半の「運賃\3,000は着払い(当店負担)」うんぬんをチョイチョイしていくだけです。

 言うまでもありませんが…、

 「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者の水浴びをするときの方です。

ポイント

 本問は、指示がたくさんあるので、解答を急がず、少しずつ攻めるのが賢明です。

 さて、まずは、手付金から処理しましょう。

商品売買の手付金

 商品売買時の手付金は、「前払金」で処理します。

 設問では、手付金は、「支払済み」となっています。で、金額は「\200,000の20%」ですので、「40,000」の「前払金」が計上されている、ってな次第です。

 つまりは、現時点において、資産(借方)に、「前払金 40,000」が計上されている、といった塩梅です。

 問題文では、当該「前払金」を相殺するとあるので、資産計上されている(借方にある)「前払金」を減らす(消去する)仕訳を切ることになります。んなもんで…、

 貸方:前払金 40,000

 …と相なる次第です。

残額は掛け

 設問の「残額は掛け」は、そのまんまの、いつも通りの買掛金の処理です。

 前払金が40,000ですから、残金は「200000-40000」で「160000」と相なります。んなもんで、買掛金増加の仕訳は…、

 貸方:買掛金 160,000

 …と相なる次第です。

運賃

 運賃\3,000は、『当店負担』となっています。

 さて、仕入時の付随費用はどうしたでしょうか?

 仕入に含めて処理しましたね。んなもんで、当該\3,000は、運賃や送料で処理するのではなく、仕入に加算します。現金払いしているので…、

 借方:仕入 3,000

 貸方:現金 3,000

 …と相なります。

仕入の金額の確定

 やっと、借方の仕入の金額が決まりました。

 前払金の40,000と、買掛金の160000と、運賃分の3,000で、合計「203,000」が仕入となります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 本問のように、複雑な場合だと、一気に答えの仕訳に到達しません。取引を整理しながら、慎重に解いていってください。こういう問題もあるのです。

 ところで、「前払金」ですが、これは、商品の“仕入時”に手付金を支払ったときの勘定科目です。

 「前受金」は、商品の“販売時”に手付金を受け取った際の勘定科目です。

 商売がらみの手付金は、「前払金」と「前受金」を使うので、憶えておきましょう。

 なお、似たような勘定科目に、「仮払金」や「仮受金」がありますが、これらは、「概算払い」のときに使用する勘定です。混同しないように。


143回‐第1問:仕訳

 1問:有価証券・・・「やさしい」。

 2問:仕入応用・・・「ふつう」。

 3問:売掛金決済・・・「ふつう」。

 4問:備品と付随費用・・・「ふつう」。

 5問:源泉所得税・・・「ふつう」。

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