第139回‐仕訳過去問(2015/2実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『固定資産税』の仕訳。2015/2実施の第139回‐第1問の4問目。本問は、固定資産税の処理の応用問題です。「自家消費」の分を、きちんと処理しましょう。ちょい混乱しますが、解説のように考えてみてください。仕訳そのものはカンタンです。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第4問‐固定資産税(+自家消費)

 ◇問題◇

 4.建物に対する固定資産税\100,000を現金で納付した。なお、このうち、40%は店主の住居部分に対するものである。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「やや難」です。

 「自家消費」していることに気が付かないと、正解に辿り着けません。

 言うまでもありませんが…、

 「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者にクリームを塗るときのほうです。

自家消費

 本問のポイントは、『自家消費』を把握することです。

 支払った固定資産税は\100,000です。しかし、問題文の『なお書き』には、「40%は店主の住居部分に対するものである」とあります。

 ここをキチンと処理しないと、点数になりません。

 当該「40%は店主の住居部分に対するものである」は、言い換えれば、「お店の経営には関係ない」という塩梅です。

 「お店に関係ない」のですから、当該支払いは、「店主の個人的な使い込み」となります。

 「個人的な使い込み」は、「自家消費」として処理します。で、当該使い込みの額は、「100,000*0.4」の「40,000」となります。

 当該\40,000の仕訳をどう切るかが、本問の肝です。

自家消費の勘定科目

 大事なことを言います。

 自家消費の処理は、使う勘定科目に注意しなくてはいけません。

 自家消費の処理は、2系統あって、「引出金」か「資本金」の、どっちかの勘定科目で処理します。

 使う勘定科目は、指定勘定科目群にあります。んなもんで、どっちが使われているかを確認したうえで、処理します。

 自分勝手に仕訳を切ってはいけません。

 本問指定の勘定科目群には、「引出金」があって、「資本金」がありません。よって、本問は、「引出金」で処理します。

 今後、卑劣な出題者は、「資本金」で出してくる公算が大です。自家消費の処理は、指定勘定科目群で使い分けることを、しっかり憶えておきましょう。

 さて、自家消費の額は「40,000」です。

 仕訳は、純資産(資本)の減少なので…、

 借方:引出金 40,000

 …と相なります。

固定資産税の勘定科目

 本問のような固定資産税は、「租税公課」で処理します。

 なお、当該「租税公課」は、そのほかに、印紙税や自動車税、配偶者税を支払ったときも、当該勘定科目で処理します。

 先ほど見たように、店主の自家消費が\40,000なので、商売上の正当な経費は、「100,000-40,000」の「60,000」となります。これが、“本式の”、“経理上、正当な”固定資産税の額です。

 仕訳は、費用の増加なので…、

 借方:租税公課 60,000

 …と相なります。

支払い

 決済は、「現金納付」と問題文にあるので、「現金」払いです。

 支払額は\100,000なので、仕訳は、資産の減少で…、

 貸方:現金 100,000

 …と相なります。

考え方

 本問の自家消費が「???」な人は、問題文「建物に対する固定資産税\100,000を現金で納付した。なお、このうち、40%は店主の住居部分に対するものである」を、以下のように、読み換えてみてください。

 「店の固定資産税として、\60,000を現金で支払った。

 「店主が、店の金\40,000を盗んだ。店主は、その金銭で、自宅の固定資産税を払った。

 こんな風に考えると、整理がつくと思います。

 基本的に、「お店」と「店主」は、帳簿上、関係がありません。

 お店に関係のない、店主個人の費用を、お店の帳簿に計上することは、できません。

 固定資産税の支払いも、お店の帳簿に載せないといけないのは、お店の分の固定資産税だけです。

 固定資産税から考えると、頭がモヤモヤしますが、要は、店主の使い込みさえ押さえればよい、という次第です。店主がぱくったお金の使い道は、お店にとって関係ありません。本問では、たまたま、同じ固定資産税を払っただけ、という塩梅です。

 また、貸方の「現金 100,000」のほうにモヤモヤしている人もいるかもしれません。なんで、お店に関係ない支払いなのに現金を減らすの?!ってな寸法です。

 ここは、カンタンに考えます。

 現実上、お店の金庫からは現金\100,000が無くなっているのだから、それをそのまま反映させるだけ、ってな次第です。(10万は国庫に入ってます。)お金の用途うんぬんは、深く考えなくていいです。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 本問は、2つの論点が含まれている、応用問題です。

 1つ目の論点は、固定資産税の支払いには、「租税公課」で処理することです。

 2つ目の論点は、自家消費があった場合は、「引出金(または、資本金)で処理するところです。

 混乱した場合は、1つ1つ処理を念頭に、解答しましょう。


139回‐第1問:仕訳

 1問:手形振出の借入・・・「ふつう」。

 2問:固定資産の購入・・・「ふつう」。

 3問:修理・・・「ふつう」。

 4問:固定資産税・・・「やや難」。

 5問:貸倒れ・・・「ふつう」。

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