第134回‐仕訳過去問(2014/3実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『固定資産売却』の仕訳。2014/3実施の第134回‐第1問の1問目。本問は、固定資産を売却する、おなじみの問題です。当期分の減価償却費の計算と、過年度の減価償却費の計算があり、少しややこしいところもありますが、落ち着いて考えれば大丈夫。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第1問‐固定資産売却

 ◇問題◇

 1.平成21年11月1日に取得した備品(取得原価\240,000、残存価額ゼロ、耐用年数8年、定額法により償却、間接法で記帳)が不要になったので、平成25年5月31日に\80,000で売却し、代金については、翌月末に受け取ることにした。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 当期分と過年度の減価償却費を計算させる問題で、簿記3級のド定番論点です。

 固定資産売却の処理は、本問レベルを、常に想定しておきましょう。これが「ふつう」です。

 ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者を洗うときの方です。

ポイント‐線に時間軸

 本問のような減価償却費を計算させる問題は、『時間軸』をきっちりさせて、解くようにしましょう。

 本問は、先述したように、「当期分」の「減価償却費」を計算させる問題なので、一度、線を引いて、何がいつあったのかを書き込んで、『時間軸』を整理します。

 『時間軸』を明らかにしておくと、極端なまでに、間違いが減ります。

 んなもんで、一度、線を引いて、年月日等を記入してから、解答する、ってな塩梅です。

 本問の時間軸は…、

 

 …ってな寸法です。

 上記線が描けたら、終わったも同然です。

減価償却費

 さて、問題文には、「取得原価\240,000、残存価額ゼロ、耐用年数8年、定額法により償却、間接法で記帳」とあります。

 「記帳は、間接法」とは、おなじみの「減価償却累計額」で、償却費を計上するやり口です。

 本問には、過年度の減価償却累計額が記載されていないので、受験生が自力で計算することになります。

1年目の減価償却費

 問題文には、「取得原価\240,000、残存価額ゼロ、耐用年数8年、定額法により償却、間接法で記帳」とあります。

 そして、絶対に忘れてはいけないのが、取得月です。

 問題文には、「平成21年11月1日に取得した」とあります。

 そして、会計期間は、「1月1日から12月31日」です。

 ですから、指を折って数えれば、1年目の減価償却費は、11月・12月の2か月分だけ、計上する、ってな寸法です。

 んなもんで、減価償却費は、「(240000-0)/8*2/12」の「5,000」が、1年目の減価償却費となります。

 当該金額が、減価償却累計額に計上されます。使用勘定科目を見ると、「備品減価償却累計額」とあるので、その科目を使って集計してきます。

 1年目の「備品減価償却累計額」は、「5,000」と、相なります。

2年目の減価償却費

 計算の要領は、ほぼ同じです。

 「(240000-0)/8」の「30,000」が、2年目の減価償却費となります。

 当該金額が、減価償却累計額に加算されます。

 2年目の「備品減価償却累計額」は、「5,000+30,000」と、相なります。

3年目の減価償却費

 要領は、ほぼ同じです。

 「(240000-0)/8」の「30,000」が、3年目の減価償却費となります。

 当該金額が、減価償却累計額に加算されます。

 3年目の「備品減価償却累計額」は、「5,000+30,000+30,000」と、相なります。

4年目の減価償却費

 要領は、ほぼ同じです。

 「(240000-0)/8」の「30,000」が、4年目の減価償却費となります。

 当該金額が、減価償却累計額に加算されます。

 4年目の「備品減価償却累計額」は、「5,000+30,000+30,000+30,000」と相なります。

当期の減価償却費

 当期の減価償却費を計算します。

 問題文には、「平成25年5月31日に\80,000で売却」とあります。

 期首の1/1から指折り計算すれば、1月・2月・3月・4月・5月で、5か月分の減価償却費を計上することになります。

 んなもんで、減価償却費は、「(240000-0)/8*5/12」の「12,500」が、当期の減価償却費となります。

 仕訳を切ると…、

 借方:減価償却費 12,500

 貸方:備品減価償却累計額 12,500

 …と相なります。

最終的な減価償却累計額

 過年度の「備品減価償却累計額」は、「5,000+30,000+30,000+30,000」です。

 んで、当期で計上される「備品減価償却累計額」は、「12,500」です。

 んなもんで、最終的な減価償却累計額は、「5,000+30,000+30,000+30,000+12,500」で、「107,500」となります。

損得の計算

 売却した備品の取得原価は、\240,000でした。

 減価償却累計額の合計は「107,500」でした。

 売れた額は、\80,000でした。

 備品の帳簿上の価値は、「240,000-107,500」の「132,500」です。

 「132,500」の価値があるのに、\80,000でしか売れなかったので、差し引き「52,500」の損と相なります。

 使用勘定科目を見ると、「固定資産売却損」とあるので、当該科目で、仕訳を切ることになります。

決済

 問題文には、「代金は翌月末に受け取ることにした。」とあります。

 使用勘定科目を見ると、「未収金」とあるので、当該科目で、仕訳を切ることになります。

 つまり、売却代金の\80,000は、「未収金」で処理する、ってな塩梅です。

 これで、ようやく、解答に必要なものが出揃いました。

備品の処理

 まず、貸方に計上されている「備品減価償却累計額」\107,500を取り崩します。

 負債の減少なので、仕訳は…、

 借方:備品減価償却累計額 107,500

 …と相なります。

 次に、売却損\52,500の計上です。費用の増加なので、仕訳は…、

 借方:固定資産売却損 52,500

 …と相なります。

 次に、決済の「未収金」の仕訳です。資産の増加なので…、

 借方:未収金 80,000

 …と相なります。

 最後に、備品の処理です。

 借方計上の「備品」の\240,000を、マルッと減らします。

 資産の減少なので、仕訳は…、

 貸方:備品 240,000

 …と相なります。

 ほいで、忘れてはいけないのが、一番最初に切った、当期分の減価償却費の仕訳です。

 借方:減価償却費 12,500

 貸方:備品減価償却累計額 12,500

 これを、先の仕訳と合体させれば解答です。

合体

 とりあえず合体させます。

 借方は…、

 借方:減価償却費 12,500

 借方:備品減価償却累計額 107,500

 借方:固定資産売却損 52,500

 借方:未収金 80,000

 …です。

 貸方は…、

 貸方:備品減価償却累計額 12,500

 貸方:備品 240,000

 …です。

 重複しているものを相殺消去します。

相殺後

 貸方と借方で重複している「備品減価償却累計額」を相殺消去します。

 借方の「107,500」から、貸方の「12,500」を減らします。「107500-12500」で「95,000」が、最終的な「備品減価償却累計額」です。

 んなもんで、答えは…、

 借方:減価償却費 12,500

 借方:備品減価償却累計額 95,000

 借方:固定資産売却損 52,500

 借方:未収金 80,000

 貸方:備品 240,000

 …と相なります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 難化した簿記3級では、減価償却費の論点は、本問クラスを想定しておきます。何回も解いて、要領をつかんでおいて下さい。

 さて、勘定科目の「未収金」ですが、ときおり「未収入金」で登場する可能性があります。注意して、使用勘定科目を見てください。両方とも同じ意味です。

 ところで、本問の減価償却は「間接法」ですが、「直接法」で出ても大丈夫なように、テキストを読み込んでおいて下さい。「直接法」とは、減価償却費をそっくり取得原価から控除するやり方です。

134回‐第1問:仕訳

 1問:固定資産売却・・・「ふつう」。

 2問:売上応用・・・「ふつう」。

 3問:当座借越・・・「ふつう」。

 4問:通信費・・・「ふつう」。

 5問:訂正仕訳・・・「ふつう」。

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