第132回‐仕訳過去問(2012/11実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は、『固定資産売却』の問題である。2012/11実施の第132回‐第1問の2問目。本問は、おなじみ固定資産売却の処理について問われています。本問は、難しいところはないので、正確に計算して得点にしましょう。難しく考える必要はない。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第2問‐固定資産売却

 ◇問題◇

 2.備品(取得原価\800,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年)を2年間使用してきたが、3年目の期首に\400,000で売却し、代金は売却先振り出しの小切手で受け取った。減価償却費は、定額法で計算し、記帳は間接法を用いている。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 カンタンな方の固定資産売却問題です。当期の減価償却費を計算しなくていいので、楽です。

 ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者に塩麹を塗るときの方です。

ポイント‐線に時間軸

 本問のような減価償却費を計算させる問題は、『時間軸』をきっちりさせて、解くようにしましょう。

 本問は、償却期間が指定されており、加えて、期首売却なので、“異様に”カンタンですが、難化している昨今では、こんな問題は滅多にでません。

 『時間軸』を明らかにしておくと、極端なまでに、間違いが減ります。

 んなもんで、本問でも、「よき習慣作りの一環」として、線を引いて、年月日等を記入してから、解答する、ってな塩梅です。

 本問の時間軸は…、

 

 …ってな寸法です。

 上記時間軸が描けたら、終わったも同然です。

減価償却費

 さて、問題文には、「減価償却費は、定額法で計算し、記帳は間接法を用いている。」とあります。

 「記帳は、間接法」とは、おなじみの「減価償却累計額」で、償却費を計上するやり口です。

 本問には、過年度の減価償却累計額が記載されていないので、受験生が自力で計算することになります。

1年目の減価償却費

 問題文には、「備品(取得原価\800,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年)」とあります。

 減価償却費を出すには、単純な算数で、「(800000-0)/5」の「160,000」が、1年あたりの減価償却費となります。

 当該金額が、減価償却累計額に計上されます。使用勘定科目を見ると、「備品減価償却累計額」とあるので、その科目を使って集計してきます。

 1年目の「備品減価償却累計額」は、「160,000」と、相なります。

2年目の減価償却費

 1年目と計算は同じです。

 「(600000-0)/5」の「160,000」が、2年目の減価償却費となります。

 当該金額が、減価償却累計額に加算されます。

 2年目の「備品減価償却累計額」は、「160000+160000」で「320,000」と、相なります。

最終的な減価償却累計額

 最終的な減価償却累計額は、1年目の160,000と2年目の160,000で、合計「320,000」となります。

 当該\320,000が、備品減価償却累計額として、もう既に、貸方に計上されている、ってな寸法です。

期首売却-計算するふり

 さて、本問では、備品を「期首」に売却しています。

 つまり、当期の減価償却費を計算しなくてよい、といった塩梅です。

 しかし、こんな生ぬるい問題は、難化した簿記3級では、あまり出なくなっています。出るとしたら、「期中売却」で、当期分の減価償却費を計算させるのが主流です。

 減価償却費の問題が、本試験で定番なのは、この「当期分の減価償却費」を忘れやすいためです。過年度の減価償却費を出したところで安心してしまい、当期分を忘れて失点、といった寸法です。

 んなもんで、この種のケアレスミスを防ぐ意味でも、当期の減価償却費を、“計算するふり”だけでもしておきましょう。

 期首売却なので、月数は「0」。「(800000-0)/5*0/12」で、減価償却費も「ゼロ」です。加算される減価償却累計額も「ゼロ」です。

損得の計算

 売却した備品の取得原価は、\800,000でした。

 減価償却累計額の合計は「320,000」でした。

 売れた額は、\400,000でした。

 備品の帳簿上の価値は、「800000-320000」の「480,000」です。

 「480,000」の価値があるのに、\400,000でしか売れなかったので、差し引き「80,000」の損と相なります。

 使用勘定科目を見ると、「固定資産売却損」とあるので、当該科目で、仕訳を切ることになります。

決済

 問題文には、「代金は売却先振り出しの小切手で受け取った」とあります。

 他店振り出しの小切手は、「現金」で処理します。

 つまり、売却代金の\400,000は、「現金」で処理する、ってな塩梅です。

 これで、ようやく、解答に必要なものが出揃いました。

仕訳を切る

 まず、貸方に計上されている「備品減価償却累計額」\320,000を取り崩します。

 負債の減少なので、仕訳は…、

 借方:備品減価償却累計額 320,000

 …と相なります。

 次に、売却損の計上です。先に見たように、売却損が「80,000」出ています。

 費用の増加なので、仕訳は…、

 借方:固定資産売却損 80,000

 …と相なります。

 次に、決済の仕訳です。小切手で受け取った売却代金\400,000は、「現金」で処理します。

 資産の増加なので、仕訳は…、

 借方:現金 400,000

 …と相なります。

 んで、備品\800,000を売り払ったのですから、資産の減少で、仕訳は…、

 貸方:備品 800,000

 …と相なります。

 すべての仕訳を合体させると…、

 借方:備品減価償却累計額 320,000

 借方:固定資産売却損 80,000

 借方:現金 400,000

 貸方:備品 800,000

 …と相なります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 ひとくちコメントです。

 本問の減価償却は「間接法」ですが、「直接法」で出ても大丈夫なように、テキストを読み込んでおいて下さい。「直接法」とは、減価償却費をそっくり取得原価から控除するやり方です。


132回‐第1問:仕訳

 1問:貸付金・・・「ふつう」。

 2問:固定資産売却・・・「ふつう」。

 3問:固定資産購入・・・「ふつう」。

 4問:返品・・・「ふつう」。

 5問:手付金・・・「ふつう」。

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