第131回‐仕訳過去問(2012/6実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『売上応用』の仕訳。2012/6実施の第131回‐第1問の5問目。本問は、売上の応用問題です。手付金の処理と、「なお書き」の先方負担の発送費の処理があり、そこそこ手間を食います。仕訳の切り方の要領や手順、注意事項など。憶え方、まとめページへのリンクもある。

第5問‐売上応用

 ◇問題◇

 5.得意先山梨商店より注文のあった商品\200,000(原価160,000)を発送し、代金のうち\40,000は、同店より注文を受けた際に受け取っていた手付金と相殺し、残額は掛とした。なお、先方負担の送料\3,000は、運送業者に現金で支払った。(送料は、掛代金に含めないこと)。

 

 ◇勘定科目群◇

 

解説

 結論から言うと、「答えの仕訳はこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 注意するところは、「なお」以下の文言をきちんと処理できるかどうか、です。それ以外は普通です。

 言うまでもありませんが…、

 「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 「貸方」は「右がわ」で、ナイフやお箸を持ったり、配偶者にビッグカツをあげるときの方です。

ざっくり大枠を

 まずは、メイン取引の「得意先山梨商店より注文のあった商品\200,000(原価160,000)を発送し、代金のうち\40,000は、同店より注文を受けた際に受け取っていた手付金と相殺し、残額は掛とした」から、手を付けましょう。

 ざっくりでいいので…、

 借方:売掛金 ???

 借方:手付金??? ???

 貸方:売上 200,000

 …と、こんな風に、仕訳を切ります。

 んで、残る「先方負担の送料\3,000は、運送業者に現金で支払った。(送料は、掛代金に含めないこと)」をチョメチョメしていきます。

ド定番論点:手付金

 さて、問題文には「\40,000は…注文を受けた際に受け取っていた手付金」とありますが、「手付金」の処理は、簿記3級の仕訳問題で、ド定番の論点です。

 というのも、勘定科目に「手付金」が使われないからです。問題文から勘定科目が類推できないため、出題者のお気に入りとなっています。また、取引の「前提」を把握できていないと、仕訳が切れないため、不良受験生を一掃できる論点となっています。

 さて、商品売買(つまり、本業)で受け取った手付金は、「前受金」で処理します。

 つまり、本問の前提には…、

 借方:現金 40,000

 貸方:前受金 40,000

 …という仕訳が、“もう既に”切られていた、といった次第です。

 つまり、「前受金」が\40,000、貸方に、計上済み、といった寸法です。

 んで、本問の取引にて「相殺する」とあるので、当該前受金\40,000を取り崩す、といった次第です。

取引の仕訳

 「売上」の総額は、「200,000」です。

 収益の認識なので、仕訳は…、

 貸方:売上 200,000

 …と、相なります。

 次に、「売掛金」の処理です。

 問題文には、「\40,000は、同店より注文を受けた際に受け取っていた手付金と相殺し、残額は掛とした」とあります。

 んなもんで、「売掛金」は、“手付金 \40,000”分を差し引いた「200,000-40,000」で「160,000」になります。

 資産の増加なので、仕訳は…、

 借方:売掛金 160,000

 …と、相なります。

 そして、貸方に既計上の「前受金」を取り崩すので、仕訳は…、

 借方:前受金 40,000

 …となります。

残る、発送費用の立替払い

 残るは、『なお書き』部分の「先方負担の送料\3,000は、運送業者に現金で支払った。(送料は、掛代金に含めないこと)」です。

 絶対に読み落としてはいけないのは、「先方負担」のところです。

 発送費用は、「先方負担」です。つまり、当店にて、「発送費」等で仕訳を切ってはいけない、といった寸法です。

 次に、「送料は、掛代金に含めないこと」と指示があるので、別立てで計上します。

 当該支払いは、「立替払い」なので、「立替金」で処理します。

 仕訳は、資産の増加と、資産の減少で…、

 借方:立替金 3,000

 貸方:現金 3,000

 …と相なります。

合体

 後は、先の仕訳と合体します。

 借方:売掛金 160,000

 借方:前受金 40,000

 借方:立替金 3,000

 貸方:売上 200,000

 貸方:現金 3,000

 …以上が、解答になります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 一口コメントです。

 問題文の「原価\160,000」はフェイクで、出題者が受験生を混乱させるためだけに、差し入れた文言です。無視します。

 本業の「手付金」は、受け取ったときは「前受金」を、支払ったときは「前払金」で処理します。

 当該手付金の処理はよく出るので、テキストで確認しておいて下さい。

 あと、本問は、後半の「なお書き」部分をきちんと処理できるかどうかも試されています。

 問題文を正確に読んで、解答してください。


131回‐第1問:仕訳

 1問:改定のため削除

 2問:地代支払・・・「ふつう」。

 3問:借入金返済・・・「ふつう」。

 4問:所得税預り金・・・「ふつう」。

 5問:売上応用・・・「ふつう」。

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