甲種公式過去問解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 危険物取扱者 甲種の公式過去問の第5問目の解説。第5問は、おなじみ「消火器」を問う問題です。個々の類の性質によって、使える消火器は異なります。実によく出る論点です。分量は数ページなので、抜群の費用対効果です。きっちり押えて、1点としましょう。

5問‐消火器

 

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難易度コメント+こたえ

 本問のレベルは「ふつう」です。

 本問の答えは、「こちら(番号のみ)」です。

解説

 「消火器」ですが、それぞれの消火器の「効果」を押さえ、そして、それぞれの類の消火方法を覚えていれば、解けます。

 なお、本問は、「出題ミス」の問題です。厳密に言うと誤りな選択肢が多く、本試験なら全員が1点くれるくらい、“杜撰な作り”となっています。

 出題者の意図を汲み、臨機応変に臨んでください。

 まあ、明らかに間違いの選択肢があるので、正解には辿り着けます。

選択肢1

 選択肢1の「二酸化炭素消火器」ですが、当該消火器は、主に「窒息効果」と「冷却効果」で消火します。

 第4類危険物に「○」が付いていますが、「窒息効果」と「冷却効果」は、4類の火災に有効です。よって、正しいです。

 第5類危険物は、「無記入」ですが、正しいです。二酸化炭素消火器は、5類の火災には使えません。

 ごぞんじのように、第5類危険物は「自己反応性物質」で、分子内の酸素を含んでいます。

 よって、「窒息効果」に意味がない、といった次第です。

 第6類危険物も、「無記入」ですが、正しいです。二酸化炭素消火器は、6類の火災には使えません。

 6類の危険物は、「酸化性固体」です。火災の際は、酸素がどんどこ出ているわけですから、「窒息効果」では、火災に無効です。

 よって、選択肢1に、誤りはありません。

選択肢2

 選択肢2の「強化液消火器(霧状)」ですが、当該消火器は、主に「冷却効果」と「抑制効果(不触媒効果)」で消火します。

 当該霧状の強化液消火器は、水がダメなもの、たとえば、鉄粉や金属粉、禁水性物質以外を除けば、すべての火災に有効な消火器です。

 第4類危険物に「○」が付いていますが、正しいです。

 「冷却効果」と「抑制効果(不触媒効果)」は、4類の火災に有効です。

 なお、4類の火災でダメなのは、油面が広がる「水系」ですが、選択肢では「霧状」なので、使ってOKです。もし、本問の消火器が「強化液消火器(棒状)」だったら、「×」となります。

 次に、第5類危険物ですが、「○」となっています。これは、正しいです。

 5類の火災は、基本的に、「水」による「冷却消火」です。よって、「強化液消火器(霧状)」が有効となります。

 次に、第6類危険物に「○」が付いていますが、これも、正しいです。

 6類の火災も、基本は、「水」による「冷却消火」です。よって、「強化液消火器(霧状)」が有効となります。

 ここまできて、アレレとなった人もおられるかと思います。

 そう、水系の消火器がダメな第5類の「アジ化ナトリウム」と、第6類の「ハロゲン間化合物(三フッ化臭素や五フッ化臭素など)」があるけど…、ってな次第です。

 本問には、先の「アジ化ナトリウム」や「ハロゲン間化合物」の「注記」がないため、たとえば、アジ化ナトリウムは除く等の記載がないため、判別に迷ってしまいます。

 本問は、ほぼ出題ミスです。しかしながら、他の選択肢に、明らかな間違いのものがあるので、そのあたりで判断してください。

選択肢3

 選択肢3の「水消火器(棒状)」ですが、当該消火器は、主に「冷却効果」で消火します。

 第4類危険物は、「無記入」ですが、正しいです。

 4類の火災でダメなのは、油面が広がる「水系」の消火器です。よって、「無記入」で正しいです。

 第5類危険物に「○」が付いていますが、正しいです。

 5類の火災は、基本的に、「冷却消火」です。大量の水で消火します。よって、「水消火器(棒状)」が有効となります。

 第6類危険物に「○」が付いていますが、正しいです。

 6類の火災も、基本は、「水」による「冷却消火」です。よって、「水消火器(棒状)」が有効となります

 なお、本問には、第5類の「アジ化ナトリウム」と、第6類の「ハロゲン間化合物(三フッ化臭素や五フッ化臭素など)」についての記載(注記)がないため、出題ミスかと思われます。

 当該アジ化ナトリウムと、当該ハロゲン間化合物は、水消火器や泡消火器などの「水系の消火器」は、使ってはいけません。

 このため、本問は、判別に迷ってしまいますが、他の選択肢に、明らかな間違いがあるので、そのあたりで判断してください。

選択肢4

 選択肢4の「泡消火器」ですが、当該消火器は、主に「冷却効果」と「窒息効果」で消火します。

 第4類危険物に「○」が付いていますが、正しいです。

 4類の火災には、「冷却効果」と「窒息効果」は、有効です。

 第5類危険物に「○」が付いていますが、正しいです。

 先も見たように、5類の火災は、基本的に、「水」による「冷却消火」です。よって、水系の泡消火器も有効です。

 第6類危険物に「○」が付いていますが、正しいです。

 6類の火災も、基本は、注水による「冷却消火」です。よって、水系の泡消火器が有効です。

 なお、本問には、第5類の「アジ化ナトリウム」と、第6類の「ハロゲン間化合物(三フッ化臭素や五フッ化臭素など)」についての記載(注記)がないため、出題ミスかと思われます。

 当該アジ化ナトリウムと、当該ハロゲン間化合物は、水消火器や泡消火器などの「水系の消火器」は、使ってはいけません。

 このため、本問は、判別に迷ってしまいますが、他の選択肢に、明らかな間違いがあるので、そのあたりで判断してください。

選択肢5

 選択肢5の「粉末消火器(りん酸塩類等)」ですが、当該消火器は、主に「抑制効果(不触媒効果)」と「窒息効果」で消火します。

 第4類危険物は、「○」ですが、正しいです。

 4類の火災に、「抑制効果(不触媒効果)」と「窒息効果」は有効なので、「粉末消火器(りん酸塩類等)」は使用可能です。

 次に、第5類危険物に「○」が付いていますが、これは、誤りです。

 先も見たように、第5類危険物は「自己反応性物質」で、分子内の酸素を含んでいるため、「窒息効果」が効きません。よって、第5類危険物に、「粉末消火器(りん酸塩類等)」は使えない、と相なります。

 次に、第6類危険物は、「無記入」ですが、正しいです。

 6類の火災も、基本は、注水による「冷却消火」です。よって、「抑制効果(不触媒効果)」と「窒息効果」しかない「粉末消火器(りん酸塩類等)」は効きません。よって、「無記入」が正しい記載となります。

まとめ

 本問は、「誤っているものはどれか?」の問題です。

 よって…、

 正解:5

 …と相なります。

 次の問題へ。

過去問その他の問題

 本問以外の問題は、以下のリンク先にあります。

 通勤・通学中にどうぞ。

法令

 1問:各類性質・・・「ふつう」。

 2問:指定数量・・・「ふつう」。

 3問:予防規定・・・「ふつう」。

 4問:保有空地・・・「ふつう」。

 5問:消火器・・・「ふつう」。

 6問:屋外タンク貯蔵所 防油堤・・・「ふつう」。

 7問:給油取扱所の給油空地・・・「ふつう」。

 8問:仮使用・・・「ふつう」。

 9問:監督処分・・・「ふつう」。

 10問:免状の記載内容・・・「やや難」。

 11問:保安講習・・・「ふつう」。

 12問:移動タンク貯蔵所・・・「ふつう」。

 13問:貯蔵取扱・・・「ふつう」。

 14問:定期点検・・・「ふつう」。

 15問:運搬・・・「ふつう」。

物化

 16問:表面燃焼・・・「ふつう」。

 17問:メタノール燃焼・・・「難」。

 18問:燃焼・・・「ふつう」。

 19問:帯電防止策・・・「ふつう」。

 20問:二酸化炭素消火剤・・・「ふつう」。

 21問:混合物・・・「ふつう」。

 22問:起電力・・・「ふつう」。

 23問:炭化カルシウム純度・・・「難」。

 24問:芳香族化合物・・・「ふつう」。

 25問:全圧・・・「ふつう」。

性消

 26問:性状・・・「ふつう」。

 27問:第2類危険物・・・「ふつう」。

 28問:危険物の性状・・・「ふつう」。

 29問:5類危険物の貯蔵取扱・・・「ふつう」。

 30問:保護液貯蔵・・・「ふつう」。

 31問:3類消火・・・「ふつう」。

 32問:鉄粉火災・・・「ふつう」。

 33問:1類性状・・・「ふつう」。

 34問:硝酸アンモニウム・・・「ふつう」。

 35問:リン化カルシウム・・・「ふつう」。

 36問:黄りん・・・「ふつう」。

 37問:5類性状・・・「ふつう」。

 38問:ジアゾジニトロフェノール・・・「ふつう」。

 39問:硫黄・・・「ふつう」。

 40問:有害気体・・・「ふつう」。

 41問:アセトアルデヒド・・・「ふつう」。

 42問:アニリン・・・「ふつう」。

 43問:硝酸・・・「ふつう」。

 44問:三フッ化臭素・・・「ふつう」。

 45問:過酸化ナトリウム・・・「ふつう」。

アーカイブ

 旧7問(R5):給油取扱所

 旧28問(R5):性質

 旧3問(R4):予防規定

 旧6問(R4):屋外タンク貯蔵所

 旧11問(R4):保安講習

 旧18問(R4):燃焼点

 旧2問(R3):指定数量

 旧10問(R3):危険物保安監督者

 旧29問(R3):黄りん

独学向け教材

 まず、「理系」からです。

 テキストは「 わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 第2版 」を…、

 問題集は「 本試験によく出る!甲種危険物 第3版 」を利用します。

 当該2冊は、「危険物取扱者試験」ではド定番のシリーズで、わたしが受けた試験会場では、半数以上の人が手にしており、あまりの利用率に驚いたくらいです。この2冊を使えば、大丈夫でしょう。

 なお、過去問には、「 甲種危険物取扱者試験 令和6年版 」がありますが、理系の人は、買わなくていいでしょう。

 次に、「文系」です。

 詳細は、「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 過去問は「 甲種危険物取扱者試験 令和6年版 」を…、

 そして、物化が超絶苦手な人は「 甲種危険物受験の為のわかりやすい物理・化学」を使ってください。

 「法令」と「性消」は、乙種のテキストと問題集を再利用します。十分に点が取れます。

 

 おおむね、文系で甲種を受験する人は、わたしのように、受験資格が「4種類(※)」のはずです。テキストと問題集は、「お古」で十分です。わたしは、使い古しのテキストと問題集でざっくり復習し、ほいで、過去問を新たに買ったのですが、これで、9割取れてました。

 ところで、乙4とかのテキストを捨ててしまった人は、ド定番の「 わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 第2版 」を使います。

 問題集は、過去問で代用できるので、よほど不安な人でない限り、要らないです。

 んで、過去問の「 甲種危険物取扱者試験 令和6年版 」は、文系の必須教材です。文系の人は、最新版を必ず購入ください。

PDF過去問の閲覧

 

 PDFの閲覧は、スマホだと画面が小さくて見難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“過去問演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないです。

 手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。他のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDF過去問の閲覧も可能で、費用対効果が秀逸です。

 受験が終わっても、ボイラーや冷凍機械等の試験で使えるし、サブ機としても使えます。2電工を機に「Fire HD」を検討するのも、損はないです。

危険物取扱者のこまごましたもの

 危険物取扱者に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者や消防設備士を他府県受験するときの願書と封筒」などを、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「危険物取扱者:ブログ記事」をばご参考ください。

 試験科目個々の勉強方法は、文系は「甲種:文系の独学」を、理系は「甲種:理系の独学」を一読をば。

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