危険物取扱者 乙種1類(乙1:酸化性固体)の独学に必要なことを最小限にまとめています。合格率、勉強方法、独学向け教材について。危険物の数は「27」。ボリューム大。乙1の合格率は60%後半と高いが、年々下がってきており、受かりにくくなっている。難化傾向は明白。おまけの、甲種受験資格の「乙1と乙6の選択」についても言及。
コロナインフルエンザの動向により、本試験が中止・延期されたり、試験会場が変更されたりしています。
危険物取扱者試験ですが、ご存知のように、「都道府県」ごとに試験が行われます。
そのため、本試験の中止等も、「都道府県」ごとに異なります。
ある県では、通常通り実施されるが、ある県では、延期されたりします。よって、本試験の実施状況は、“一概に言えない”状態となっています。
変更・中止等については、受験生に個別連絡がなされません。
試験1週間前になったら、「公式」を、必ずチェックしてください。
「当方のTwitter」でも、各種告知を行うので、心配な人は、フォローしておいてください。
※ このページは、乙4合格による『試験免除者』が対象です。「乙1」単独で取ろうとする方は、「危険物取扱者 受験ガイド」を一読ください。
さて、結論から言うと、危険物取扱者 乙種1類(乙1)は、独学でも十分に合格可能です。
乙1の合格率は、直近6年の平均で「67.8%」と、高い合格率です。
直近の平成30年度の合格率は、「66.9」でした。なお、その前年の29年が「68.4%」だったので、下げ止まった感があります。
とはいえ、乙1の受験に当たっては、危険物取扱者試験そのものが、「難化傾向」にあることを、頭の片隅に入れてください。高めの合格率ですが、油断していると足元を掬われて、落ちます。
しかし、反対に言えば、テキストと過去問をきっちりと消化していれば、独学でもまず合格できる、といった手合いです。
なお、使用教材は「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドウな人は、テキストは文系向けの「 チャレンジライセンス 乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者テキスト 新訂版 」を、過去問は「 乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者試験 令和7年版 」を利用します。
こんな次第で、実績のある学習環境と、「油断大敵」と「甘く見ない」が、乙種1類の独学合格の要諦です。
試験主催者のWebサイトには、「例題:過去に出題された問題」が掲載されています。
当該例題には、問題と解答はあるのですが、「解説」がありません。そこで、手前味噌ながら解説を付与しました。
例題の全問を、「危険物取扱者 乙種1類(乙1)の公式過去問+解説インデックス」に挙げているので、問題演習の数を稼いでください。
先に結論を言うと、「作業量が多いが、だからこそ安心。」です。
乙1は、「27個」の危険物が試験対象で、乙種の中では、2番目に危険物の数が多いです。つまり、「勉強しなくてはいけないこと」がたくさんある、ってな次第です。
しかし、だからこそ、「本試験が怖くない」のです。
危険物の数が多いと、出題者側は「量的」に攻めることができるので、1問1問の難易度が下がる、といった手合いです。
“逆例”を挙げると、「乙6(酸化性固体)」です。乙6は、危険物が6個しかないため、難問率が異常に高く、解答に実に手を焼きます。そのため、乙6は、「約63%」と、合格率が低くなっています。
対して、乙1ですが、ガチ難問も出ることには出るも、残りの問題は、基礎・基本問題ばかりなので、穏当に合格点を確保できる、ってな次第です。
まとめます。「27個」も危険物もある「乙1」は、そのボリュームに手を焼きますが、それゆえに、勉強すれば間違いなく合格できる、という次第です。
ちなみに、危険物の数が一番多いのは、「乙4」の「30個」です。つまり、一番「性消」がかったるいのは、「乙4」という次第で、この「乙4」に受かっているのですから、「乙1」も大丈夫です。
なお、参考までに、危険物の「数」を挙げていくと、乙1→27個、乙2→12個、乙3→15個、乙4→30個前後、乙5→17個、乙6→6個、となっています。(使用テキストによって、若干、数は変わります。)
言うなれば、乙4がラスボスなら、乙1は中ボスレベルです。
試験の傾向は、乙4と変わらず、「5:5」か「6:4」の問題構成です。
先の数字を補足すると、性消の全問題数「10問」のうち、基礎・基本レベルのカンタン系が5問か6問、点数の取りにくい難問系が5問ないしは4問出題される、という次第です。
カンタン系は、テキストと過去問を仕上げておけば、点が取れます。ほとんど同じ問題だからです。
対して難問系では、テキスト外・過去問外の未知の問題で構成され、全く見聞きしない問題が1~3問、最悪、5問出る可能性があります。まあ、しかし、テキストと過去問レベルの選択肢も多く、全く点数が取れないというわけではありません。
合格のポイントは、「カンタン系で点を稼ぎ、難問系の失点をカバーする」ってな次第です。
さて、乙1の試験勉強ですが、乙4の「性消」と同じです。
乙1だからといって、別段、変わったことをするわけでもなく、極端に試験の傾向が変わるわけではありません。
乙4同様に、各危険物の色や、水に溶ける・溶けないかとか、爆発するかしないとか、各危険物の特色や、個々の消化の方法を憶えていくだけです。
「教材レビュー」にて詳細に述べていますが、読むのがメンドウな人は…、
テキストには、文系でも使えるし、基本問題が多くて挫折の少ない「 チャレンジライセンス 乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者テキスト 新訂版 」を、過去問は、唯一の市販過去問である「 乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者試験 令和7年版 」でそろえれば、鉄壁です。(当該過去問は毎年版が改まるので、必ず『年度』を確かめて、受験年度の適っているかどうかを確かめてください。)
乙1の合格率は高いですが、それでも、危険物取扱者試験自体が難化しているので、テキストに過去問を追加するほうが無難です。
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結論から言うと、「2~3週間」がベストです。
「1週間」でも合格はできますが、強行軍となるので面倒くさいです。
「2週間」あれば、本試験には間に合います。
先述したように、乙1は危険物の数が多いので、試験勉強に手を焼く可能性が高いです。ですから、あと「1週間」を見て、「3週間」としています。「3週間」あれば必要十分で、心に余裕を持って試験に臨めます。
反対に、これ以上の期間だと、逆に「だれる」し、「忘れる」ので、「2~3週間」くらいがちょうどいいと思います。
なお、乙1の論点の大半は、通勤や通学で消化できます。ちょっとした細切れ時間が「いい勉強」になるので、このくらいの期間で大丈夫です。
当方が受験したときは、片道25分程度の通勤時間が勉強時間でした。
一口で言うと、「ちょい手間だが、我慢できないことはない」です。
乙1は、危険物の数が多い上に、ペルオキソほう酸ナトリウムなど、聞き慣れない危険物が多くて、最初は苦労します。
また、乙1の危険物には、独特の特徴が多く、たとえば、「塩素酸ナトリウムは、紙や木、繊維にしみこんで乾燥すると、加熱・衝撃・摩擦で爆発する」とか、「過酸化ナトリウムは、湿った有機物、とりわけ、紙や繊維類に接触すると燃焼し、ときに爆発する」など、それぞれの特徴を押さえるのに、めんどくさい思いをします。
「各危険物の固有事項の多さ」に苦労はしますが、目が点になるほど難しい特徴はないので、時間を取って、少しずつ消化していけば、大丈夫です。
先述したように、本試験では、凝った出題は少数で、知っていれば解けるオーソドックスな問題が多く、難問を数問目にすることはあっても、まず、合格点は確保できる、といった寸法です。
試験勉強は面倒でも、本試験のプレッシャーは低いです。
先述したように、乙4の「性消」でやったことと同じ勉強をすれば受かります。
参考:乙4の独学
要点だけ述べると…、
①最初は、各危険物の1番の特徴だけをおさえる。
②共通するものは、語呂合わせで、まとめて憶える。
③横断学習をする。
…といった次第です。
まあ、まずは、問題を解きながら、各危険物の特徴を押さえていきましょう。
テキストの問題を1回でも解けば、どこをどう憶えていけばいいか、眼目が見えてくるものです。
テキストの問題演習を元に、各危険物の特色や特徴を、少しずつ、頭に入れていくのですが、ここでポイント①です。
一時に憶えようとするのは、独学ではご法度です。少しでいいです。
たとえば、「塩素酸カリウム」なら、「爆発」だけでいいでしょう。(塩素酸カリウムは、少量の強酸で爆発、可燃物・有機物と混じると、少しの刺激で爆発します。)
たとえば、「塩素酸ナトリウム」や「過塩素酸ナトリウム」なら、「潮解性」だけでいいでしょう。
『色』も、特徴がよく出ます。
たとえば、乙種1類の危険物は、大半は白色・無色なのですが、「過マンガン酸カリウム」だと「黒紫色か赤紫色」と、際立った特徴があります。
「重クロム酸アンモニウム」や「重クロム酸カリウム」も、「橙赤色」と色に特徴があるので、まるっと憶えるといいでしょう。
テキストには、危険物の性質がグダグダ羅列されていますが、一番憶えやすいところから手を付けるのが、短期合格+省力合格のコツです。
乙1は、大半が「冷却消化」です。
しかし、ごくまれに「窒息消化」のものがあります。過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化バリウムですが、「過酸化系は窒息」などと、まとめて憶えたほうが効率がいいです。
そのほか、「水に溶ける」「水には溶けない」「お湯には溶ける」「エタノールには溶ける」「エタノールには溶けない」なども、何気に問われるので、個々にまとめてから、憶えるとよいでしょう。
同じ特徴のものは、語呂あわせで憶えてしまいます。
以下は、個人的なくだらない憶え方の一例ですが…、
潮解性があるのは、「塩素酸ナトリウム」「過塩素酸ナトリウム」「三酸化クロム」「メタ過よう素酸」「硝酸ナトリウム」です。
これを、語呂「“塩素酸ナトリウム”が、“買えん”。“散々”、“メタル歌謡”“ショーに生”参加したから」といった感じにまとめてしまいます。
語呂の対応は…、
塩素酸ナトリウム…塩素酸ナトリウム
買えん…“過塩”素酸ナトリウム
散々…“三酸”化クロム
メタル歌謡…“メタ過”よう素酸
ショーに生…“硝酸ナ”トリウム
…といった感じに、語呂を作っていくという次第です。
正直、乙1は、多岐にわたるため、語呂が造りにくいです。とはいえ、1つ1つ憶えるより、語呂合わせのほうが、格段に憶える手間が省けます。
自作の語呂ほど、頭に残ります。語呂合わせ作りも、立派な試験勉強の1つです。
問題演習をして、主要な論点、頻出論点をまずは押さえます。序盤は1個くらいでいいです。
で、問題演習ではカバーできないところは、何度もテキストを読み込んだり、語呂合わせや横断まとめで、頭に入れていきます。
乙1は、難化傾向にあるとはいえ、先に紹介した「 チャレンジライセンス 乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者テキスト 新訂版 」と「 乙種1・2・3・5・6類危険物取扱者試験 令和7年版 」を、2~3回解いていれば、まず、落ちることはないでしょう。
乙4同様に、乙1も「回数」で合格です。
毎年合格率は下がっていますが、それでも「60%」台であり、きちんと勉強したならまず、合格点の6割は確保できます。
油断せず勉強すれば、「乙1」に落ちることはまずないし、1回の受験で独学合格できるはずです。
乙1は、甲種の受験資格の獲得のため、取る人が多いです。
乙種のうち、特定の4つを持っていると、甲種の受験資格になります。
ちなみに、甲種の受験資格とは、『乙3と乙5が固定で、(乙1 or 乙6)、(乙2 or 乙4)』の4乙種です。
そこで、乙1か乙6を選択することになるのですが、個人的には、「乙1」のほうを勧めます。
理由は、乙1は、勉強すれば間違いなく合格できるからで、乙6は、多少、運の要素があるから避けたいのです。
乙1は、先述したように、危険物の数は「27個」あります。対して、乙6の危険物は、「6個」しかありません。
数字だけすると、乙6のほうがカンタンそうですが、本試験の実情は、そうではないのです。
乙6は、出題の対象が「6個」しかないため、問題が難化しやすいのです。
要は、試験間の調整が働く、といった次第です。
他の乙種は最低でも10個以上の危険物があるのに、乙6だけは、「6個」と極端に少なく、それだけ、試験勉強の負担が軽くなっています。
それなのに、乙6がいつもどおりの出題では、乙種間の試験に大きな差が生まれて、不公平です。
このため、試験勉強の負担(=試験対象の危険物の数)に応じて、本試験問題の難易度を変えている、ってな次第です。
わたしは、乙1と乙6の双方を受験していますが、本試験は、圧倒的に乙6のほうに手を焼きました。
わたしが受けた乙6では、テキストで触れられていないことが多数問われて、往生しました。6割得点のギリギリ合格でした。
対して、乙1では、ベーシックな「いつもどおりの」出題が多く、1問1問の難易度は低かったです。8割取れていました。
ちなみに乙6は、乙種の中で合格率が低いほうです。
まとめると…、
1回の試験で確実に受かりたい人は、乙1がよいでしょう。試験問題はベーシックなので、勉強すれば、「自力」で合格点は取れます。また、甲種受験の予習にもなります。
運否天賦でもいいという方や、勉強時間があまり取れない方は、乙6です。難問調整されるとはいえ、試験問題の半分は基礎・基本レベルなので、合格は可能です。
乙種に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者や消防設備士を他府県受験するときの願書と封筒」などを、ブログにも投稿しています。
興味のある方は、「危険物取扱者:ブログ記事」をばご参考ください。
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