「危険物取扱者 乙種4類(乙4)」の独学合格を目指す人に、「性消(危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法)」の勉強方法を説述する。「性消」の優先順位やヒント、コツ、捨て問リストを掲載しており、短期間で実力の養成が可能となる。
危険物取扱者の乙種4類(乙4)の「性消(危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法)」ですが、ちゃんと、テキストと過去問を消化すれば、まったく問題はありません。
「性消」で落ちる人は、少数です。
文系・理系とも、ふつうに勉強すれば、合格ラインを突破できます。
「性消」は、傾向がはっきりしているので、先に、「捨て問リスト」や「優先順位」に目を通してみてください。即、役立つかと思います。
後半の「コツ」や「ヒント」は、ある程度、勉強が進んでから、暇つぶしで見てください。
本ページで言うテキスト・過去問は、 「チャレンジライセンス 新訂版」と「乙種4類 危険物取扱者試験」 を想定しています。
文系・理系ともども、「一番やりやすい」との評を受けています。この2冊を念頭に、読み進めてください。
なお、他の科目の勉強方法については、「勉強方法:法令」、「勉強方法:物化」を、参考願います。
では、以下、本編に入ります。
「性消」ですが、基本的に、「暗記と記憶」の作業です。
文系は、品名に馴染みがないため、最初は苦労しますが、配偶者のように、すぐに慣れます。
理系も、化学専攻以外なら、手を焼きますが、配偶者のように、すぐに諦めがつきます。
文系・理系ともども、「性消」の勉強負担に、「大差」ありません。
乙4には、「33個前後」の危険物がありますが、全部が全部を、ガチ暗記する必要はありません。
「性消」には、優先順位があります。
「需要(実需)のある危険物」と「危険な危険物」ほど、本試験で問われます。
逆を言うなら、「需要がそんなにない危険物」や「あまり危険ではない(そう簡単に燃えない)危険物」は、手を抜いてもよい、という次第です。
すべての危険物を、均一に勉強する必要はないので、まずは、この点を、頭に刻んでください。
「性消」の試験勉強で最優先すべきは、「ガソリン」「灯油」「軽油」「重油」といった、需要(実需)のあるものです。
ぶっちゃけ、乙4は、これら4つの危険物のためにある、といって過言ではありません。
「ガソリン」は、テキストや過去問に載っていることは、引火点・発火点・燃焼範囲はもとより、色や臭いや静電気、有毒性等々、細かいところまで、“すべて”憶えます。
下の画像は、典型的な「ガソリン」の出題です。
「ガソリン」は、テキストに載っていることは、「すべて出る」と踏んでいてください。
(こんなん出ないだろう)と思うものほど、出ています。すべて狙われているので、ガチ暗記が必要です。
次に、「灯油」「軽油」は、ガソリンほどではないですが、それでも、細かいところまで押さえておくべきです。
特に、ド頻出の引火点・発火点等は、ガチ暗記が必要です。
参考までに、例題の「灯油」を、挙げておきます。
最後の「重油」は、重要性は落ちますが(燃え難いので)、第3石油類の筆頭のためか、かなりの頻度で出題されます。よって、頻出論点・重要論点は、押さえておくべきです。
参考までに、「丙種の重油の例題」を、挙げておきます。
本試験では、これら「ガソリン」「灯油」「軽油」「重油」が出ないときはないので、まずもって、これらを優先します。特に、「ガソリン」は、最優先です。
先述したように、本試験では、危険なものほど問われ、そうでないものほど問われません。
結論から言うと、「特殊引火物」→「第1石油類」→「アルコール類」→「第2石油類」→「第3石油類」→「動植物油類類」といった感じに、優先していけばよい、といった寸法です。
言うまでもなく、乙4危険物のなかで、最も危険なのは、「特殊引火物」です。
んなもんで、まずは、「特殊引火物」の危険物を、最優先します。
昨今の乙4は、難化傾向にあるため、当該「特殊引火物」の細かい性質が、実によく問われています。
たとえば、「アセトアルデヒド」ですが、「容器に、銅、銅合金、銀を使用してはならない」といった、細かい性質が出題されています。
そのほかにも、「ジエチルエーテル」で、「静電気が発生しやすい」が出題されていました。
「二硫化炭素」は、いわずもがな、「発火点・・・90度」「水中保存」が、ガチでよく出ています。
「特殊引火物」の各危険物は、「ガソリン」と同じくらい、細かい性質まで、押さえておくべきです。
んで、危険な「第1石油類」「アルコール類」も、「特殊引火物」に倣って、細かいところまで押さえておきます。
最近では、「アセトン」や「ピリジン」なども、試験で問われるようになってきました。
残る「第2石油類」と「第3石油類」ですが、ぶっちゃけ、個々の危険物の代表的な論点を、2~3個、押さえておくだけでいいです。
たとえば、「重油は、水に浮く」とか、「兄は、臭い(アニリンは不快臭あり)。兄は、緊張で褐色(栗色)になる(光・空気で変色)。兄は、人目にさらされると赤紫になる(サラシ粉で赤紫に変色)。」といった感じに、押えていくってな塩梅です。
最後の「動植物油類類」ですが、「酸化熱による自然発火」くらいを憶えて、過去問を解いておけば、OKです。(そもそも、動植物油類類は、試験に出ない方が多いです。)
こんな風に、「危険なもの」ほど、細かく、丁寧に押さえ、そうでなくなるにつれて、ざっくり・てきとー・いい加減といった感じに押えていく、といった寸法です。
手前味噌ながら、「性消」の勉強に当たっては、このページをよく読んでください。
「性消」には、眩暈がするほど、莫大な特徴・数字・語句があるため、その全てを憶えようとすると、配偶者並の“嫌気”が生じます。
「性消」は、ある程度、勉強方法が確立されています。
以下に述べる、3つのヒントと、3つのコツを把握してから、本腰を入れてください。
徒手空拳で臨むより、圧倒的に、効率が良くなるはずです。
「性消」は、「問題演習」です。
ぶっちゃけ言うと、「問題を解きながらの方が憶えやすい」です。
「性消」には、テキストでガチ暗記しなくてはならないものもありますが、問題を解くうちに憶えてしまうものも、数多くあります。
問題演習の方が、暗記の負担が少ないです。
憶えるのが苦手な人ほど、問題をたくさん解いてください。
テキストには、初学者でもクイズ感覚で解ける“程よいレベル”の問題がたっぷりあります。
テキストの記述に目を通したら、果敢に、問題を解いてください。
答えを見ながら、解説を見ながらでいいです。これだけでも、そこそこ実力が付きます。
んで、テキストの練習問題が大丈夫になったら、過去問に、駒を進めます。
過去問は、気負わないでOKです。というのも、テキストと被る問題も数多いので、そこそこ解けてしまうからです。
んで、過去問が一通り解けたら、間違った問題を解き直したり、苦手な論点を集中暗記したりする、といった寸法です。
なお、ここで言うテキスト・過去問は、 「チャレンジライセンス 新訂版」と「乙種4類 危険物取扱者試験」 です。
「性消」の試験問題は、「知識問題」ばかりです。
複雑なものや応用的なものは出題されず、大半は逐語的なものです。
よって、細切れ時間の勉強が、とても有効です。
わたしは、通勤時に、「性消」の暗記をしていました。
「性消」は、机の前でなくても、いくらでも勉強できます。
特に、文系は、「物化」という難所があるので、「物化」は机の前で勉強し、「性消」は他で勉強すると、効率がいいです。
はじめて、テキストの性消を見ると、ずらずら並んだ文言や数字に、どんな人でも、“めまい”がします。
そこで、各危険物の頻出事項を、ブログの「乙4性消ざっくりノート」にまとめています。
当該ざっくりノートとテキストとを突き合わせながら、頻出事項・注意事項だけを、マーカーなりアンダーラインを引くなりして、チェックしていってください。
たとえば、「二硫化炭素」なら、まずは、ガチ論点の「発火点90度」にマークします。
たとえば、「ガソリン」なら、「定番数字」に、マーカーを塗りたくります。
んで、チェックが終わったら、テキストの問題に当たってみてください。そこそこ、選択肢を判別できるはずです。
それ以降は、過去問と並行しながら、テキストの各論点を押えていけば、スムーズに実力が涵養できるはずです。
ところで、すべての特徴・性質を、一時に追うのは、不可能です。
しかし、1~2つでも、危険物の特徴が頭に入ると、そこから、根が伸びるように、残りの特徴・論点が頭に残っていきます。
わたしは、乙種全種の危険物を、「最初は1つ方式」で、憶えていきました。「最初は1つ、後は、少しずつ付け足すような感じ」が性消のコツです。
「性消」は、「語呂合わせ」をフルに活用すべきです。
たとえば、特殊引火物の品名は「朝(あさ)にジエチルエーテル」などと、語呂を作って憶えます。→「“ア”セトアルデヒド・“さ”んかプロピレン・“に”硫化炭素・ジエチルエーテル」
たとえば、水溶性液体用泡消化薬剤(対アルコール泡消化剤)は、「汗汗ピリピリさんさん→“アセ”トン・“アセ”トアルデヒド・“ピリ”ジン・氷酢“酸”・“酸”化プロピレン」くらい憶えます。
性消の語呂合わせは、「危険物・乙4の性消 ブログ記事一覧」にまとめています。
「水溶性危険物は語呂+ぐりぐりで憶える」や「水にわずかに溶ける危険物のまとめ」、「語呂で一発暗記!水溶性液体用泡消火器の語呂」などがあるので、参考にしてみてください。
危険物の性消を憶えるコツに「横断学習」があります。
危険物の特徴ごとに、「有色系/無色系」、「異臭系」や「芳香系」でまとめて、危険物を横断して憶えると、忘れにくいです。
テキストや問題集には、たいがい、危険物の一覧表があります。
最初のうちは、目にしてもナンノコッチャでしょうが、ある程度、勉強が進むと、知識の整理に、この上なく便利なことがわかります。
下の画像は乙4ではないのですが、特徴ごとに、マーカーで染めていくと、一目で特徴が頭に入るので、効率がいいです。
サンプル画像のは、「無色系」なら緑色でマークし、「有色系」なら黄色でマークして、『色分け』しています。
テキストや過去問に付いている、表やリストをフル活用して、横断学習をしてみてください。記憶のノリが違うはずです。
ブログに、横断事項をまとめた記事があります。ゼロから作るより、楽なはずです。
「危険物・乙4‐性消:横断まとめの投稿記事」を、参考にしてみてください。
たとえば、「乙4危険物の有毒・有害(腐食・凍傷・やけど)の横断まとめ」や「重合・保管・炎の色の横断まとめ」などの横断的な記事があります。
「お気に入り」に入れておいて、配偶者と目を合わせたくないときに、眺めてみてください。
まずもって、大前提として、個々の危険物の性質のすべてを、押さえる必要はありません。
以下に、「捨ててもよいもの」と「やらなくてよいところ」を、リストアップしていきます。
まずもって、危険物の「沸点」は、無視していいです。
「沸点」は、ほとんど出ないので、憶える必要はありません。
わたしは、乙4と甲種の受験の際は、一切、沸点を憶えずに試験に臨みましたが、一発合格でした。
なお、当該沸点ですが、唯一、押さえておくべきものがあって、それは、「特殊引火物」の定義文「1気圧で、発火点が 100°C以下、又は引火点が −20°C以下で“沸点”が 40°C以下のもの」です。
例外的に、この定義だけ憶えておけば、「沸点」は、必要十分です。
次に、無視をしてもいいのは、「化学式」です。
たとえば、ジエチルエーテルの化学式は、「C2H5OC2H5」ですが、“こういうもの”は、一切、憶えなくていいです。
本試験にて、個々の危険物の化学式が出題されることは、まずないと思われます。
もちろん、出る可能性は、あります。
しかし、わたし的には、「捨て問」を推奨します。毎回出るなら憶えるべきですが、出るか出ないか定かでないのに、何十個もの化学式を憶えるのは、割に合いません。
わたしは、乙4受験の際は、化学式を1つも憶えずに試験に臨みましたが、ちゃんと合格できています。
しかし、「物化」では、二硫化炭素(CS2)やメタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)といった、有名どころの化学式が出る可能性があります。
よって、「物化」で問われた化学式ぐらいを、憶えておけばよいでしょう。
「発火点」が問われるのは、「二硫化炭素」、「ガソリン」、「灯油・軽油」、そして、「クロロベンゼン」くらいです。
「二硫化炭素」の発火点は、「90度」で、最低温度です。
よって、実に危険なため、実によく出ます。(当該90の数字は、ガチ暗記してください。出ます。)
「ガソリン:300度」「灯油・軽油:200度」も、よく出ます。この数字も、要ガチ暗記です。
本試験では、「ガソリンの発火点は、灯油より低い」などと出題されています。「×」ですね。
最後の「クロロベンゼン」ですが、“最高温度”のため、よく問われています。
発火点は「638度」ですが、ガチで憶える必要はなく、ざっくりと「最高温度で600度くらい」に憶えておけばOKです。
わたしは、乙4と甲種の受験の際、発火点は、先の数字しか憶えていません。
「燃焼範囲」が問われるのは、「特殊引火物(上限値)」「ガソリン」「灯油」「軽油」くらいで、極めて、限定的です。
よって、先に挙げた危険物以外の「燃焼範囲」は、無視します。
わたしは、乙4と甲種の受験の際、「燃焼範囲」で憶えていたのは、「特殊引火物」「ガソリン」「灯油」「軽油」くらいでした。
「蒸気比重」の数字は、一切、憶えなくていいです。
これまで、「蒸気比重」の数字が、個別具体的に問われたことは、ほとんどないからです。
たとえば、「ガソリンの蒸気比重は、8である」といった出題はごく稀、といった次第です。(なお、先の例題は「×」で、ガソリンのそれは「3~4」です。)
わたしが乙4の受験の際、「蒸気比重」関連で憶えていたのは、4類の全般性質「すべて1より重い」だけで、具体的な数字は、一切、憶えませんでした。
まあ、強いて憶えるなら、超絶頻出の「ガソリン」に備える意味で、「ガソリン・・・蒸気比重・・・3~4」だけを、押えておけばいいでしょう。(ガソリンの4文字で「4」くらいで憶えましょう。)
ところで、危険物の「比重(水に浮くか浮かないか)」は、「蒸気比重」と違って、重要論点となっています。
よって、「水に沈むもの」は、覚えておくべきです。
参考:比重が1以上の危険物の横断まとめと憶え方‐危険物取扱者 乙種4類(乙4)の性消
「性消」の頻出論点に、「危険物の定義」があります。
たとえば、「特殊引火物」とは、「(1気圧において)発火点が100度以上のもの、または、引火点が-20度以下で沸点が40度以下のもの」となっています。
んで、「第1石油類」とは、「引火点が21度未満のもの」となっています。
本試験では、下線を引いた「以下」や「以上」、「未満」がそこそこに、問われるのです。
たとえば、「○○の引火点は、21度だった。よって、第1石油類となる」などと、出題されるわけです。(「×」です。「未満」は「含まない」です。)
以上・以下等の使い分けが不明な人は、「以下・以上・未満・超える」に、目を通しておいてください。
また、「法律用語のコツ」には、「及び(および)」と「並びに(ならびに)」や、「または」と「もしくは」など、混同しやすい法律用語をまとめているので、参考してみてください。
「性消」ですが、憶えるべき論点がたくさんあります。
一時に、強行軍でやると、勉強がイヤになって、試験放棄に到ります。
乙4試験は、年に何回もあります。
焦らなくていいので、コツコツ愚直に、やっていくのが一番です。
まずもって、テキストの練習問題は、「3回」は、繰り返しましょう。
んで、過去問も、「3回」は、繰り返しましょう。
このくらい「数」をやれば、合格圏の実力となります。
んで、後は、テキストを精読して、自分の弱点等を、カバーしていけば、まずもって、合格点は確保できるはずです。
「性消」は、やればやるほど、点数は伸びて、安定します。
「性消」は、努力がストレートに結果に現れます。
「逆」を言えば、やらないと絶対に点が取れないので、繰り返しますが、「コツコツ」と、テキストと過去問の論点を消化していってください。
乙4に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者や消防設備士を他府県受験するときの願書と封筒」などを、ブログにも投稿しています。
興味のある方は、「危険物取扱者 乙種4類:ブログ記事」をばご参考ください。
合格体験記は、「乙種4類の合格体験記」です。
また、乙4の求人数など、資格情報をまとめた「乙4:独学資格ガイド」も、併せて、お目汚しください。
ビルメン資格に興味があるなら、「設備系資格優先順位」や「全くゼロからのビルメン資格」が役に立つかと思います。
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