危険物取扱者受験ガイド - どの種・どの類を受けるべきか?

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 はじめて危険物取扱者の試験を受けようとする人向けの受験ガイド。危険物取扱者には3つの種と、6つの類があって戸惑う。また、合格率も“当て”にならないため、ことさらに、受験に迷うことになる。本ページでは、最初は「乙4」を受験するわけを説述する。

はじめて危険物取扱者を受けるなら乙4

 結論から言うと、「乙種」の「4類」を受ければいい、てな次第です。

 危険物取扱者には、甲乙丙の3つの種と、1~6つの類があってコチャコチャしていますが、一番需要があるのは、「乙種4類(乙4)」です。

 「ハローワーク資格別求人数データ」を見てもらえば、一目瞭然ですが、「乙4」以外の乙種は求人が「ほぼゼロ」で、求人があるのは「乙4」くらいとなっています。

 「乙4」とは「危険物取扱者」の代名詞的存在であり、このため、受験をするなら、「乙4」からで、まったく問題ありません。

 逆を言えば、他の乙種から受けると、後述するように、“教材がほとんどない”ため、苦労することになります。

 こういう次第で、「危険物は乙4から」となっています。

 なお、試験の傾向や勉強方法等については「乙種4類の独学」を、使用教材については、「乙4のテキスト・問題集」を参考ください。

教材事情

 「乙4から受ける大きな理由」は、教材事情があるからです。

 先も述べたように、資格として需要があるのは、乙4が突出しているため、市販されている教材も、「乙種4類」のものがほとんどです。

 事実、本屋の棚は、大部分が乙4で占められており、乙種の1~6類のものは、数えるほどしかありません。

 そして、当該乙種の1~6類の教材なのですが、そのほとんどは、「性消」だけしか載っていません。

 その理由は、乙種試験には、「試験免除」制度があるからです。

 乙種試験では、乙種を1つ持っていると、他の乙種を受ける際に、「法令」と「物化」が免除されます。

 乙1~6の受験生の大半は、既に「乙4」に合格しており、当該「試験免除」を享受しての受験がほとんどです。わたしもそうでした。

 そのため、教材類もそれを反映して、「法令」と「物化」が省かれている、ってな次第です。

 なお、現在において、法令や物化だけの教材は市販されていません。

 このため、乙4なしで、乙1~6を受けようとすると、乙1~6は、「性消」だけの教材を使わねばならず、欠けた「法令」と「物化」を補うため、“法令や物化の載っている乙4の教材”を買うことになります。

 このような次第で、教材事情からしても、「受けるなら乙4」になっており、会社から取れといわれたなど、よほどの理由がない限りは、「乙4」からの受験が一般的です。

もし、乙1~6を取れと言われたら

 会社から、乙4以外の「乙1~6」を取れといわれた場合、先述したように、教材で困ります。

 このため…、

 法令・・・乙4の教材で、

 物化・・・乙4の教材で、

 性消・・・乙1~6の教材で、

 …勉強することになります。

 教材費が倍かかりますが、個人的には、まったく損はないと思っています。

 乙1~6を取った後で、乙4まで取るのは、悪くない選択だからです。

 先述したように、危険物の求人は「乙4」に集中しており、「乙4」は、こういう表現はアレですが、「最強資格」の一角を担っています。

 「乙4」は、“人生の保証・保険”になる数少ない資格の1つです。このため、乙4の教材は、無駄にはならないと、強く思う次第です。

 参考:乙4独学資格ガイド

理系キャリアなら甲種

 甲種には受験資格があり、その代表的なものは、化学系の大学・高等専門学校の卒業(または、指定講座の単位取得)です。

 化学系の学部を卒業(または、在籍)されているなら、乙4ではなくて、甲種を直に受験するといいでしょう。

 甲種を一口で言うと“まとめてドン”で、甲種1つで全危険物(110個くらい)が取り扱えるようになります。

 乙種の6つもの類を、1つ1つ受けるのと比べたら、ダンゼン効率がいいです。1日で済みますし、受験料も免状の発行代金も抑えられます。

 まあ、本試験が乙4より難しいですが、合格率は30%もあるので、独学合格は十分可能です。

 参考:危険物甲種・理系独学

 なお、甲種の求人には、“ときおり”、大学関係の施設や研究所等からの求人が見受けられるので、院生などが取っておくと、オーバードクターの“地味な”保険になるでしょう。基本情報技術者など、法的需要のない資格と比べれば、段違いに頼りになります。

 なお、甲種のハロワ求人数は、「約50件」です。

運搬目的なら丙種でもOK

 流通業や運送業に従事されている方で、免状取得の目的が、「危険物の移送(運搬)」なら、丙種でも大丈夫です。

 危険物を運ぶだけなら、立ち合いは無用なので、丙種でOKだからです。

 乙4と比べたら、丙種のほうが格段に「受かりやすい」です。

 明白な取得理由があるなら、無理をして小難しい乙4を狙わなくてもよいでしょう。

 参考:丙種の独学

 なお、丙種のハロワ求人数は、「約350件」です。

乙4以外の乙種

 端的に言うと、乙4以外の乙種には、求人がなく、ほぼゼロです。あったとしても乙種2類が年に数件で、他の乙種は「稀」レベルの求人動向です。

 こうした需給状態ですので、乙4以外の乙種を取得する、積極的な理由はありません。

 あるとしたら、「甲種の受験資格」のためです。

 「甲種の受験資格」には、「乙種の4種類」があり、「乙3と乙5が固定で、乙1か乙6のどちらか、乙2と乙4のどちらか」という風に、乙種のうち4つを取得すると、甲種の受験資格が生じる、という次第です。

 乙種の1~6類は、ざっとこんな次第で、はじめて危険物取扱者試験を受験される方は、4類以外の乙種は、無視してかまいません。

危険物取扱者の全種全類の合格率

 数字だけ言えば、甲種は例年「30%」、乙4は「30%」、他の乙種は「60%」、丙種は「50%」です。

 過去の合格率の推移は、以下のPDFを参考にしてみてください。

 一口で言うと、乙種の合格率は年々下がっています。甲種と丙種はあまり変わっていません。

 

 参考:PDF‐危険物取扱者の合格率一覧

 なお、乙4以外の乙種は格段に合格率が高いですが、これは、「試験免除」という仕組みがあるからです。

 合格率の高低で難易度は計れないので、注意してください。

 参考:危険物取扱者 乙種の合格率のわかりにくさ

まとめ

 危険物取扱者の試験事情は、ざっとこんな次第です。

 一口で言うと、「乙4」を受ければ間違いはない、です。

 化学系キャリアの方や、流通業・運送業の従事者の方は、それぞれ「甲種」「丙種」を考えればいいでしょう。

 それ以外の人は、「乙4」いっぽんで支障はありません。

 当方、乙種の4類のほか、1~6類までありますが、まったく出番がございません。

 なお、乙4の勉強方法等は、「乙種4類の独学」を…、

 独学向け教材については、「乙4のテキスト・問題集」をば、ご参考ください。

乙4のこまごましたもの

 乙4に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者や消防設備士を他府県受験するときの願書と封筒」などを、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「危険物取扱者 乙種4類:ブログ記事」をばご参考ください。

 また、乙4の求人数など、資格情報をまとめた「乙4:独学資格ガイド」も、併せて、お目汚しください。

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