危険物取扱者の試験制度を解説するページ。危険物取扱者には3つの種と、6つの類があって戸惑う。迷ったら「乙種4類(乙4)でよい。本ページでは、最初は「乙4」を受験する理由を説述する。
結論から言うと、「乙種」の「4類」を受ければいい、てな次第です。
危険物取扱者には、甲乙丙の3つの種と、1~6つの類があってコチャコチャしていますが、一番需要があるのは、「危険物取扱者」の代名詞的存在の「乙種4類(乙4)」です。
危険物取扱者試験には、甲種・乙種・丙種の3つの種類があります。
「種」ごとに、取り扱える危険物が設定されています。
甲種は、すべての危険物が扱えます。理系向けです。文系だと、受験資格がそもそも「ない」です。
甲種は、そこそこ求人がありますが、実質的に求められているのは、乙4だったりします。
次に、乙種は、類ごとの危険物が扱えます。
乙4以外の乙種は、「2018年度:ハローワーク資格別求人数データ」を見てもらえば、一目瞭然ですが、求人が「ほぼゼロ」で、積極的に取る理由がほとんどないです。
最後に、丙種は、ガソリン、灯油、軽油、重油、第4石油類、動植物油類が扱えます。
丙種は、乙4の“完全な下位資格”です。取れるなら、乙4を取った方がダンゼンいいです。
ちなみに、わたしは丙種持ってます。
「類」があるのは、乙種のみです。甲種や丙種に「類」は、ないです。
さて、乙種の類ですが、1類から6類まであって…、
1類…酸化性固体(塩素酸ナトリウムなど)
2類…可燃性固体(硫黄、鉄粉、金属粉など)
3類…自然発火性物質および禁水性物質(カリウム、アルキルアルミニウムなど)
4類…引火性液体
5類…自己反応性物質(過酸化ベンゾイル、ジアゾジニトロフェノールなど)
6類…酸化性液体(過酸化水素、硝酸など)
…となっています。
乙4は、二硫化炭素、アルコール類、ガソリン、灯油、軽油、クレオソート油、タービン油など「引火性液体」を扱います。
文系の方は、頭が痛くなってきますが、乙4の「引火性液体」だけ見とけばいいです。
「乙4」を受ける大きな理由は、教材事情があるからです。
資格として需要があるのは、乙4だけです。そのため、市販教材も、乙4がほとんどです。
本屋の棚は、大部分が乙4で占められており、乙種の1~6類のものは、数えるほどしかありません。甲種丙種は、ちょっぴりです。
特に指摘しておきたいのは、乙種の1~6類の教材で、ほぼ「性消」しか載っていません。
その理由は、乙種試験には、「試験免除」制度があるからです。
乙種試験では、乙種を1つ持っていると、他の乙種を受ける際に、「法令」と「物化」が免除されます。
乙1~6の受験生の大半は、既に「乙4」に合格しており、当該「試験免除」を享受しての受験がほとんどです。わたしもそうでした。
そのため、教材類もそれを反映して、「法令」と「物化」が省かれている、ってな次第です。
現在、乙種の法令や物化だけの教材は市販されていません。
このため、乙4なしで、乙1~6を受けようとすると、乙1~6は、「性消」だけの教材を使わねばならず、欠けた「法令」と「物化」を補うため、“法令や物化の載っている乙4の教材”を買うことになります。
このような次第で、教材事情からしても、「受けるなら乙4」になっており、たとえば、会社から○類を取れ!と命令されたなどの理由がない限り、「乙4」受験が一般的です。
極めて、「乙4」を受けたらいい危険物取扱者試験ですが、化学系の理系キャリアの方は、甲種の受験を勧めます。
甲種には受験資格があり、その代表的なものは、化学系の大学・高等専門学校の卒業(または、指定講座の単位取得)です。
化学系の学部を卒業されている(または、在籍して単位取得済み)なら、乙4ではなくて、甲種を直に受験するといいでしょう。
甲種1つで全危険物(110個くらい)が取り扱えるようになるので、乙種の6つの類を、1つ1つ受けるのと比べたら、ダンゼン効率がいいです。
試験は1日で済みますし、受験料も免状の発行代金も、格段に抑えられます。
まあ、試験と試験勉強は、乙4より厳しいですが、合格率は30%もあるので、独学合格は十分可能です。文系のわたしでも取れましたし。
参考:危険物甲種・理系独学
なお、甲種の求人には、“ときおり”、大学関係の施設や研究所等からの求人が見受けられるので、院生などが取っておくと、オーバードクターの“地味な”保険になるでしょう。
基本情報技術者など、法的需要のない資格と比べれば、甲種は、段違いに頼りになります。
なお、甲種のハロワ求人数は、「約80件」です。
流通業や運送業に従事されている方で、免状取得の目的が、「ガソリンや重油、灯油、軽油の移送(運搬)」なら、「丙種」でも大丈夫です。
ガソリンや重油、灯油、軽油を運ぶだけなら、丙種でOKだからです。
乙4と比べたら、丙種のほうが格段に「受かりやすい」です。
資格目的が確定しているのなら、無理して小難しい乙4を狙わなくてもよいでしょう。
参考:丙種の独学
なお、丙種のハロワ求人数は、「約500件」です。
端的に言うと、乙4以外の乙種には、求人がなく、ほぼゼロです。あったとしても乙種2類が年に数件で、他の乙種は「稀」レベルの求人動向です。
こうした需給状態ですので、乙種1・2・3・5・6類を取得する、積極的な理由はありません。
あるとしたら、「甲種の受験資格」を得るくらいです。
「甲種の受験資格」には、「乙種の4種類」があり、「乙3と乙5が固定で、乙1か乙6のどちらか、乙2と乙4のどちらか」という風に、乙種のうち4つを取得すると、甲種の受験資格が生じます。
ちなみに、わたしも、甲種を「乙種の4種類」で受験しました。
乙種1・2・3・5・6類の試験事情は、ざっとこんな次第で、はじめて危険物取扱者試験を受験される方は、4類以外の乙種は、無視してかまいません。
合格率の推移は、下のPDFを参考にしてください。
なお、乙4以外の乙種は格段に合格率が高いですが、これは、「試験免除」という仕組みがあるからです。試験が簡単なわけではないので注意してください。
正直、ふつうに落ちます。わたしは、6類のとき6割正解でギリギリ合格でしたよ。
試験の難易は、合格率の高低で計れないので、注意してください。
危険物取扱者の試験事情は、ざっとこんな次第です。
一口で言うと、「乙4」を受ければ間違いはない、です。
化学系キャリアの方は「甲種」を、流通業・運送業の従事者の方は「丙種」を考えてもいいでしょう。
それ以外の人は、「乙4」で支障ありません。
なお、乙4の勉強方法等は、「乙種4類の独学」を…、
独学向け教材については、「乙4のテキスト・問題集」をば、ご参考ください。
乙4に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者や消防設備士を他府県受験するときの願書と封筒」などを、ブログにも投稿しています。
興味のある方は、「危険物取扱者 乙種4類:ブログ記事」をばご参考ください。
また、乙4の求人数など、資格情報をまとめた「乙4:独学資格ガイド」も、併せて、お目汚しください。
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