売価還元法の計算を、計算機(電卓)で行う

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 売価還元法の計算を、計算機(電卓)上のみでやる打ち方を、このページでは見ていきます。要は、分数の計算を計算機でやるにはどうしたらいいか、です。使用キーは、「M+」と「RM」です。

 「売価還元法」とは、期末棚卸資産の原価を算出する計算方法で、取り扱い品数の多い小売業(スーパーや百貨店)で用いられている計算方法です。

 ま、こんな文章を読むとウンザリとしてくるので、詳しいことは、各自テキストで確認してください。

 さて、当該「売価還元法」を用いようとするなら、「原価率」を求めないといけないわけですが、この「原価率」の式は…

 「期首商品原価+当期仕入原価」を、

 「期首商品売価+当期仕入原価+原始値入額+純値上げ額-純値下げ額」で割ることによって求めることができます。

 ほいで、当該「原価率」を期末商品の売価にかけ、期末棚卸資産のB/S価額を順次求めていく、ってな塩梅です。

 頭が痛くなる会計用語が並んでいますが、要は「分数」の計算なので、実際は楽です。名称が実にいかめしいです。

おなじみ、例題の登場

 さて、ここに例題を挙げます。

期首商品原価 500円   期首商品売価 800円

当期仕入原価 15,000円 当期仕入売価 17,075円(原始値入額 2,075円)

純値上げ額 2000円、純値下げ額 500円。

 ま、こういうシンプルな例題があったとします。

おそらく、普通の人の「売価還元法」

 上記のような問題があったとき、多くの人は、以下のように計算機(電卓)を打つように思います。わたしもそうでした。

 まず、公式の分子部分(原価の方)を計算することでしょう。

 「500+15,000=15,500」

 そして、当該計算結果「15,500」を、どこぞにメモするはずです。

 次は、分母部分(売価の方)です。

 「800+17,075+2000-500=19,375」

 同じように、計算結果の「19,375」を、どこぞにメモすることでしょう。

 ほいで、ようやく「15,500÷19,375」を入力して、「0.8」という原価率を算出する、ってな塩梅です。

 別段、こういうやり方でもいいのです。しかし、計算してはメモし、計算してはメモし、そして、メモを見ながら再度計算というのは、至極、メンドクサイものであります。

 実質、「3手間」です。

 そこで、計算機(電卓)上だけの操作で、原価率が求められないか、という「省力」が働くわけです。

計算機上で完結する「売価還元法」の計算方法

 要は、「売価還元法」の計算というのは、分子を分母で割る「分数」の計算です。

 割るためには、その「割るためのものを、先に計算しておかないといけない」わけで、ここに、「コツ」めいたものがあります。

 「売価還元法」を計算機上だけでやるには、まずは、割る方の分母から計算します。

 分母の売価部分「800+17,075+2000-500=19,375」を入力、計算します。

 ここで、「M+」を押して、計算結果「19,375」をメモリに「保存」します。

 

 わたしのシャープの計算機では、「M+」を押すと液晶に「M」表示されます。

 次いで、分子部分の計算「500+15,000=15,500」を行います。

 

 そして、「÷」キーを押し、「割る数字は何だ?」と計算機から言われるので…

 

 「RM」を押して、メモリに保存した「19,375」を呼び出す、ってな塩梅です。

 最後に「=」キーを押すと、計算結果の「0.8」が液晶に出現しています。

 

 このように計算機を操作すると、一度もメモすることなく、原価率を求めることができるのでした。

売価還元法の計算のまとめ

 まず、分母の方を先に求めるのが、“計算機流”。

 売価である分母部分を計算し、計算結果を「M+」。

 次に、原価である分子部分を計算し、「÷」。

 メモリに保存された数字を「RM」で呼び出し。

 ってな塩梅でした。

 「計算機(電卓)上で完結する打ち方」だとメモの手間がなくなるのが一番のメリットかと思います。“楽”なので、10回ほどやれば、自然とできるようになります。断然に、圧倒的に楽です。

 是非とも、売価還元法は、上述のように打ちましょう。要らぬ手間が「省力」できた分、ミスも減るはずです。

おまけ-売価還元法の絶対的事項

 蛇足ながら、試験対策を一言。

 売価還元法が出てきたら、必ず、問題文や設問の中に、「売上値引」「売上割戻」「売上戻し(返品とだけ指摘されることも。)、「売上割引」がないかを、目を皿にして調べます。

 出題者側からすると、「売価還元法」を出題する理由は、上記4つを絡めて受験生を引っかけるため・ミスを誘導するためです。

 売価還元法が出題されたら、ほぼ間違いなく、上記4つを絡めて「原価計算上の売上高」と「P/Lの売上高」を求めてくるでしょう。

 いやらしい問題としては、「売上高は、売上割引○○円控除後の金額である。売上戻し○○円控除後の金額である。あと、売上割戻が○○円あったことが判明した。」などと、混乱極まりない文言を出してきます。

 ほんと、ついうっかりして、間違ってしまうところなので、しっかり!と個々の処理の仕方を見ていってください。

 先のいやらしいアレは、「売上割引」は控除してはいけないので、その分を戻します。原価計算、P/L売上高ともに、加算します。

 「売上戻し」要は返品は、そもそもその取引自体がなかったことになるので、原価計算上もP/L売上高上も控除します。当該ケースでは“控除済み”なので、いじりません。修正すべきことはありません。

 「売上割戻」が判明とあるので、売上高からは控除しますが、原価計算上は控除しません。

 あーややこしい。そら、間違うよ。しかも、一時できても、時間が経つと記憶が混同し始めて、まちがっちゃうってな次第です。そら、間違う。

 受験生用の「失点ほいほい」が当該「売価還元法」なので、出題者の姑息な罠に引っかからないようにしましょう。

 相手の手の内をよくよく読み取りましょう。

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