個別的な副作用

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 このページは、漢方処方製剤の「副作用」のうち、個別的なものをまとめる。通常の「副作用」扱いの「膀胱炎様症状」や「心不全」、「まれ重篤副作用」の「鬱血性心不全・心室頻拍」についてまとめた。

はじめに

 漢方処方製剤の「副作用」や「まれに生じる副作用」には、その漢方にしかない「個別的なもの」があります。

 出題されそうな感じが実にするので、優先して憶えてください。

 数は少ないので、費用対効果は高いです。

膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)

 漢方処方製剤には、「膀胱炎様症状」の通常の副作用を持つものがあります。

 それは…、

 ・小柴胡湯

 ・柴胡桂枝湯

 ・柴朴湯(小柴胡合半夏厚朴湯)

 …の「3つ」です。

 これら「3つ」ですが、手引きには…、

 『その他の副作用として、膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)が現れることもある。

 …と、「まれ重篤副作用」とは、区別して明記されています。

 よって、当該膀胱炎様症状は、「まれ重篤副作用」ではない、その他の「副作用」として、整理して、憶えておくべきかと思います。

憶え方

 上記3つの漢方処方製剤は、どれも“柴”があるので、「柴の膀胱」くらいに、憶えるといいでしょう。

 それか、それぞれの語句を取って、「しょうさいこけいしぼく(小柴胡・桂枝・朴)」くらいに、把握するのもいいでしょう。

 語呂的には、「再々、再度の膀胱炎様症状」も、ありかと思います。

 「再→さい→柴胡のさい」です。

 なじむもので、憶えてしまいましょう。

 なお、分類ですが、「小柴胡湯」と「柴胡桂枝湯」は、「かぜ」の漢方処方製剤です。

 「柴朴湯」は「鎮咳去痰」の漢方処方製剤です。

芍薬甘草湯‐まれ 鬱血性心不全、心室頻拍

 「まれ重篤副作用」には、主として、「肝機能障害」「偽アルドステロン症」「間質性肺炎」の「3つ」があります。

 しかし、漢方処方製剤の中には、「まれ重篤副作用」として、「鬱血性心不全、心室頻拍」が挙げられているものがあります。

 それが、「芍薬甘草湯」です。

 「芍薬甘草湯」ですが、手引きには…、

 『体力に関わらず、筋肉の急激な痙攣を伴う痛みのあるもののこむらがえり、筋肉の痙攣、腹痛、腰痛に適すとされる。』

 『ただし、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避ける。』

 『まれに重篤な副作用として、肝機能障害のほか、間質性肺炎、鬱血性心不全や心室頻拍を生じることが知られており』

 『心臓病の診断を受けた人では使用を避ける必要がある。』

 …とあります。

 どれもこれも、重要ポイントなので、出題実績はそうないですが、押えておくべきかと思います。

 また、先に見たように、「芍薬甘草湯」は、「まれ重篤副作用」に、「肝機能障害・間質性肺炎」が生じることも、押えておきましょう。

 参考:まれ重篤 肝機能障害・間質性肺炎

心不全

 最後に、通常?の「副作用」として、「心不全」が生じる漢方処方製剤があります。

 それは、「抑肝散」なのですが、手引きには…、

 『抑肝散は体力中等度をめやすとして幅広く用いることができる。』

 『神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症に適すとされる。』

 『心不全を引き起こす可能性があるため、』

 『動くと息が苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急に体重が増えた場合は直ちに医師の診療を受けるべきである。』

 …と、明記されています。

 直接「副作用」と明記されていませんが、文脈からして「副作用」なので、「抑肝散・・・心不全」と、押えておくべきかと思います。

偽アルドステロン症が“生じやすい”

 通常の副作用に「偽アルドステロン症」が生じるのは、「苓桂朮甘湯」です。

 当該苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)ですが、「高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人は、偽アルドステロン症が“生じやすい”」と明記されているのは、これだけなので、ピンポイントで憶えるべきです。

 「苓桂朮甘湯」は、手引きには…、

 『体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸きがあるものの』

 『立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸き、息切れ、神経症、神経過敏に適すとされる。』

 『強心作用が期待される生薬は含まれず、主に尿量増加(利尿)作用により、水毒(漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いことを意味する。)の排出を促すことを主眼とする。』

 『構成生薬としてカンゾウを含む。』

 『なお、高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人では、カンゾウ中のグリチルリチン酸による偽アルドステロン症を生じやすく、また、動悸きや息切れの症状は、それら基礎疾患によっても起こることがある。』

 『医薬品の販売等に従事する専門家においては、本剤を使用しようとする人における状況の把握に努めることが重要である。』

 …と、あります。

 「カンゾウ‐グリチルリチン酸‐偽アルドステロン症」は、「医薬品」や「適正使用」での超絶頻出キーワードです。

 応じて、「苓桂朮甘湯」も、出題される可能性が高いので、押さえておくべきです。

副作用リンク

 「漢方処方製剤」の「副作用」については、以下のページも参考にしてください。

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