34問‐令和3年度の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第34問は、おなじみ論点「区分所有法‐建替え決議」の問題です。問題作成の趣旨がよくわからない問題です。きちんとした知識があれば、正解を選べますが、初見だと解答に悩むかと思います。傾向把握の一環として、こういう問題もあると、認識しておきましょう。

34問‐区分所有法‐建替え決議

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「やや難」です。

 本問の答えは、「こちら(数字のみ)」です。

 本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

解説

 要は…、

 「同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。) に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」

 …の「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。) 」を当てる問題です。

解説補足1

 本問ですが、ざっくり言うと…、

 ・いったん、建て替えに賛成したら、その撤回はできない。

 ・催告に対して建て替えに参加しない旨を回答しても、催告期限内ならば、それを撤回して、建て替えに賛成することは可能。

 …となっています。

解説補足2

 本問は、試験傾向の把握の一環として解いておいてください。

 本問には、難しい選択肢が3つもありますが、それらは「迷彩」です。

 本問は、単に、テキストの基本事項を問うているだけなのです。

 選択肢の1~3の内容は、おそらく、テキストに載っていないはずです。

 対して、選択肢4だけは、テキストにて、見聞きしたはずです。

 本問は、難しく考えずに、テキストに載っている基本事項を、素直に解答すればいいだけの話なのです。

 難しい3つの選択肢は、「迷彩」であり、出題者のブラフ(ハッタリ)です。

 今後の本試験でも、こうしたブラフや迷彩をかましまくる出題が予想されます。

 その際は、難しい選択肢を考え込まず、テキストに載っているものを素直に解答しましょう。

選択肢1

 選択肢1の「建替え決議で建替えに賛成したが、事情により建替えに参加できない旨を申し出た。」ですが、誤った記述です。

 いったん、建替えに賛成すると、その撤回ができなくなります。

 よって、選択肢のような申し出をした人は、「建替え決議に賛成した各区分所有者」のままであり、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)」に該当しません。

 よって、選択肢は、「売渡請求できない」となります。

選択肢2

 選択肢2の「建替え決議で建替えに反対したが、建替えに参加する旨を回答し、その後さらに、 その回答を撤回して、参加しない旨を申し出た。」ですが、誤った記述です。

 選択肢の人は、「建替え決議で建替えに反対したが、建替えに参加する旨を回答」したとあります。

 この時点で、「建替え決議に賛成した各区分所有者」とみなされます。

 そして、当該賛成の回答ですが、撤回できません。

 よって、この人は、建替えに参加する旨を撤回したといえども、依然として、「建替え決議に賛成した各区分所有者」とみなされており、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)」に該当しません。

 よって、選択肢は、「売渡請求できない」となります。

選択肢3

 選択肢3の「建替え決議で建替えに反対し、建替えに参加しない旨を回答したが、その後さらに、 その回答を撤回して、参加する旨を申し出た。」ですが、誤った記述です。

 小難しい選択肢です。

 そもそも、本法の趣旨は、建て替えを円滑にすることにあります。

 できれば、「建て替え」に、参加してほしいわけです。

 よって、最初は、「建替えに参加しない旨を回答」しても、その後で、それを撤回して「建て替えに賛成」することは、可能なのです。

 さて、「建て替えに賛成」したことで、もはや、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)」に該当しなくなります。

 ですから、売渡請求の対象ではなくなります。

 よって、選択肢は、「売渡請求できない」となります。

選択肢4

 選択肢4の「建替え決議で議決権を行使しなかったが、建替えに参加するか否かの回答もしなかった。」ですが、「売渡請求できる」となります。

 条文の第六十三条には…、

 「建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書 面で催告しなければならない。」

 「2 前項に規定する区分所有者は、同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。」

 「3 前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。」

 「4 第二項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建 替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により 区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者は、」

 「同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。) に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」

 …とあります。

 選択肢の人ですが、「建替え決議で議決権を行使しなかった」とあるので、「建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)」となります。

 行使していないということは、賛成していないからです。

 よって、「建替えに参加するか否か」を、書面で催告されることになります。

 そして、当該選択肢の人は、催告に対し、「建替えに参加するか否かの回答もしなかった。」とあります。

 ですから、3の「建替えに参加しない旨を回答したものとみなす」に該当することになります。

 よって、選択肢の人は、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)」に該当することになり、売渡請求の対象となります。

 よって、選択肢は、「売渡請求できる」となります。

答え

 「1」は「売渡請求できない」です。

 「2」は「売渡請求できない」です。

 「3」は「売渡請求できない」です。

 「4」は「売渡請求できる」です。

 本問は、「売渡請求できるものはどれか?」ですので…

 正解:4

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 類似問題あります。テーマ別の問題演習は、「管業「区分所有法」の過去問リスト」を、活用ください。

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドウな人は…、

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