「及び(および)」「並びに(ならびに)」

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 法律用語「及び」と「並びに」の使い分けについてを、このページで見ていきます。どちらも並列的に結びつける接続詞で、同じような意味ではありますが、全然違う役割を担っているので、実に注意が必要です、なお、「および」と「ならびに」と平仮名表記でも同じ意味です。

 「及び」と「並びに」は、両方とも、ふたつ以上の語句を、並列的に結びつける接続詞です。

 簡単に言うと、“引っ付けあう”役割を持つのが「及び」と「並びに」です。

 しかし、引っ付け方は全然違います。この2つの使い方は知っておかないと混乱の元になるので、しっかり憶えておきましょう。混同していると必ず往生します!!

最も簡単な「並びに」‐大きい

 論理演算をすると頭がウニになるので、最初はイメージで掴みます。

 「並びに」は、まず、ニュアンス的に大きいというイメージを持ちます。

「並びに」は大きい!

 イメージがつかめたら、「並びに」は、意味的に大きな区分を意味することを憶えます。

 反対に言うと、意味的に大きな区分をしたい場合に、「並びに」を使います。

 たとえば、「大根」「にんじん」「ジャガイモ」「りんご」「キウイ」があるとします。

 「大根」「にんじん」「ジャガイモ」は【野菜】です。「りんご」「キウイ」は【果物】です。【野菜】と【果物】で区分できますから…、

 「大根、にんじん、ジャガイモ、並びに、りんご、キウイ」となるのでした。

 大きな意味区分をしている・意味を大きく分けたい=並びに、です。

最も簡単な「及び」‐小さい

 「及び」のイメージはシンプルで、以下のとおりです。

「及び」は小さい!

 付加される意味の範囲が小さい、と考えておけば、スムーズに理解ができます。

 要は、「付け足し」的なものが「及び」です。

 先の例文の「大根」「にんじん」「ジャガイモ」「りんご」「キウイ」の区分けを考えてみます。

 “並びに”で大きな意味区分をします。つまり、野菜と果物で分けます。

 大根、にんじん、ジャガイモ、並びに、りんご、キウイと分けられて…、

 「及び」は小さな付け足しなので…、

 大根及びにんじん及びじゃがいも、並びに、りんご及びキウイってなる次第です。

 これで、野菜組と果物組を、正確に分けれたという次第です。

シンプルに考える「及び(および)」

 「及び」と「並びに」は、考え出すとますます分らなくなるので、オイラはこんな風にシンプルに考えています。

 「及び」=「と」で読み直すのです。

 「A及びB及びC」という、法律によくある文章をみてみましょう。

 「及び」が出てきたら、「及び=と」という風に読み替えます。

 そうすると、「AとBとC」となります。

 「及び」は小さな付け足しなので、意味の範囲としては、AとBとCは、同じ位置合いにあるわけです。

 先の、野菜組と果物組的な区分・位置を表現しています。

シンプルに考える「並びに(ならびに)」

 そして、「並びに」をシンプルに考えます。

 先述したように、「並びに」は、大きい!です。

 例文は、「A及びB及びC並びにD」としましょう。

 まずさし当たって大事なことは、「並びに」が出てきたら、注意をする、ということです。

 意味的に、大きな区分が出現したからです。

 で、当該「並びに」のところは、感情を込めて力強く読みます。そうすると、大きさを感じるからです。

 こんな感じです。

 AとBとC並びにD

 例文の区分としては、「並びに」で大きな区分けがなされて、「A、B、C」と「D」という風に、2つに区分されています。

シンプルに考える「及び(および)」と「並びに(ならびに)」

 答えから言うと、先の例文の意味区分は、「A B C」と「D」の2つとなります。

 「並びに」で、大きな意味区分がされたからです。反対に言うと、「及び」は小さな付け足しでしかないので、「意味区分」がされないと考えます。

 たくさんの語句が含まれる法律文章を読む際は、頭に「ふくろ」をイメージます。

 で、「及び」が出てきたら、「及び」の付いた言葉を中に入れていく感じで読んでいきます。

 及び=と

 そして、「並びに」が出てたら、「新しいふくろ」を用意して、「並びに」以降を入れていくってな塩梅です。

 並びにで新ふくろ

 意味の区分をふくろ表示するとこうです。

 ふくろ1:AとBとCで、ふくろ2:D

 ぶっちゃけ言うと、注意すべきは、「並びに」なのです。そこで、意味の大きな区分けが行われるからです。

 反対に言えば、「及び」は、ふつうの感覚で読めばいいです。小さな意味で付け足しでしかないからです。

「及び」「並びに」の例文

 「及び」「並びに」の例文を見ていきましょう。

 『機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器』が例文です

 「及び=と」で読み直して、「並びに」の接続詞部分を強調すると、以下になります。

 機械類電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像と音声の記録用又は再生用の機器

 意味の袋的な区分をすると、「機械類及び電気機器」が最初に区分されて、以下、「これらの部分品」と「録音機、音声再生機」と「テレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器」に分けられるという塩梅です。

 先も言ったように、「並びに」が出てきたら、「新しいふくろ」を想像して、そこに以降の語句を放り込む感じです。

 こんな風に「操作」をしながら読めば、意味の混同や接続詞の誤読が少なくなるように思います。

あとがき的なもの

 「及び=と」の読み換え、「並びに」を感情を込めて読むのは、わたしの方便ですので、合わなかったらどんどん変えてください。

 皆さん自身にぴったり来るのが一番良い方法です。ちなみに友人は「及び」を「で」で読み返すそうです。

 「AでBでC、並びにD」と読んだほうが、並列感を感じるからそうです。人それぞれですねw

 「及び」は、小さくまとまるための道具。

 「並びに」は、大きくまとめるための道具。

 こんな風に憶えても、「混同」は少なくなるように思います。

 ※ お手数ですが、不備や間違い・勘違いがあれば、是非ともメールを下さいませ。

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