はじめて漢方処方製剤を勉強する人が知っておくべきこと

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 登録販売者の試験科目「主な医薬品とその作用(通称:医薬品)」の「漢方処方製剤」の対策ページ。このページは、「はじめて漢方処方製剤を勉強する人」を対象に、着手前に知っておくべきことをまとめている。目標や勉強対象、後回しでいいもの、やってはいけないことを述べる。

目標

 まずもって、「目標」を述べておきます。

 漢方処方製剤は、「8~10問前後」の出題が予想されます。

 当該出題のうち、「4~5問の半分」を取ることを、「目標」としてください。

 漢方処方製剤は、正直、『キツイ』です。

 よほどに興味があるとか、得意であるとかでないなら、「4~5問の半分」が取れたら御の字です。

 漢方処方製剤で「4~5問」取れたら、「医薬品」の足切り点をほぼほぼ免れるし、目標の「7割」である「40*7」の「28点」も、格段に確保しやすくなります。

 漢方処方製剤が苦手で苦手でどうしようもない人でも、最低限度、「捨て問にはしない」を目標に、取り組んでください。

勉強対象

 漢方処方製剤は、重複・別名を含めて、おおよそ「85個」の数があります。

 んで、当該85個のそれぞれに、たとえば、「乙字湯」なら…、

 『体力中等度以上で大便が硬く、便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされる。』

 『が、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、悪心・嘔吐、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。』

 『通常、構成生薬として、カンゾウ・ダイオウを含む。まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。』

 『短期間の使用に限られるものでないが、切れ痔、便秘に用いる場合には、5~6日間服用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。』

 …といった記載があり、これらの細々したものを、“タテマエの上では”、その全てを憶えていくことになります。

試験戦術上、最優先する

 漢方処方製剤は、試験戦術上、そのすべてを憶える必要はないです。

 実際問題、憶え切れません。

 よって、選択肢の判別に効果のあるものから、押えていくことになります。

 チェックすべきは、「体力規定(虚実)」と、「構成生薬」と、「まれ重篤副作用」の「3点」です。

 先の「乙字湯」で言えば、「体力中等度以上」、そして、「カンゾウ・ダイオウ」、「肝機能障害、間質性肺炎」のところです。

 これら「3つ」が頭に入っていれば、出題のうち、7~8割を判別できます。

 当サイトでは、できるだけ「語呂合わせ」を付与しているので、それを活用して、憶えていくことになります。

補足‐超弩級 最優先チェック

 漢方処方製剤の勉強は、おおむね、先の「3点」を押えていくのですが、その漢方くらいにしかない「固有事項」は、超絶チェック事項です。

 その「知識」だけで、即、選択肢が判別できるからです。

 たとえば、「芍薬甘草湯」には、「心臓病の人は使用を避ける」といった制限があります。

 当該「心臓病避ける」というのは、「芍薬甘草湯」にしか出てこないのです。

 よって、選択肢にて、「芍薬甘草湯」ではない漢方が問われているのに、当該「心臓病避ける」という記載があれば、そこで、即断で「×」とできるわけです。

 こうした「固有事項」ですが、そこそこあります。

 たとえば、「膀胱炎様症状(小柴胡湯柴胡桂枝湯柴朴湯)」や「15歳未満の小児への使用は避ける必要がある(七物降下湯)」、「腸間膜静脈硬化症(加味逍遙散辛夷清肺湯黄連解毒湯)」などです。

 登録販売者試験は、毎年、「難化」しています。漢方処方製剤も、凝った出題になってきています。

 「固有事項」は、選択肢判別の大きな武器となります。

 「固有事項」は、“ガチ暗記”すべきです。

次順位に憶えるもの

 先の「3つ」に比べると、やや優先順位が落ちるのが、「キーワード」と「禁忌」です。

 「キーワード」は、個々の漢方の特徴的なもので、先の「乙字湯」では、「大便が硬く」です。

 ときどき、当該キーワードの有無でしか選択肢を判別できないときがあるので、できるだけ、押えておきたいのです。

 次に、「禁忌」ですが、「○○といった人には、不向き」と明記されるものです。

 先の「乙字湯」で言えば、「体の虚弱な人は、不向き」のところです。

 本試験では、ストレートに問われることは、“あまり”ないです。

 ただ、こういう「禁忌」は、「医薬品」のカタカナ成分にて、ド頻出なので、応じて、その矛先が漢方処方製剤に向く可能性は「大」です。

 余裕があれば、チェックしておきたいです。

 最後に、「数字」です。

 最近の「医薬品」では、「数字」が実によく問われています。

 漢方処方製剤においても、「数字」が登場します。

 先の「乙字湯」で言えば…、

 『切れ痔、便秘に用いる場合には、5~6日間服用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談』

 …のところです。

 余裕があるなら、ここまで、押えておきたいというのが本音ですが、正直、ここまで、やってられないという気もします。

 漢方処方製剤の「数字」は、体力規定や構成生薬といった主要な論点がある程度終わってから、本格的に着手し、それまでは、ざっくり押えるくらいでよいと思います。

 「漢方処方製剤 数字対策」に、そのすべてを挙げているので、時間があれば、ざぁーーと、目通ししてください。(ガチ暗記は、無用です。

後回しOK、最悪しなくてもいいこと

 漢方処方製剤の論点で、「後回し」でいいのは、個々の「効能」です。

 先の「乙字湯」で言えば、「痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛」のところです。

 「効能」が後回しでいい理由は、そう突っ込んだ出題がないからです。

 長くなったので、「登録販売者の漢方処方製剤の「効能」について」にまとめているのですが、効能がガチで問われた例は、あまりありません。

 試験勉強では、個々の漢方処方製剤が何の薬なのかを、把握できていればいいと思います。

 先の「乙字湯」なら、「痔の薬」と、把握できていればいいでしょう。

 たとえば、「葛根湯」なら「かぜ」で、「十全大補湯」なら「滋養強壮保健薬」だと把握できていればいい、ってな次第です。

 何の薬かさえわかっていれば、設問には、おおむね対応できます。

 たとえば、「痔の薬」である「乙字湯」を問うているのに、選択肢に、痔疾に効くという記述なければ、「×」と判断できる、ってな次第です。

 また、手間的・時間的にも、漢方処方製剤の細々した効能をガチ暗記するのは、不可能だと思います。

 こうしたことから、「効能」は、ざっくり見るだけにするか、後回しにするか、余裕がないなら、「捨てる」ようにしてください。

完ぺき主義は絶対ダメ

 漢方処方製剤の勉強の「2つのダメ」を…、

 『すべての漢方処方製剤を、完ぺきにしようとしない。

 『個々の漢方処方製剤のすべてを、完ぺきにしようとしない。

 …挙げておきます。

 まずもって、仮に、わたしたちが晴れて合格したら、と考えてください。

 ドラッグストア等に、就職が決まったとします。

 登録販売者として働き始めると、「登録販売者 研修中」や「見習い 登録販売者」となります。

 単に試験に受かっただけの者は、そういう立ち位置なわけです。

 「逆」を考えてみましょう。

 『一般用医薬品のすべての漢方処方製剤について、すべての効能や、すべての副作用を押え切っているというのは、「プロ」の登録販売者じゃないのか?

 …といった次第です。

 要は、見習いにもなってない者が、プロの真似をしなくてもいいんじゃないの?といった寸法です。

 受験当時から、漢方処方製剤のすべてを、習得する必要はありません。

 憶えてない漢方処方製剤があってもいいし、手薄な漢方処方製剤があってもいいのです。

 「実務」を通じて学ぶこともたくさんあるはずです。

 試験勉強では、そこそこを頭に入れて、残りは、実務を通じるなり、合格後にやればいいです。

 「完ぺき主義」は、費用対効果が悪く、不合格の最要因です。

 漢方処方製剤が完ぺきになっても、他の科目・他の論点で点を落とせば、まったく意味がありません。

 漢方処方製剤が完ぺきでなくても、試験には受かります。

 「逆」を言えば、漢方処方製剤で多少失点しても、他の論点で、いくらでもカバーできるといった次第です。

 他のページでも目にすると思いますが、兎にも角にも、「漢方処方製剤は、完ぺき主義はダメ」と、肝に銘じてください。

こまごましたもの

 登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。

 そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。

みんなとシェアする