登録販売者 第1章:基本知識

第2節:医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因

第3項:相互作用、飲み合わせ 全記述

相互作用、飲み合わせ 全記述

 複数の医薬品を併用した場合、又は保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品)や、いわゆる健康食品を含む特定の食品と一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり、減弱したりすることを相互作用という。

 作用が増強すれば、作用が強く出過ぎたり、副作用が発生しやすくなり、また、作用が減弱すれば、十分な効果が得られないなどの不都合を生じる。

 相互作用には、医薬品が吸収、分布、代謝(体内で化学的に変化すること)又は排泄される過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位において起こるものがある

 相互作用を回避するには、ある医薬品を使用している期間やその前後を通じて、その医薬品との相互作用を生じるおそれのある医薬品や食品の摂取を控えなければならないのが通常である。(略)

(a) 他の医薬品との成分の重複・相互作用

 一般用医薬品は、一つの医薬品の中に作用の異なる複数の成分を組み合わせて含んでいる(配合される)ことが多く、他の医薬品と併用した場合に、同様な作用を持つ成分が重複することがあり、これにより、作用が強く出過ぎたり、副作用を招く危険性が増すことがある。

 例えば、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多く、通常、これらの薬効群に属する医薬品の併用は避けることとされている。

 相互作用による副作用のリスクを減らす観点から、緩和を図りたい症状が明確である場合には、なるべくその症状に合った成分のみが配合された医薬品が選択されることが望ましい

 複数の疾病を有する人では、疾病ごとにそれぞれ医薬品が使用される場合が多く、医薬品同士の相互作用に関して特に注意が必要となる。医療機関で治療を受けている場合には、通常、その治療が優先されることが望ましく、一般用医薬品を併用しても問題ないかどうかについては、治療を行っている医師若しくは歯科医師、又は処方された医薬品を調剤する薬剤師に確認する必要がある。

 一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対し、医薬品の種類や使用する人の状態等に即して情報提供を行い、医療機関・薬局から交付された薬剤を使用している場合には、診療を行った医師若しくは歯科医師又は調剤した薬剤師に相談するよう(※1)説明がなされるべきである。

 (b) 食品との飲み合わせ

 食品と医薬品の相互作用は、しばしば「飲み合わせ」と表現され、食品と飲み薬が体内で相互作用を生じる場合が主に想定される。

 例えば、酒類(アルコール)は、医薬品の吸収や代謝に影響を与えることがある。アルコールは、主として肝臓で代謝されるため、酒類(アルコール)をよく摂取する者では、肝臓の代謝機能が高まっていることが多い。

 その結果、肝臓で代謝されるアセトアミノフェンなどでは、通常よりも代謝されやすくなり、体内から医薬品が速く消失して十分な薬効が得られなくなることがある。

 また、代謝によって産生する物質(代謝産物)に薬効があるものの場合には、作用が強く出過ぎたり、逆に、代謝産物が人体に悪影響を及ぼす医薬品の場合は副作用が現れやすくなる。

 このほか、カフェインやビタミンA等のように、食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在するために、それらを含む医薬品(例:総合感冒薬)と食品(例:コーヒー)を一緒に服用すると過剰摂取となるものもある。

 また、生薬成分等については、医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていなければ、食品(ハーブ等)として流通可能なものもあり、そうした食品を合わせて摂取すると、生薬成分が配合された医薬品の効き目や副作用を増強させることがある。

 また、外用薬や注射薬であっても、食品によって医薬品の作用や代謝に影響を受ける可能性がある。

注記1

 (※1)

 「多くの生活者は、一般用医薬品の使用について、医師(歯科医師)や薬剤師に話すのをおろそかにしがちである。また、医師(歯科医師)、薬剤師も、処方や調剤をするときに、一般用医薬品を使用しているかどうか確認することまで思い至らないことがある。」

 「医療機関を受診する際に、使用している一般用医薬品があれば、その添付文書等を持参して見せるよう説明がなされるべきである」

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 ・相互作用、飲み合わせ その1

 ・相互作用、飲み合わせ その2

 …です。

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