ヒマシ油は、「胃腸に作用する薬」の「腸の薬」の「小腸刺激性瀉下成分」に配合されています。試験のポイントをまとめたり、出題傾向を「○×」形式の過去問で紹介したりしています。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。
復習用に、手引きを抜粋すると…、
「小腸刺激性瀉下成分」
「ヒマシ油は、ヒマシ(トウダイグサ科のトウゴマの種子)を圧搾して得られた脂肪油で、」
「小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。」
「日本薬局方収載のヒマシ油及び加香ヒマシ油は、腸内容物の急速な排除を目的として用いられる。」
「急激で強い瀉下作用(峻下作用)を示すため、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦又は妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けることとされている。」
「主に誤食・誤飲等による中毒の場合など、腸管内の物質をすみやかに体外に排除させなければならない場合に用いられるが、」
「防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒には使用を避ける必要がある(ナフタレンやリン等がヒマシ油に溶け出して、中毒症状を増悪させるおそれがある)。」
「吸収された成分の一部が乳汁中に移行して、乳児に下痢を引き起こすおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。」
…と、相なります。
文中の「リパーゼ」ですが、「人体」に出てくるカタカナ語句です。
「トリグリセリド・リパーゼ・カイロミクロン(小腸)」や「トリプシノーゲン・アミラーゼ・リパーゼ(膵臓)」を、参考にしてください。
ご存じのように、「ヒマシ油」は、「胃腸に作用する薬」の「腸の薬」の「小腸刺激性瀉下成分」に登場します。
市販薬には、「 【第2類医薬品】日本薬局方 加香ヒマシ油 20mL 」などがあります。
当該成分は、1問丸々で問われたことがあるほか、かなりの頻度で試験に出ています。
出題例としては、「群馬県 R4 第86問」や「香川県 R5 午後第55問」などがあります。
「適正使用」の「使用(服用)しない」等の論点もあります。
優先順位は、「かなり高い」です。
当該成分は…、
① ヒマシ油 ―――― 止瀉
② ヒマシ油は、小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられており、比較的瀉下作用が穏やかなため、主に乳幼児の便秘に用いられる。
③ 腸内容物の急速な排除を目的として用いられ、急激で強い瀉下作用を示す。
④ 吸収された成分の一部が乳汁中に移行して、乳児に下痢を引き起こすおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。
⑤ ヒマシ油は、防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合等、脂溶性の物質による中毒に使用する。
…といった感じで出題されます。
先の○×問題の解説です。
①の「ヒマシ油 ―――― 止瀉」ですが、誤った記述です。
「ヒマシ油」は、「小腸刺激性瀉下成分」です。つまり、下剤です。
下痢止めの「止瀉」ではありません。
瀉下と止瀉は、意外に混乱するので、意識して見ておきましょう。
よって、①は、「×」となります。
②の「ヒマシ油は、小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられており、比較的瀉下作用が穏やかなため、主に乳幼児の便秘に用いられる」ですが、誤った記述です。
本問は、応用的な問題で、2階建ての問題です。
前半の「小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらす」は、正しいです。
「ヒマシ油」は、「小腸刺激性瀉下成分」だからです。
しかし、後半の「比較的瀉下作用が穏やかなため、主に乳幼児の便秘に用いられる」が、ぜんぜんダメです。
まず、ヒマシ油は、「腸内容物の急速な排除を目的」としています。
そして、ヒマシ油は、強い瀉下作用のため、「3歳未満の乳幼児」への使用を避けることになっています。
こんな次第で、後半部分が誤りと言った次第です。
よって、②は、「×」となります。
③の「腸内容物の急速な排除を目的として用いられ、急激で強い瀉下作用を示す」ですが、正しい記述です。
頻出事項です。
問題文の言うように、ヒマシ油は、強い瀉下作用があるので、腸内容物の急速な排除を目的として用いられます。
テキストを精読しておきましょう。
よって、③は、「○」となります。
④の「吸収された成分の一部が乳汁中に移行して、乳児に下痢を引き起こすおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある」ですが、正しい記述です。
ヒマシ油は、乳汁移行するので、妊婦等は使用を避ける、授乳婦は使用しないとなっています。
「使用しない」は、「医薬品」のみならず、「適正使用」でも出るので、意識して押さえていってください。
よって、④は、「○」となります。
⑤の「ヒマシ油は、防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合等、脂溶性の物質による中毒に使用する」ですが、全くの誤りです。
全部間違ってます。
先に挙げた手引きには…、
「主に誤食・誤飲等による中毒の場合など、腸管内の物質をすみやかに体外に排除させなければならない場合に用いられるが、」
「防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒には使用を避ける必要がある(ナフタレンやリン等がヒマシ油に溶け出して、中毒症状を増悪させるおそれがある)。」
…とあります。
よって、選択肢の言うような「防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合等」には、使ってはいけないです。
こういう「使用上の注意」がかなり出るようになっているので、ガチで押えておきましょう。
よって、⑤は、「×」となります。
先に見たように、「ヒマシ油‐3歳未満‐使用を避ける」ですが、ここのくだらない憶え方は…、
「ヒマシ」が“3”文字なので、“3”歳と掛けるってな次第です。
「ヒマシの3文字で、3歳ダメ」みたいな感じで憶えると、個人的には、すぐ頭に入りました。
次に、「小腸刺激性瀉下成分」の憶え方ですが、「ヒマ“シ”」と、「小腸(“シ”ョウチョウ)」の「シ」つながりで憶えるといいでしょう。
「ヒマシ」の「シ」は、「小腸」の「シ」、くらいに憶えれば、大腸刺激性瀉下成分と区別できるはずです。
当該ヒマシ油の禁忌には、以下のものがあります。手引きには…、
「急激で強い瀉下作用(峻下作用)を示すため、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦又は妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けることとされている。」
「吸収された成分の一部が乳汁中に移行して、乳児に下痢を引き起こすおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。」
…となっています。
「医薬品」の禁忌は、以上となっているのですが、「適正使用」に出てくる禁忌は…、
・流産や早産を誘発するおそれがあるため、妊婦は使用を避ける。
・大量使用を避ける。
・激しい腹痛、吐き気・嘔吐の症状がある人は、急性腹症が疑われるので、使用を避ける
…なっています。
押さえておきましょう。
ごくまれに、「医薬品」では、日本薬局方の出題があります。
手引きには、「日本薬局方収載のヒマシ油及び加香ヒマシ油は、腸内容物の急速な排除を目的として用いられる。」があります。
本試験にて、選択肢の1つに、当該記述がそのまんま出そうです。
このページを「お気に入り」に入れておいて、試験直前で、見直してください。
先のポイントと被るものもありますが、「適正使用」用のまとめです。
「ヒマシ油」ですが、「使用(服用)しない」の論点が多々あり、警戒すべき成分となっています。
以下のすべては、押さえておきましょう。
まず、「激しい腹痛又は吐き気・嘔吐」です。
先の症状にある人は、ヒマシ油を、「使用(服用)しない」となっています。
「理由」は、「急性腹症(腸管の狭窄、閉塞、腹腔内器官の炎症等)の症状である可能性があるため。」です。
「理由」で問われることが多々です。
たとえば、「急性腹症(腸管の狭窄、閉塞、腹腔内器官の炎症等)の可能性がある人が使用してはならない成分はどれか?」といった感じです。
参考:次の症状がある人
次に、「3歳未満の小児」です。
「3歳未満の小児」は、ヒマシ油を、「使用(服用)しない」となっています。
「ヒマシ」の3文字で「3歳ダメ」と憶えるとよいでしょう。
「理由」は、なぜか巻末資料は、空白です。
参考:小児
次に、「妊婦又は妊娠していると思われる人」です。
妊婦等に方は、ヒマシ油を、「使用(服用)しない」となっています。
「理由」は、「腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため」です。
「医薬品」でもド定番の論点なので、押えておきましょう。
参考:女性系
次に、「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」です。
授乳中の人は、ヒマシ油を「服用しないか、服用する場合は授乳を避ける」となっています。
「理由」は、「乳児に下痢を起こすおそれがあるため」です。
これまた、「医薬品」でもド定番の論点なので、押えておきましょう。
参考:女性系
次に、「連用しない」です。
ヒマシ油は、連用してはいけません。
「理由」は、「一定期間又は一定回数使用しても症状の改善がみられない場合は、ほかに原因がある可能性があるため」です。
瀉下薬の一般問題でも出るので、押えておきましょう。
参考:連用しない各種
次に、「駆虫薬ダメ」です。
「医薬品」でも、定番の論点ですが、「ヒマシ油と駆虫薬の併用はダメ」です。
「理由」は、「駆虫成分が腸管内にとどまらず吸収されやすくなるため」です。
よく出るところなので、押えておきましょう。
参考:特徴系+その他
登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。
次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。
実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。
先に挙げた、「 【第2類医薬品】日本薬局方 加香ヒマシ油 20mL 」などのページを見ながら、テキストと突き合わせるだけでも、記憶に残ります。
テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。
「胃腸に作用する薬」の「腸の薬」の「小腸刺激性瀉下成分」は、当該成分のみです。
使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、
テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、
過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '24年版 (2024年版) 」を使えば支障ありません。
登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。
興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。
そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。
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