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37条(37条書面)の必要的記載事項の考え方

はじめに、整理しないといけないことは、37条(37条書面)には、「必要的記載事項」と「任意的記載事項」の「2つ(2系統)」がある、ということです。

前者の「必要的記載事項」は、必ず記載しなければならない「義務」のものです。

後者の「任意的記載事項」は、あれば記載するものです。

前者と後者とでは、「義務」の強さが違います。

たとえば、前者に該当する「移転登記の申請時期」は、これは、当事者間で決まってないなら(まあ、まずないでしょうが)、「決めていない」などと、記載しなければなりません。

たとえば、後者に該当する「契約の解除」ですが、これは、当事者間で決まってないなら、37条書面に記載しなくてもよい、という塩梅です。

例題です。H26・問題42の選択肢ウです。

『Aが売主としてCとの間で売買契約を成立させた場合(Cは自宅を売却して購入代金に充てる予定である。)、AC間の売買契約に「Cは、自宅を一定の金額以上で光却できなかった場合、本件売買契約を無条件で解除できる」旨の定めがあるときは、Aは、37条書面にその内容を記載しなければならない。』

参考:宅建業法「37条(37条書面)」の過去問リスト

当該選択肢ですが、下線のところに注意してください。

「契約の解除」は、「定めのあるとき」に記載する「任意的記載事項」です。

選択肢は、「定めがある」ので、記載します。よって、「○」となります。

これが、たとえば、「契約の解除については、取り決めていなくても、37条書面に記載しなければならない。」などとあれば、「×」です。

「任意的記載事項」は、定めがあるときに記載すればよいだけで、ないなら「ない」で、記載する必要はありません。

対して、「必要的記載事項」は、必ず記載しないといけないものとなっています。

まずは、これらの「違い」を、しっかり認識してください。

さて、以下に、「必要的記載事項」について見ていきますが、もう片方の「任意的記載事項」については、「」を一読ください。

必要的記載事項とは、「契約書」

結論から言えば、「必要的記載事項」は、「契約書」です。

「契約書」というと、小さい文字であーだこーだかかれているものをイメージしますが、とどのつまりは、「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」です。

おなじみ「5W1H」ってな塩梅で、「契約書」の目的とは、「5W1H」を明白にして、後腐れなく、個々の義務を履行させる、ってな寸法です。

さて、当該「必要的記載事項」には、以下の…、

当事者の氏名(法人にあってはその名称)・住所

宅地・建物を特定するため必要な表示

既存建物ー建物の構造耐力上主要な部分等について、当事者双方が確認した事項

代金・交換差金の額(消費税額を含む)、その支払の時期・方法

宅地・建物の引渡しの時期

移転登記の申請の時期

…「6つ」があります。

これらは、ガチで暗記するよりも、先の「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」を頭に浮かべれば、理解が早まりますす。

「当事者の氏名(法人にあってはその名称)・住所」は、言うまでもなく「だれが」です。

「宅地・建物を特定するため必要な表示」は、「何を」です。

「既存建物ー建物の構造耐力上主要な部分等について、当事者双方が確認した事項」も、「何を」に当たります。

「代金・交換差金の額(消費税額を含む)、その支払の時期・方法」は、「いつ」と「どのように」「いくらで」です。

「宅地・建物の引渡しの時期」と「移転登記の申請の時期」は、まさしく「いつ」に該当します。

こんな風に、「37条書面」の「必要的記載事項」とは、「5W1H」なんだと、憶えていってください。

過去問例題

例題です。H28の問42の選択肢1です。

参考:宅建業法「37条(37条書面)」の過去問リスト

『Aは、宅地建物取引業者Bと宅地建物取引業者Cの間で締結される宅地の売買契約の媒介においては、37条書面に引渡しの時期を記載しなくてもよい。』

「引渡しの時期」は、先の5W1H「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」の「いつ」でした。

5W1Hの「いつ」は、「必要的記載事項」に該当します。んなもんで、37条書面に、記載するものとなります。

んで、当該規定は、宅建業者間の「8種制限」にはないので、業者間取引であっても、必ず、記載することになります。

参考:宅建:宅建業法の8種制限の語呂合わせ

よって、選択肢は、「×」と相なります。

こんな風に、5W1Hの「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」が、「37条書面」の「必要的記載事項」だと、憶えてしまいましょう。

37条(37条書面)の任意的記載事項の考え方」に続きます。

35条(重要事項の説明)の考え方‐物件に関すること

宅建業法の35条(重要事項の説明)は、ほぼ毎年、試験に出る最重要論点です。

当該論点のうち、「物件に関すること」ですが、これは、暗記も必要ですが、それ以上に、法制度の趣旨を理解することが先決です。

「どうして、こんな制度があるのか?」を考えていけば、「物件に関すること」の暗記は、かなり楽になります。

無理から憶えようとせず、以下の考え方を参考にして見てください。

ところで、35条のもう片方の論点「取引に関すること」はこちらです。

んでは、以下、「物件に関すること」の屁理屈をみていきたいと思います。

ざっくり理解

まずは、「物件に関すること」とは、『商品説明』と、大きく理解します。

皆さんも、1度は、オークションを利用したことがあると思います。

たとえば、服を落札する際は、サイズはもとより、着丈や袖丈、肩幅などの数字を、丹念にチェックするはずです。

たとえば、カバンなら、たて・よこ・マチの寸法やもとより、色、素材、ポケットの数、ブランド品ならシリアル番号やケアカードの有無等まで、念入りにチェックするはずです。

「物件に関すること」とは、オークションの落札と似たような感じです。

不動産取引において、その『物件』の購入・非購入に必要な「商品説明」が、35条(重要事項の説明)の「物件に関すること」なわけです。

35条がいまいちピンと来ないという人は、まず、「商品説明」という「4文字」を頭に刻んでみてください。

ここが、35条理解の第1歩目です。

商品説明とイメージしつつ

35条の対象は、言うまでもなく、「不動産」取引です。

んなもんで、「不動産」の買い物がよくなるための「商品説明」を、「35条(重要事項の説明)の物件に関すること」が担っているわけです。

いい買い物にするための商品説明」といった観点から、35条の「取引に関すること」の「8つ」を見ていきましょう。

まず、「登記された権利うんぬん」です。

「いい買い物」をするためには、自分が何を買おうとするのかを、明らかにしないといけません。買い物の前提中の前提です。

また、もしかしたら、売主は「所有権」を有していないかもしれません。んなもんで、取引対象の登記簿上の権利の種類を、35条の対象としているわけです。

次に、「法令上の制限」も、典型的な「いい買い物にするための商品説明」です。

もし、「法令上の制限」を買主が知らなかったとしましょう。

土地を買おうとしたら、その土地では、都市計画法等の規制により、3階以上建てられなかったとか、建蔽率の制限から予想以上に狭い家しか建てられなかったといった「ズンドコ」に遭遇してしまいます。

「法令上の制限」を35条の対象とすることで、こうした「ズンドコ」を避けることができます。

「私道負担」や「飲用水・電気・ガスの整備状況」も、言うまでもなく、「いい買い物にするための商品説明」です。

(この家、安いなー)と思っていたら、家に入るのに他人の土地を通らなければならず、お金がかかったり、その反対に、近所の人がその土地を往来するかもしれません。明らかに、トラブルの元になります。私道負担付きの物件のため、通るな・出て行けとはいえないからです。

そして、物件価格が安いのは、水道やガスが通っていないので、後々、自分で工事をしなければならない=工事費の分だけ安くなっていた、ってなこともあるでしょう。

「工事完了前なら、完了時における形状・構造」も、「思ったのと違う」を防ぐ意味があります。(もちろん、業者の法螺を防ぐ意味もあります。)

「区分所有建物である場合、国土交通省令等で定める事項」ですが、普通の家とマンション(区分所有建物)を買うのとでは、法律上、かなり異なってくるので、当該違いを明らかにする意味があります。

たとえば、普通の一戸建てなら、後の支払いはローンくらいですが、マンションの場合、ローンに加えて、修繕積立金・管理費といった経常的な支出が生じます。また、マンションの場合、あれやこれやの制限が規約で定められていることもあります。

んで、最後の「既存建物である場合の建物状況調査の実施の有無、及びその結果、設計図書等の保存状況」ですが、これも、「いい買い物にするための商品説明」といえましょう。

こんな風に、「取引に関すること」は、「いい買い物にするための商品説明」という観点から見ると、ぐっと頭に残りやすくなる、ってな寸法です。

近いか、遠いか

さて、長々と「いい買い物をするための商品説明」を見てきました。

最後に、試験的なことを述べておきたいと思います。

試験問題を解く際のキーワードは、「近いか、遠いか」です。

本試験の典型的な出題例は、「○○は、35条の説明対象か?」といった問題です。

たとえば、H29問41で出題された「登記の申請時期」は、35条の重要事項の説明対象でしょうか?

たとえば、H28問42・H29問40で問われた「引渡しの時期」は、35条の重要事項の説明対象でしょうか?

たとえば、「売主の氏名住所」は、35条の重要事項の説明の際に、説明義務のあるものでしょうか?

参考:宅建業法「35条(重要事項の説明)」の過去問リスト

こういう問題を考える際に、先のキーワード「近いか、遠いか」が活きてきます。

先に答えを言うと、3つとも、「説明しなくてよい=35条の対象外」です。

確かに、「登記の申請時期」や「引渡しの時期」、「売主の氏名住所」は、『重要なこと』には、違いありません。

しかし、それは、「いい買い物」に、貢献するかどうかを、考えてみてください。

「登記の申請時期」や「引渡しの時期」は、「商品」と、直接的な関係がありません。

「登記の申請時期」や「引渡しの時期」が早ければ、いい「買い物」になるのでしょうか?

そうではありませんね。

おなじみのオークションを思い起こしてみてください。

オークションでお目当ての物を落札する際、当該商品の発送の時期で、入札の当否を考えるでしょうか?

たとえば、カバンを買う際に、入金後の発送の早さで、(よし、この人は、入金後1日以内に発送するから、入札しよう!!)などと考えますか?考えないと思います。

「登記の申請時期」や「引渡しの時期」は、それ自体はとても重要でも、「商品」そのものとは、あまり関係がなく、かなり、「遠い」ところにあります。

よって、35条の商品説明ではないと判断するってな次第です。

ちなみに、「登記の申請時期」や「引渡しの時期」は、37条書面の記載事項です。

さて、最後の「売主の氏名住所」ですが、これも重要ではありますが、たとえば、大阪府在の山田太郎氏が売主の場合、(大阪に住む山田かー。山田と言う名前も、大阪と言う地方も、あまり好きじゃないから、この家を買うのよそう。京都市の飯島さんから買おう。名前好きだし。)などと考える人はいないと思います。

売主の氏名住所は、「商品」に、直に関係しません。「いい買い物のための商品情報」からは、かなり「遠い」ところにあります。

んなもんで、35条の対象ではない、と判断するってな寸法です。

ちなみに、売主の氏名住所は、37条書面の記載対象です。

当該論点は、いろいろな出題が考えられます。

しかし、「いい買い物のための商品説明」に「近い」か、「遠い」かで、判断すれば、そこそこ悩まずに判別できるかと思います。

しかし、「グレー」なものもあるので、注意してください。以下の補足にまとめています。

補足事項

以下は、整理して、正確に憶えてください。

35条の「物件に関すること」は、「いい買い物のための商品説明」なのですが、どっちつかずのグレーなものもあるので、注意が必要です。

まず、「代金・交換差金の額(消費税額を含む)」です。

価格・値段は、典型的な「商品説明」なのですが、35条の対象外です。

ヤフオク等で、価格重視で入札する人は、間違えやすいので、注意してください。

次に、「支払の時期・方法」も、35条の対象ではありません。

間違えやすいので、意識して、「支払の時期・方法も、35条の対象外」と、憶えてください。

宅地・建物を特定するための表示」ですが、まあ、一般的に言えば、「物件の所在地」なのですが、典型的な「商品情報」でありながら、これまた、35条の対象ではありません。

なお、これら3つ「代金・交換差金の額(消費税額を含む)」、「支払の時期・方法」、「宅地・建物を特定するための表示」は、37条の対象(必要的記載事項)です。

この3つは、個別的に、「商品説明だが、35条ではない、37条だ」と、整理して憶えてください。

以上は、35条の「物件に関すること」の考え方でした。

「取引に関すること」に続きます。

補足リンク

本ページのほか、「宅建業法「35条(重要事項の説明)」の過去問リスト」と「宅建業法「37条(37条書面)」の過去問リスト」で、過去問をチェックしておいてください。

35条(重要事項の説明)の考え方‐取引に関すること

35条(重要事項の説明)の「取引に関すること」ですが、ここは、実は、カンタンで、「暗記」で多くを済ませることができます。

「取引に関すること」は、ぜんぶで「8つ」あります。

しかし、この「8つ」のうち、「5つ」は、「37条(37条書面)」を重複しているのです。

当該重複事項は、語呂合わせがあるので、当該「5つ」は、語呂合わせで済ませることができます。

参考:「35条(重要事項の説明)と37条(37条書面)の重複事項の語呂合わせ

後は、残る「3つ」を、個別的に憶えてしまえばいい、ってな寸法です。

ちなみに、当該「3つ」は、憶え方があるので楽です。

ところで、もう片方の論点「物件に関すること」は、こちらです。

んでは、以下に、「取引に関すること」の考え方を見ていきます。

まずは、教科書的に

まずは、おさらいとして、「35条」の「取引に関すること」の「8つ」を、教科書的に挙げてみます。

・代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭の額、当該金銭の授受の目的

・契約の解除に関する事項

・損害賠償額の予定・違約金に関する事項

・手付金等の保全措置の概要

・支払金・預り金の保全措置の概要

・代金・交換差金について金銭の貸借(ローン)のあっせんの内容、そして、当該ローンの不成立のときの措置

・瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結及び措置、措置の概要

・その他、国土交通省令で定める事項

復習的に、めんどくさがらず、目を通しておきましょう。

語呂で憶えられる5つ

さて、先にウダウダ述べたもののうち、以下の…、

・代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭の額、当該金銭の授受の目的

・契約の解除に関する事項

・損害賠償額の予定・違約金に関する事項

・代金・交換差金について金銭の貸借(ローン)のあっせんの内容、そして、当該ローンの不成立のときの措置

・瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結及び措置、措置の概要

…は、語呂で憶えられます。

先の「35条(重要事項の説明)と37条(37条書面)の重複事項の語呂合わせ」を参考にして、憶えこんでください。楽です。

語呂で憶えられない3つ

語呂で憶えられないものは、以下の…、

・手付金等の受領の際の保全措置の有無および概要

・支払金・預り金の受領の際の保全措置の有無および概要

・その他、国土交通省令等で定める事項

…「3つ」です。

さて、どう憶えるかですが、「金がらみのその他3文字」で憶えてしまいます。

「手付金等の受領の際の保全措置の有無および概要」ですが、要は、「手付金」の3文字です。

「支払金・預り金の受領の際の保全措置の有無および概要」ですが、要は、「支払金」の3文字であり、「預り金」の3文字です。

「その他、国土交通省令等で定める事項」ですが、要は、「その他」の3文字です。
こんな次第で、「金がらみのその他3文字(手付金・支払金・預り金)」くらいに、憶えてしまいます。

なお、念のため言っておきますが、手付金・支払金・預り金、そしてその他の「金がらみの3文字」は、35条固有の規定です。37条にはありません。(37条と重複していません。)

つまり、「手付金」「預り金・支払金」「その他」については、35条の重要事項の説明対象であって、37条書面の記載対象ではない、といった次第です。

本試験では…、

『手付金の措置は、35条の重要事項として説明し、説明した後は、37条書面に記載しないといけない。』とか…、

『預り金を受け取ったときは、37条書面に記載しなくてはならない。』といった出題がされています。

両方とも「×」です。

先に述べたように、「金がらみの3文字」は、35条の固有規定であり、37条の記載義務の対象外です。

まとめ

「35条(重要事項の説明)」の「取引に関すること」は、「35条(重要事項の説明)と37条(37条書面)の重複事項の語呂合わせ」で紹介している語呂合わせで、半分以上を憶えることができます。

残りは、「金がらみのその他3文字(手付金・支払金・預り金)」で、憶えます。

後は、テキストで、個々の規定の詳細や出題ポイントを押さえるだけです。

なお、「35条「物件に関すること」の考え方」も、未読なら、一読願います。

補足リンク

本ページのほかに、「宅建業法「35条(重要事項の説明)」の過去問リスト」と「宅建業法「37条(37条書面)」の過去問リスト」で、過去問をチェックしておいてください。