「37条(37条書面)の必要的記載事項の考え方」の続きです。
本ページでは、「37条(37条書面)」の「任意的記載事項」を見ていきます。
まず、「任意的記載事項」ですが、「8つ」の規定があります。
復習・再記憶のために見ていくと…、
・代金・交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額、授受の時期・目的
・契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
・損害賠償額の予定・違約金に関する定めがあるときは、その内容
・代金・交換差金について金銭の貸借(ローン)のあっせんに関する定めがあるときは、当該ローン不成立のときの措置
・天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容
・瑕疵担保責任について定めがあるときは、その内容
・瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容
・宅地・建物に関する租税その他公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
…といった「8つ」があるわけです。
さて、長々と見てきましたが、このうち「5つ」は、35条と重複する事項です。
さて、35条と37条とで重複するものは、以下の…、
・代金・交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額、授受の時期・目的
・契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
・損害賠償額の予定・違約金に関する定めがあるときは、その内容
・代金・交換差金について金銭の貸借(ローン)のあっせんに関する定めがあるときは、当該ローン不成立のときの措置
・瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容
…の「5つ」です。
これらの規定は、重複の語呂で、憶えることができます。
その語呂は、『意外に軽快な予定が不成立。菓子を保証、保険をかけよ』で、詳細は「35条(重要事項の説明)と37条(37条書面)の重複事項の語呂合わせ」に述べています。
先のページの語呂を利用して、「任意的記載事項」を憶えてください。これで、「8つ」のうち「5つ」を潰せます。
さて、「任意的記載事項」のうち、残るのは…、
・天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容
・瑕疵担保責任について定めがあるときは、その内容
・宅地・建物に関する租税その他公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
…の「3つ」です。
これら3つの規定は、37条の固有事項、つまり、37条にしかないものとなっています。
これも、語呂合わせで、憶えてしまいます。
語呂は、「菓子は、危険。ゼイゼイ」です。
語呂のフレーズそのものは、即、憶えられるかと思います。
お菓子を食べ過ぎて体重が激増し、ゼイゼイと息切れしている情景を思い浮かべてみてください。
さて、語呂合わせの詳細ですが…、
菓子・・・かし・・・瑕疵→“瑕疵”担保責任
危険・・・“危険”負担
ゼイゼイ・・・ぜい→租“税”その他の公課の負担
…といった寸法です。
「菓子は、危険。ゼイゼイ」という語呂で、「任意的記載事項」の残り「3つ」を頭に入れてください。
例題として、H26の問40の選択肢エを挙げておきます。
『宅地建物取引業者は、建物の売買の媒介において、当該建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならない。』
当該選択肢の場合、先の語呂「菓子は、危険。ゼイゼイ」を憶えておけば、すぐに解答できます。
選択肢の「租税その他の公課の負担」のところは、語呂の「ゼイゼイ」のところでした。
んで、本問では、「定めがある」のですから、「任意的記載事項」として、37条書面に記載しなくてはなりません。
よって、選択肢は、「○」と、相なります。
次は、サンプル問題です。
『瑕疵担保責任については、重要事項で説明したうえで、37条書面にも記載しなくてはならない。』
「瑕疵担保責任」は、先の語呂で言う「菓子」に該当します。
んなもんで、「37条書面」の「任意的記載事項」だと判別できます。
よって、後半の「37条書面にも記載しなくてはならない」のところは、「正しい」と相なります。
しかし、この問題で注意すべきは、前半の「重要事項の説明対象かどうか」のところです。
先の語呂『菓子は、危険。ゼイゼイ』が示す「3つ」の規定は、「37条書面」の固有規定です。つまり、37条にしかないといった寸法です。
「37条」にしかないのですから、「35条」にはない、よって、「重要事項の説明」の対象になるわけがない、といった寸法です。
こんな次第で、本問では、前半の「重要事項で説明したうえで、」のところが「誤り」となり、選択肢全体は、「×」となります。
なお、憶え方の注意ですが、先に見た「8つ」と、混同しないでください。
先の「8つ」は、35条と重複していますが、残る「3つ」は、37条の固有事項で、37条にしかありません。
「37条書面」の「任意的記載事項」は、「35条・37条の重複事項の語呂合わせ」と、37条固有の「菓子は、危険。ゼイゼイ」の2つの語呂で、概要をつかめます。
後は、テキストにて、個々の詳細や出題ポイントを押えるだけです。
なお、未読なら、「37条(37条書面)の必要的記載事項の考え方」の方も、一読願います。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐宅建業法, 宅建‐語呂合わせ, 宅建業法‐37条(37条書面) | 2019年4月29日 4:52 PM |
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はじめに、整理しないといけないことは、37条(37条書面)には、「必要的記載事項」と「任意的記載事項」の「2つ(2系統)」がある、ということです。
前者の「必要的記載事項」は、必ず記載しなければならない「義務」のものです。
後者の「任意的記載事項」は、あれば記載するものです。
前者と後者とでは、「義務」の強さが違います。
たとえば、前者に該当する「移転登記の申請時期」は、これは、当事者間で決まってないなら(まあ、まずないでしょうが)、「決めていない」などと、記載しなければなりません。
たとえば、後者に該当する「契約の解除」ですが、これは、当事者間で決まってないなら、37条書面に記載しなくてもよい、という塩梅です。
例題です。H26・問題42の選択肢ウです。
『Aが売主としてCとの間で売買契約を成立させた場合(Cは自宅を売却して購入代金に充てる予定である。)、AC間の売買契約に「Cは、自宅を一定の金額以上で光却できなかった場合、本件売買契約を無条件で解除できる」旨の定めがあるときは、Aは、37条書面にその内容を記載しなければならない。』
当該選択肢ですが、下線のところに注意してください。
「契約の解除」は、「定めのあるとき」に記載する「任意的記載事項」です。
選択肢は、「定めがある」ので、記載します。よって、「○」となります。
これが、たとえば、「契約の解除については、取り決めていなくても、37条書面に記載しなければならない。」などとあれば、「×」です。
「任意的記載事項」は、定めがあるときに記載すればよいだけで、ないなら「ない」で、記載する必要はありません。
対して、「必要的記載事項」は、必ず記載しないといけないものとなっています。
まずは、これらの「違い」を、しっかり認識してください。
さて、以下に、「必要的記載事項」について見ていきますが、もう片方の「任意的記載事項」については、「」を一読ください。
結論から言えば、「必要的記載事項」は、「契約書」です。
「契約書」というと、小さい文字であーだこーだかかれているものをイメージしますが、とどのつまりは、「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」です。
おなじみ「5W1H」ってな塩梅で、「契約書」の目的とは、「5W1H」を明白にして、後腐れなく、個々の義務を履行させる、ってな寸法です。
さて、当該「必要的記載事項」には、以下の…、
当事者の氏名(法人にあってはその名称)・住所
宅地・建物を特定するため必要な表示
既存建物ー建物の構造耐力上主要な部分等について、当事者双方が確認した事項
代金・交換差金の額(消費税額を含む)、その支払の時期・方法
宅地・建物の引渡しの時期
移転登記の申請の時期
…「6つ」があります。
これらは、ガチで暗記するよりも、先の「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」を頭に浮かべれば、理解が早まりますす。
「当事者の氏名(法人にあってはその名称)・住所」は、言うまでもなく「だれが」です。
「宅地・建物を特定するため必要な表示」は、「何を」です。
「既存建物ー建物の構造耐力上主要な部分等について、当事者双方が確認した事項」も、「何を」に当たります。
「代金・交換差金の額(消費税額を含む)、その支払の時期・方法」は、「いつ」と「どのように」「いくらで」です。
「宅地・建物の引渡しの時期」と「移転登記の申請の時期」は、まさしく「いつ」に該当します。
こんな風に、「37条書面」の「必要的記載事項」とは、「5W1H」なんだと、憶えていってください。
例題です。H28の問42の選択肢1です。
『Aは、宅地建物取引業者Bと宅地建物取引業者Cの間で締結される宅地の売買契約の媒介においては、37条書面に引渡しの時期を記載しなくてもよい。』
「引渡しの時期」は、先の5W1H「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」の「いつ」でした。
5W1Hの「いつ」は、「必要的記載事項」に該当します。んなもんで、37条書面に、記載するものとなります。
んで、当該規定は、宅建業者間の「8種制限」にはないので、業者間取引であっても、必ず、記載することになります。
よって、選択肢は、「×」と相なります。
こんな風に、5W1Hの「いつ・どこで・だれが・何を・どのように・いくらで」が、「37条書面」の「必要的記載事項」だと、憶えてしまいましょう。
「37条(37条書面)の任意的記載事項の考え方」に続きます。
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宅建業法の35条(重要事項の説明)は、ほぼ毎年、試験に出る最重要論点です。
当該論点のうち、「物件に関すること」ですが、これは、暗記も必要ですが、それ以上に、法制度の趣旨を理解することが先決です。
「どうして、こんな制度があるのか?」を考えていけば、「物件に関すること」の暗記は、かなり楽になります。
無理から憶えようとせず、以下の考え方を参考にして見てください。
ところで、35条のもう片方の論点「取引に関すること」はこちらです。
んでは、以下、「物件に関すること」の屁理屈をみていきたいと思います。
まずは、「物件に関すること」とは、『商品説明』と、大きく理解します。
皆さんも、1度は、オークションを利用したことがあると思います。
たとえば、服を落札する際は、サイズはもとより、着丈や袖丈、肩幅などの数字を、丹念にチェックするはずです。
たとえば、カバンなら、たて・よこ・マチの寸法やもとより、色、素材、ポケットの数、ブランド品ならシリアル番号やケアカードの有無等まで、念入りにチェックするはずです。
「物件に関すること」とは、オークションの落札と似たような感じです。
不動産取引において、その『物件』の購入・非購入に必要な「商品説明」が、35条(重要事項の説明)の「物件に関すること」なわけです。
35条がいまいちピンと来ないという人は、まず、「商品説明」という「4文字」を頭に刻んでみてください。
ここが、35条理解の第1歩目です。
35条の対象は、言うまでもなく、「不動産」取引です。
んなもんで、「不動産」の買い物がよくなるための「商品説明」を、「35条(重要事項の説明)の物件に関すること」が担っているわけです。
「いい買い物にするための商品説明」といった観点から、35条の「取引に関すること」の「8つ」を見ていきましょう。
まず、「登記された権利うんぬん」です。
「いい買い物」をするためには、自分が何を買おうとするのかを、明らかにしないといけません。買い物の前提中の前提です。
また、もしかしたら、売主は「所有権」を有していないかもしれません。んなもんで、取引対象の登記簿上の権利の種類を、35条の対象としているわけです。
次に、「法令上の制限」も、典型的な「いい買い物にするための商品説明」です。
もし、「法令上の制限」を買主が知らなかったとしましょう。
土地を買おうとしたら、その土地では、都市計画法等の規制により、3階以上建てられなかったとか、建蔽率の制限から予想以上に狭い家しか建てられなかったといった「ズンドコ」に遭遇してしまいます。
「法令上の制限」を35条の対象とすることで、こうした「ズンドコ」を避けることができます。
「私道負担」や「飲用水・電気・ガスの整備状況」も、言うまでもなく、「いい買い物にするための商品説明」です。
(この家、安いなー)と思っていたら、家に入るのに他人の土地を通らなければならず、お金がかかったり、その反対に、近所の人がその土地を往来するかもしれません。明らかに、トラブルの元になります。私道負担付きの物件のため、通るな・出て行けとはいえないからです。
そして、物件価格が安いのは、水道やガスが通っていないので、後々、自分で工事をしなければならない=工事費の分だけ安くなっていた、ってなこともあるでしょう。
「工事完了前なら、完了時における形状・構造」も、「思ったのと違う」を防ぐ意味があります。(もちろん、業者の法螺を防ぐ意味もあります。)
「区分所有建物である場合、国土交通省令等で定める事項」ですが、普通の家とマンション(区分所有建物)を買うのとでは、法律上、かなり異なってくるので、当該違いを明らかにする意味があります。
たとえば、普通の一戸建てなら、後の支払いはローンくらいですが、マンションの場合、ローンに加えて、修繕積立金・管理費といった経常的な支出が生じます。また、マンションの場合、あれやこれやの制限が規約で定められていることもあります。
んで、最後の「既存建物である場合の建物状況調査の実施の有無、及びその結果、設計図書等の保存状況」ですが、これも、「いい買い物にするための商品説明」といえましょう。
こんな風に、「取引に関すること」は、「いい買い物にするための商品説明」という観点から見ると、ぐっと頭に残りやすくなる、ってな寸法です。
さて、長々と「いい買い物をするための商品説明」を見てきました。
最後に、試験的なことを述べておきたいと思います。
試験問題を解く際のキーワードは、「近いか、遠いか」です。
本試験の典型的な出題例は、「○○は、35条の説明対象か?」といった問題です。
たとえば、H29問41で出題された「登記の申請時期」は、35条の重要事項の説明対象でしょうか?
たとえば、H28問42・H29問40で問われた「引渡しの時期」は、35条の重要事項の説明対象でしょうか?
たとえば、「売主の氏名住所」は、35条の重要事項の説明の際に、説明義務のあるものでしょうか?
こういう問題を考える際に、先のキーワード「近いか、遠いか」が活きてきます。
先に答えを言うと、3つとも、「説明しなくてよい=35条の対象外」です。
確かに、「登記の申請時期」や「引渡しの時期」、「売主の氏名住所」は、『重要なこと』には、違いありません。
しかし、それは、「いい買い物」に、貢献するかどうかを、考えてみてください。
「登記の申請時期」や「引渡しの時期」は、「商品」と、直接的な関係がありません。
「登記の申請時期」や「引渡しの時期」が早ければ、いい「買い物」になるのでしょうか?
そうではありませんね。
おなじみのオークションを思い起こしてみてください。
オークションでお目当ての物を落札する際、当該商品の発送の時期で、入札の当否を考えるでしょうか?
たとえば、カバンを買う際に、入金後の発送の早さで、(よし、この人は、入金後1日以内に発送するから、入札しよう!!)などと考えますか?考えないと思います。
「登記の申請時期」や「引渡しの時期」は、それ自体はとても重要でも、「商品」そのものとは、あまり関係がなく、かなり、「遠い」ところにあります。
よって、35条の商品説明ではないと判断するってな次第です。
ちなみに、「登記の申請時期」や「引渡しの時期」は、37条書面の記載事項です。
さて、最後の「売主の氏名住所」ですが、これも重要ではありますが、たとえば、大阪府在の山田太郎氏が売主の場合、(大阪に住む山田かー。山田と言う名前も、大阪と言う地方も、あまり好きじゃないから、この家を買うのよそう。京都市の飯島さんから買おう。名前好きだし。)などと考える人はいないと思います。
売主の氏名住所は、「商品」に、直に関係しません。「いい買い物のための商品情報」からは、かなり「遠い」ところにあります。
んなもんで、35条の対象ではない、と判断するってな寸法です。
ちなみに、売主の氏名住所は、37条書面の記載対象です。
当該論点は、いろいろな出題が考えられます。
しかし、「いい買い物のための商品説明」に「近い」か、「遠い」かで、判断すれば、そこそこ悩まずに判別できるかと思います。
しかし、「グレー」なものもあるので、注意してください。以下の補足にまとめています。
以下は、整理して、正確に憶えてください。
35条の「物件に関すること」は、「いい買い物のための商品説明」なのですが、どっちつかずのグレーなものもあるので、注意が必要です。
まず、「代金・交換差金の額(消費税額を含む)」です。
価格・値段は、典型的な「商品説明」なのですが、35条の対象外です。
ヤフオク等で、価格重視で入札する人は、間違えやすいので、注意してください。
次に、「支払の時期・方法」も、35条の対象ではありません。
間違えやすいので、意識して、「支払の時期・方法も、35条の対象外」と、憶えてください。
「宅地・建物を特定するための表示」ですが、まあ、一般的に言えば、「物件の所在地」なのですが、典型的な「商品情報」でありながら、これまた、35条の対象ではありません。
なお、これら3つ「代金・交換差金の額(消費税額を含む)」、「支払の時期・方法」、「宅地・建物を特定するための表示」は、37条の対象(必要的記載事項)です。
この3つは、個別的に、「商品説明だが、35条ではない、37条だ」と、整理して憶えてください。
以上は、35条の「物件に関すること」の考え方でした。
本ページのほか、「宅建業法「35条(重要事項の説明)」の過去問リスト」と「宅建業法「37条(37条書面)」の過去問リスト」で、過去問をチェックしておいてください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐宅建業法, 宅建業法‐35条(重要事項の説明) | 2019年4月28日 10:03 AM |
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