(けんせつぎょう けいりし)
建設業経理士とは? ‐ 特権付与資格 ‐ 試験の特徴 ‐ 合格率 ‐ 難易度 ‐ 建設業経理士でステップアップ ‐ まとめ ‐ 資格メモ‐試験日程・費用など
建設業経理士とは、1級から4級までの4つの級があり、求人数はそれぞれ、1級「約4件」、2級は「50件前後」で、3級は「約10件」となっている。(4級は除外した。)
求人の絶対数は多くないが、名前のとおり「建設業」の経理と業種が限定されるため、致し方がないように思われる。
求人先は、建設業や建築業、土木業で大半を占める。
が、時折、県や府の土木事務所などの公的機関からの引き合いもあり、なかなかに侮れない資格となっている。
賃金は一般的な経理職水準である。
が、建設・建築・土木は今後も『なくならない』。
勤務先の盛衰は別にして、業界そのものが衰退してこの世から無くなるということはなく、培った技能や知識は長期に活用できる。
ハローワーク平均求人数:2級‐50人(2018年8月調査)
当該資格の最新データは、「ハローワーク資格別求人数データ」にあります。
ところで、ハロワ登録資格の求人数1位~200位は…、
…を、参考ください。
基本的に、簿記資格は、単なる「能力証明」でしかない。
つまり、何たら簿記の資格を持っているからといって、何かの特権が付与されることはない。
しかし、建設業経理士の1級と2級は、後述するように、「取得者の数で会社の評価が上下する」効能があり、取得者にはそれなりの評価が与えられる。
突然だが、公共工事の受注の際は、受注に適切な会社かどうかの審査が行われる。
当該審査の際、建設業経理士の1級と2級の取得者数は、「公認会計士等数値」という評価テーブルに従って、当該企業の経理の健全性を計る指標となっている。
言うなれば、建設業経理士の1級と2級とは、ダイレクトに会社の評価に繋がるといった次第である。
このため、建設業経理士の1級と2級の有資格者は、建設業を生業とする企業において、それなりに評価される。
とはいえども、端的に言うと、「資格は、ないよりかはマシ」だし、「資格は、もう足りてるし」という実情ではある。
公共工事の受注は、当該企業の技術、実績、コネ・縁で決まるものであって、有資格者の人数で、その大勢が決まるものではない。
また、大きな会社となれば、有資格者はだいたい充足しているし、小さい会社だと必要な人数が少ないので、これまたあまり必要とされないといった手合いである。
このように、建設業経理士の1級・2級があるからといって、“三顧の礼”で迎えられるわけでもないし、超絶な価値が資格にあるわけではない。
しかし、そうは言っても、「建設業経理士の1級と2級の取得者数」が経営審査事項の1つあることに変わりはなく、少しでも受注の可能性を上げたい企業や日の新しい新設企業の求人では、『必須』とされるケースも、ままある。
このように、建設業経理士の1級・2級は、特権のない簿記資格とは異なり、「持っているだけで会社の評価にプラスになる」という強みがある。
当該特権の有無が、一般の簿記資格と、建設業経理士の大きな違いである。
建築業等の経理の求人があった場合、ノーマルの簿記資格と建設業経理士とでは、やはり、後者に強い誘引があると思われる。
2級、3級は、到って普通の試験である。
特徴があるのは1級で、科目合格制度を採用している。
つまり、1科目ずつ受験して全3科目に合格すればよい、という寸法である。
科目合格は「5年」有効なので、急くこともない。
本試験は、年2回行われている。
受験資格は、1級・2級・3級ともになく、好きな級から挑戦することができる。
なお、勉強方法であるが、2級は「建設業経理士2級の独学」にまとめているので、参考願いたい。
1級は、科目別合格制度を採っており、個々の合格率は、例年20~30%台で推移し、平均で「25%」くらいに考えておけばよい。
4人に1人が受かり、3人が落ちるという、至極普通の試験である。
2級の合格率は、例年30~40%台であり、平均「35%」くらいである。
10人受ければ4人が受かって6人が落ちる、よくある合否比率である。
難易度は後述するが、一口で言うと、『ちゃんと勉強すれば受かる』試験である。
端的に言うと、「難しくない、厳しくない」難易度である。
建設業経理士の本試験は、1級・2級ともに、基礎的・基本的な出題が多く、テキストを読んで例題を解き、過去問演習を仕上げておけば穏当に合格できる難易度となっている。
出題形式にも、過度の厳しさはない。
計算問題以外に、懐かしの「穴埋め問題」があり、しかも語群からの選択方式となっていて、酷さは薄まっている。言うまでもないが、総合計算の問題が必ずあるので、楽ができるわけではない。
そして、試験制度からしても、厳しくない試験である。
まず、年に2回も試験があるので、不幸にして不合格となっても即リベンジが可能である。
また、先述したように、1級は、科目別合格制度が採用されているので、『一発勝負』という精神的負担が少なく、仕事や私生活に過度の負担をもたらさない試験となっている。
科目合格は「5年」有効であるので、急ぎに急いで取る必要がなく、腰を落ち着けて勉強できる“受験生にやさしい”試験となっている。
このあたりの、忙しい人に配慮した試験制度は、評価に値する。
これこそ、『大人の試験』であり、仕事や家事・育児を抱えていても無理なく勉強できる。
2級は、建設業経理の基礎や初歩的な原価計算が主に出題される。
凝りに凝った、練りに練った試験問題ではないので、ゼロからでも十分に合格を狙えるものである。
2級も、試験試験していない。
合格ラインは、1級・2級・3級・4級ともに「70%」であり、一般的な得点率である。
建設業経理士であるが、簿記や経理、会計の勉強になる。特に、簿記資格のステップアップには、ボリュームや難易度等からして、最適なものといえる。
以下、建設業経理士がどういう“勉強”になるか、述べていく。
簿記3級の合格者で、簿記2級の原価計算に苦手意識を持つ方は、いっそのこと、基礎的な原価計算の練習となる、建設業経理士の2級に挑戦するとよい。
簿記2級ほどの難しさはなく、また、2級ほどの分量もないので、簿記3級以降の資格として、建設業経理士2級は、有力な候補となる。
簿記2級の取得者は、建設業経理士1級に挑戦するのもよい。
建設業経理士1級の試験科目は、「財務諸表」「財務分析」「原価計算」である。
既学習の「原価計算」は別にして、「財務諸表」や「財務分析」は、これまでに培ってきた簿記の知識を、いっそう拡大・発展できる内容となっている。
建設業経理士1級は、簿記1級ほど困難ではないし、先述したように、仕事や私生活に過度の負担を強いる試験ではないので、簿記知識の幅を広げる、とてもよい勉強機会となるはずである。
売上高キャッシュフロー比率やら流動比率やら、金利負担能力やら健全性やら成長性やらの経営分析の用語は、商売や仕事上、知っておいて損はないし、興味のある方も多いだろう。
こうしたニーズを踏まえて、経営分析本や結構出版されているのだが、本を買ってきて読むのはあまりよい勉強ではない。
実際に数字やら数式を使ってトレーニングをするからこそ、血肉となる勉強になるのであって、座学や読書だけでは睡眠薬の代わりになるばかりである。
で、「資格の試験勉強を通じて勉強する」とよいわけだが、「財務分析」的な事柄が試験科目に採用されている試験は少なく、中小企業診断士といった難関試験にしかないのが実情である。
そこで、建設業経理士1級の登場と相なる。
当該試験では、基礎的な問題が多数出題されるので、初歩的な取っ掛かりや入門の勉強として、最適な『壁役』となっている。
また、先述したように、科目合格制度が採用されているので、「財務分析」だけを勉強することができ、そつがない。
下手な会計本や経営本を買ってくるより、腰を定めて、建設業経理士1級の「経営分析」に挑戦し合格するほうが、余程に効率よく身に付けられる。
簿記1級には会計学があり、税理士試験には財務諸表論という試験科目がある。
建設業経理士1級の「財務諸表」は、本当に基礎・基本的な出題なので、これらの試験の入門や地場固めとして、最適の難易度となっている。
「現状忙しくて手が回らないので、今のうちに、簡単なさわりだけでもやっておきたい」という人のニーズは、十分に満たすように思われる。
建設業経理士1級の「財務諸表」で勉強しておけば、先の2資格の試験勉強の際に、テキストの数十ページは既学習となるだろう。
建設業経理士は、Bクラスとした。なお、評価は1級と2級とであり、3級や4級は除く。
建設業経理士は、取得者の人数が経営審査事項の1要素であり、ノーマルな簿記資格にはない特権がある。
求人数は少ないも、建設業等では強い訴求があるので、求人の少なさは、引き合っているように思われる。
また、1級は、商売用語の勉強や、知識・教養用の勉強として、また、他資格の入門・練習としての役割を十分に満たすレベルである。
2級は、簿記3級のステップアップとして、分量・難易度ともに、実に悪くない。簿記のステップアップ資格として、個人的に強く推奨できる。
このように、建設業経理士は、建設業に特化した資格であり、一般的な取得理由にはならないが、特権があることと試験勉強を通じて学べるものとの価値とを勘案して、Bクラスの資格とした。
建設業経理士に関する、一般的事柄や試験日程・日時、取得に要する費用等を、以下にまとめました。
建設業経理士は、「公的資格」である。
建設業経理士は、検定試験であり、一定の能力評価がなされる。
建設業経理士の知名度は、建設業種では著名だが、他業種では低い。
建設業経理士に、受験資格はない。誰でも、好きな級を受験できる。
申込期間は、本試験の3ヶ月前から受付を始める。9月試験の申込は「6月いっぱい」で、3月試験は「11月下旬~12月下旬」である。
本試験日は、例年「9月中旬」と「3月中旬」である。
願書の配布は、おおむね申込期間と同じである。
試験実施団体は「建設業振興基金」である。
なお、一度は「建設業経理士 公式」などと検索をかけて公式を見て、試験情報を確認しておいてください。
一口で言うと、1級は1科目あたり「15,000円強」で、2級は「13,000円強」かかる。
適当かつ曖昧な内訳は、以下。
1級のテキストは、おおむね2,000円前後。
1級の過去問も、おおむね2,000円前後。
1級の受験料は7,410円(例年価格)。
雑費は、2,000円(交通費や切手代)。
総計「15,000円強」であり、3科目で「45,000円」といった塩梅である。
2級のテキストは、おおむね2,000円前後。
2級の過去問も、おおむね2,000円前後。
2級の受験料は6,280円(例年価格)。
雑費は、2,000円(交通費や切手代)。
総計「13,000円強」である。
なお、1級の受験料は、同日受験で割引がある。
教材は、冊数が一定していないので、利用するシリーズで予算は変動する。
1級教材価格参考‐建設業経理士-1級
2級教材価格参考‐建設業経理士-2級
試験の難易度を一口で言うと、「厳しくない、酷ではない」である。
基礎的・基本的な出題が多く、テキストと問題集、過去問を仕上げていれば、まず合格できる。
合格率は、1級が「25%」くらいで、2級が「35%」くらいである。
出題形式や試験制度は『酷ではない』が、常に6割強が落ちる試験なのは忘れてはいけない。
勉強時間は、「1~3ヶ月」を見ておけば、苦手科目は「半年」単位で考えれば、十分に合格点を確保できる。
試験勉強は、使う計算機によって大きく変わります。
100円ショップで売ってるようなペラペラ電卓の人は、買い換えることを絶対推奨します。バカみたいに能率が上がります。
計算機を選ぶ際は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」を参考にしてみてください。
読んで考えるのがめんどくさい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」で選べば支障はありません。
電卓の使い方については、「簿記検定計算機打ち方例」を、自分の電卓が試験で使えるかどうかの当否は、「簿記の電卓」で確認ください。
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