建設業経理士2級の独学

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 建設業経理士2級を独学で1発合格をめざす人に、「簿記2.5級」といった試験情報や合格率、合格基準点、勉強時間、傾向と対策、勉強方法を説述する。注意論点への対応や、勉強のコツも紹介。独学向け教材の紹介や再受験生用の過去問ページへのリンクも併せて掲載。

第34回試験(令和6年3月10日)について

 第34回試験は、「令和6年3月10日(日)」です。

 試験の申込期間は、「令和5年11月14日(火)~ 12月14日(木)」です。

 1ヶ月もありますが、受験予定なら、早々に申し込みましょう。

 なお、コロナインフルエンザの動向によっては…、

 ・試験の延期

 ・試験の中止

 ・試験会場の変更

 ・本試験時間の変更

 …などが想定されます。

 んで、当該『変更』等があっても、受験生個々への連絡は、今回も“ない”はずです。

 最新動向は、「公式:https://www.keiri-kentei.jp/」にて発表されます。

 本試験1週間前になったら、最低1回は、チェックしてください。

 また、当方の「twitter」でも告知するので、チェックしてみてください。

受験票について

 第34回の建設業経理士2級試験の受験票発送日は、「令和6年2月15日(木)予定」です。

 ごくまれに、「受験票が届かない」ことがあるので、注意してください。

 公式には、「2月26日(月)を過ぎても受験票が届かないときや、受験票を紛失したときは、以下の期間に建設業振興基金(TEL 03-5473-4581)までお問い合わせください」とあるので、該当する人は、即、連絡してください。

 んでは、本編です。

インデックス

 

  1. はじめての建設業経理士2級‐簿記2.5級
  2. 2建経の原価計算
  3. “苦しまない”受験‐先に簿記
  4. 独学向け教材
  5. 再受験の方へ
  6. 傾向と対策
  7. 直近試験の傾向と対策
  8. やってはいけない
  9. 勉強方法と序盤・中盤・終盤
  10. 注意論点1‐勘定科目
  11. 注意論点2‐配賦差異
  12. 注意論点3‐工事収益計上
  13. コツ1‐理論問題
  14. コツ2‐仕訳問題は外出先で
  15. コツ3‐解答用紙コピー
  16. 合格率
  17. 合格基準点+救済
  18. 勉強時間

はじめての建設業経理士2級‐要は簿記2.5級

 建設業経理士2級とは、一口で言うと「簿記2.5級」で、日商簿記の2級と3級の“あいだ”くらいの難易度です。

 建設業経理士2級ですが、“建設業”と銘を打っていますが、実のところ、本試験の半分は、商業簿記です。

 たとえば、「第24回-第1問の3問:利益処分」や、「第23回-第2問の1:固定資産売却」といった問題を見てください。簿記3級の知識で、解けてしまいます。

 また、たとえば、第5問「精算表」ですが、設問の半分は、お馴染みの減価償却や貸倒引当金の設定、経過勘定項目の処理といった、商業簿記の出題です。

 こんな次第で、2建経は、皆さんの考える以上に、商業簿記的な問題が多いのです。

 言い換えれば、簿記2級・3級があれば、2建経の大半の論点は、もう既に、終わっている、といった寸法です。

2建経の原価計算

 簿記2級等で、散々な目にあったために、「原価計算」に、苦手意識を持っている人が、そこそこ居られるかと思います。わたしもその1人でした。

 しかし、です。

 はっきり言うと、建設業経理士2級の「原価計算」は、難しくありません。

 2建経の「原価計算」で、挫折することは、まず“ない”、と言っておきます。

 というのも、2建経の原価計算は、「個別原価計算だけ」だからです。

 「個別原価計算」は、実にシンプルな計算方法で、ガチ文系・ド素人でも、直感的に理解できます。

 総合原価計算などで鍛えられた簿記2級保有者なら、2建経の原価計算は、まったく問題ではありません。実質的に、簿記2級のほうが難しいです。

 また、簿記3級しかなくても、ぜんぜんに対応可能です。

 また、こういうとアレですが、「原価計算」といっても、「算数」で解ける問題も多く、たとえば、代表的なのは「第3問」なのですが、電卓入力と転記だけで、事が済んでしまいます。

 参考:23回試験 第3問‐人件費予定配賦

 参考:24回試験 第3問‐部門費配分

 一度、先のリンク先の問題を解いてみてください。そこそこ、解けるはずです。

 こんな次第で、2建経の「原価計算」については、気にする必要は皆無です。

 (2建経は気になるけど、原価計算がなー)という人は、ぜひとも、挑戦してみてください。わたしもそうでしたが、杞憂でした。

“苦しまない”受験‐簿記を先

 結論を言うと、簿記2級なり3級を取ってから、建設業経理士2級に挑戦する、ってな寸法です。

 まったくゼロからでも、2建経に合格できなくはありませんが、かなりの苦戦が想定されます。

 まず、教材の問題があります。

 市販されている2建経の教材は、簿記の有資格者を前提としているようで、簿記や仕訳の基礎的なことに、紙面が割かれていないのです。

 このため、「簿記ゼロ状態」だと、2建経のテキストや過去問の記述・解説に、(???、なんでそうなるの???)といった“独学の苦しみ”に陥りやすいのです。

 この点、「簿記」は、市販の教材事情が、実に、充実しています。(資格の中で1番だと思います。)

 定評のある簿記教材なら、基礎的な記述に多くのページが割かれており、解説も多く、初学者の陥りやすいところにはケアがあり、そして、練習問題も多々あるので、簿記の「きほん」を、みっちりと、涵養できます。

 そして、簿記未経験の受験を勧めない切実な理由が「落ちやすい」という現実です。

 合格者のお話を窺うと、簿記資格のある人は、8~9割得点で、“余裕で受かっている”ケースが多いのです。

 これが、簿記未経験だと、ギリギリ7割という人が多かったです。

 試験勉強の能率と、不合格リスクの高さを鑑みれば、簿記資格を取ってからの2建経がベストかと思われます。

 「2建経→不合格→再受験→ギリギリ合格」より、「簿記3級→2建経1発合格」の方が、賢明だといわざるを得ません。

 受けるべきは、理想を言えば、簿記2級ですが、今は、簿記2級も難関化しているので、最低でも、3級を取ってから、2建経に挑戦すべきです。

 参考:簿記3級の独学

 参考:簿記2級の独学

補足:簿記3級でプラスアルファ

 強調しておきたいのは、簿記3級を取るのは、決して、遠回りではない、という点です。

 正直、建設業経理士は、建設業・建築業くらいでしか、評価されません。

 対して、簿記3級は、それこそ、介護事業から会計事務所まで、幅広い業種で評価されます。

 参考:簿記3級独学資格ガイド

 履歴書においても、「2建経」だけより、「簿記3級」もあるほうが、説得力を持ちます。

 資格の価値も踏まえれば、簿記3級を取るのは、まったく損はありません。まずもって、簿記3級の取得をお勧めします。

 ところで、建設業経理士にも、3級があるのですが、これは無用です。

 絶対的に、簿記のほうを勧めます。

 求人動向を鑑みると、簿記3級の求人数は平均で「1,700人強」ですが、3建経は「7人」と、240倍ほどの差があります。

 参考:ハローワーク資格別求人数データ

 建設業経理士3級は、まったく求められていない、と言えるでしょう。

独学向け教材について

 建設業経理士2級の市販教材は、ほぼ定番化しているので、大概、以下のようになると思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 どの教材も、詳細な説明と豊富な図示があるので、独学でも、困らない作りとなっています。

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのが面倒なら…、

 簿記2級持ちなら「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」で…、

 3級持ちなら、「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級」を使えばよいでしょう。

 さて、電卓です。

 建設業経理士2級でも、電卓への入力がたくさんあるので、高品質電卓を使用すべきです。計算ミスの数が違います。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。

 高品質な計算機

 ところで、当該カシオの計算機の小ネタですが、「AC」「1」「3」「7」を同時押しすると、「CASIO」と表示されるので、試してみてください。

再受験生の方へ

 前回・前々回の試験に落ちた人にとって、頭が痛いのは、過去問の「買い直し」です。

 必要なのは、実質1~2回分なのに、過去問を丸々買い換えるのは、『痛い出費』です。

 そこで、再受験生用に、過去問に解説と解答を付与しました。

 ・第31回試験(R4/9実施)の過去問+解説

 ・第30回試験(R4/3実施)の過去問+解説

 ・第29回試験(R3/9実施)の過去問+解説

 ・第28回試験(R3/3実施)の過去問+解説

 ・第27回試験(R2/9実施)の過去問+解説

 ・第26回試験(R1/9実施)の過去問+解説

 ・第25回試験(H31/3実施)の過去問+解説

 ・第24回試験(H30/9実施)の過去問+解説

 ・第23回試験(H30/3実施)の過去問+解説

 改正等には対応してませんが、参考程度には、使えるはずです。

傾向と対策

 結論から言うと、本試験の傾向は、ほぼ『パターン化』されており、試験問題は『定番問題』ばかりです。

 試験問題の大半は、過去問からの出題のため(要は、焼き直しや使い回し)、対策としては、『過去5回分』の過去問を、『3回』繰り返していれば、まず合格点を確保できる、といった次第です。

過去問の踏襲がほとんど

 2建経は、確かに、ときどき難問が出たり、新規の問題が出たりしますが、それでも、試験問題の大半は、過去に問われたものです。

 過去問を紐解けば、3~5回周期で、同様の問題が、“繰り返し”出題されていることがわかります。

 参考:建設業経理士2級 過去問+解説

 よって、過去問をきっちり消化して、個々の問題の解き方を押えていれば、ほぼ合格できてしまいます。

 表現を換えるなら、2建経の試験勉強は、問題パターンの把握と、解き方を憶える作業と相なります。

 ちなみに私事ですが、わたしが受験したときは、自己採点ですが、「100点」取れたと思っています。そのくらいに、過去問からの出題が多いのです。

直近試験の傾向と対策‐令和4年9月 第31回試験

 まずもって、「令和4年9月」実施の「第31回試験」ですが、第4問の「理論問題」がガチで難しかったです。

 通常、2建経の「理論問題」は、カンタンなものが多いのです。

 しかしながら、第31回の「理論問題」は、これまでになく難しかったです。

 既存のテキストでは、まったく対応できなかったと思われ、「0点」続出だったはずです。ちなみに、わたしも「0点」でした。

 しかし、気に病む必要は、そうないです。

 「理論問題」が難しかった分、他の問題は、実にオーソドックスで、ちゃんと過去問演習をした人なら、“ふつう”に解ける問題がほとんどでした。

 よって、“「理論問題」を全部落としても”、合格点を確保できたはずです。

 2建経ですが、ときどき、当該回のように、一部だけ超絶難化することがあります。

 しかし、問題全体で見ると、ちゃんと合格できるようになっていることが多いです。

 本試験にて、超絶難問に遭遇しても、(来たな!)という感じで華麗にスルーしてください。

 んで、他の問題に、カンタンなもの・解きやすいものはないか、探してください。

 難問で点を稼ぐ理由要はありません。取りやすいところから、点を確保してください。

直近試験の傾向と対策‐令和4年3月 第30回試験

 「令和4年3月」実施の「第30回試験」ですが、「第3問」の個別問題が、実にボリュームが大きかったです。

 これまでの試験の中で、最大のボリュームで、やることがあまりに多かったので、受験生は、クラクラしたと思います。

 しかし、そう気に病む必要はありません。

 「第3問」に手間と時間がかかる分、その他の問題は、到って“ふつう”か“カンタン”だった次第です。

 今後も、当該回の「第3問」のように、解答に時間がかかる巨大な問題が出題されるように思われます。

 試験対策的には、巨問は、「後回し」です。巨問はスルーして、先にほかの問題を解きます。

 要は、巨問以外の問題で、ある程度の点数を確保し、最後に巨問に着手する、ってな寸法です。

 こうしておけば、最悪、巨問が解き切れなくても、もう既に点数を確保しているので、部分点さえ取れれば合格、全然ダメでもギリギリ合格できる可能性があります。

 今後も、巨問を出題する可能性が高いです。しかし、その場合は、他の問題の質・量を“調整”するように思われます。

 当該回のように、「巨問は、後回し」で、凌いでください。

やってはいけない

 建設業経理士2級の独学にあたり、不合格者に共通する「ダメ勉強」を挙げておきます。

 以下の…、

  1. 目だけの勉強。
  2. ノートを作る勉強。
  3. 演習不足。

 …を、“やらない”だけで、合格が近づきます。

 落ちる人は、おおむね「3つ」のうち1つを、やってました。

『目』だけの勉強はダメ

 まず、やってはいけない筆頭は、「目で読むだけで、手を動かさない、頭の中だけの勉強」です。

 (ハイハイ、こーしたらいいんでしょ的)な「脳内作業」では、絶対に、本試験で問題が解けません。

 わかってはいても、愚直に、仕訳を切り、T字勘定を書き、勘定連絡図を書き、電卓を叩いてください。

ノート作りばかり。

 次のダメ勉強は、「ノートばかりを作る勉強」です。

 ノートを作っただけで、勉強した気になる人がいます。そうじゃありません。

 市販のテキストはある程度まとまっているので、ノートしたいことは、テキストの余白に書き込んで、極力、ノート作りを減らしましょう。

 ノート作りは、何回も間違うところ・すぐ忘れるところ“だけ”にします。

 1から10までノートを作るのは、非効率の極み。ノート作りを減らすだけで、試験勉強の能率は、格段に上がります。

問題演習不足。

 2建経も、簿記資格と同じで、“問題演習の数”で決まります。

 正直、2建経の1問1問は、そんなに難しくありません。

 しかし、だからといって、手を抜いて受かる試験でもないのです。

 完全にできる問題は別ですが、少しでも不安がある問題は、何度でも、繰り返しましょう。

 「数」は、嘘をつきません。「数」だけが、合格の確実なる指標です。

勉強方法について

 ぶっちゃけて言うと、建設業経理士2級の試験勉強は、簿記の独学時と同じような勉強方法でいいです。

 2建経でも、「繰り返し」と「回数」が物を言い、テキストを1~2回読んで、過去問を2~3回繰り返せば、独学合格です。

 ホント、建設業経理士2級は、「数」です。「数」さえこなせば、そこそこできるようになります。

 

 上記画像のように、解いた問題の余白に「正マーク」をメモって、「自分が何回やったか」を、わかるようにしておきましょう。

 では、以下に、序盤・中盤・終盤の勉強について、述べていきます。

独学序盤

 独学の序盤では、勘を取り戻すこと・建設業会計に慣れることに尽力します。

 まずは、「商業簿記」の論点から、潰して行きましょう。

 (あー、こういうのあったな)的なリハビリ感覚で、テキストを読んだら練習問題を解いて、“処理はほぼ同じですが”、建設業会計での要領を掴んでいってください。

 テキスト・問題集を進めて、しばらくすれば、(あー、建設業経理士では、こうやるのねー)的な感じになると思います。

 まあ、最初は、馴染みのない建設業の勘定科目に、たとえば、「売上」は「完成工事高」で、「仕掛品」は「未成工事支出金」で、「売掛金」は「完成工事未収入金」となっているので、戸惑うかもしれません。

 しかし、実質的に同じ意味なので、配偶者と一緒になったときのように、1週間もすれば、慣れます。

 とりあえず、一通り、テキストや問題集を、最後までやり抜いてください。

 曲りなりにでも、最後まで遣り通せば、だいぶ自信が付くはずです。

独学中盤

 テキストや問題集が「2回目」くらいになる、独学中盤となれば、だいぶ、建設業会計にも、慣れているはずです。

 ある程度、“できそう”な目途がついたら、果敢に過去問に挑戦です。

 建設業経理士2級の独学では、過去問演習こそが、最高の問題演習となっています。

 テキストには、不安な論点も残っているでしょうが、「過去問」に入りましょう。

 テキストの再勉強は、過去問を解いてからの方が、効率がいいです。理解のしやすさが違います。

 (本試験では、こういう風に出るのか)という出題傾向がわかれば、論点へのアプローチも、理解の度合いも、変わります。

 とにかく、過去問に着手して、バリバリと問題を消化していってください。

 過去問の繰り返し目標は、「2~3回」です。

 ところで、建設業経理士2級の本試験は「5問構成」で…、

  • 第1問:仕訳問題
  • 第2問:計算問題・推定問題
  • 第3問:「費目別計算」か「部門別振替表作成」
  • 第4問:「工事別計算」か「部門別計算」
  • 第5問:精算表

 …となっています。

 問題別の勉強方法は、保有資格によって異なります。

 詳細は…、

 簿記3級保有の方は、「簿記3級有資格者向け建設業経理士2級の勉強方法」を参考ください。

 簿記2級保有の方は、「簿記2級有資格者向け建設業経理士2級の勉強方法」を…、

 …を参考ください。

独学終盤

 一通り、過去問演習が終われば、独学も終盤です。

 過去問のうち、解ける問題・ずっと正解だった問題は、それで「OK」です。

 本試験でも、まず解けるので、解き方だけ見直しておきます。そのくらいの手当てでいいです。

 独学の終盤で大事なのは、間違った問題や解けなかった問題、手間取った問題を、リストアップするなり、ポストイットを貼るなりして、何回も『集中特訓』することです。

 過去問演習時に苦手なものは、本試験となれば、さらに、できません。

 苦手意識がなくなるまで、『数』をこなしましょう。

 特に、第5問の「精算表」の記入を、苦手にしている人が多いと思います。

 精算表の記入は、練習あるのみで、身体が憶えるくらいに、やり込みましょう。

 そうすれば、本試験では、まったく落ち着いて、“機械的に”身体が動くはずです。

わたしの「精算表」

 わたしも「精算表」の記入が苦手だったので、1問につき5~6回は、繰り返しました。

 わたしの当時の試験勉強ですが、仕訳は正確に切れたのに、転記ミスが実によく起きていました。

 よって、問題演習では、仕訳をいちいち切るのが非効率なので、仕訳は別紙に書いておいて保存しておき、転記だけを練習しました。転記だけなら、時間もかからないし、即、練習できるので、負担も少なくなりました。

 大事なことは、やることを、自分の弱点や苦手なところ『だけ』に絞ることです。

 1問丸々やるのは、精神的に面倒ですが、一部だけなら、時間もセーブできて、何より、「楽」です。

 終盤では、自分の弱点や不安箇所を、工夫して、ドンドコ潰していきましょう。独学合格は、すぐそこです。

建設業経理士2級の注意すべき個別論点

 簿記資格があれば、だいぶ有利に運ぶ2建経ですが、注意すべき論点が「3つ」あります。

 まず、本試験に登場するので、確実に、マスターしておく必要があります。

特有の勘定科目‐注意すべき個別論点その1

 簿記保有者が、最も戸惑うのが、建設業会計の特有の勘定科目です。

 勘定科目は、試験に出るものから、順次押えていきます。

 最優先すべきは、「未成工事支出金」です。

 「未成工事支出金」は、簿記で言う「仕掛品」なのですが、仕訳問題(第1問)から計算問題(第3・4問)、精算表(第5問)まで、本当に出まくります。

 他の勘定科目は、多少曖昧でも支障ないのですが、「未成工事支出金」は、そっくりそのまま、「みせい・こうじ・ししゅつ・きん」と、トイレなりお風呂なりで、何度も口に出して、ガチ暗記しましょう。

 次に優先すべきは、「完成工事未収入金」と「工事未払金」です。

 前者は「売掛金」で、後者は「買掛金」なのですが、これは、仕訳問題(第1問)と精算表(第5問)で、たとえば、決済があった等の問題設定で、出まくります。

 前者の「完成工事“未”収入金」は、「未」のところを意識して、「未だ受け取ってないお金=売掛金」くらいに、憶えましょう。

 後者の「工事未払金」は、文字だけなら難しくないのですが、ふつうの「未払金」もあるため、狙われています。

 「工事未払金・・・工事がらみの買掛金」くらいに、憶えましょう。

 最後に、「完成工事高(=売上高)」と「完成工事原価(=売上原価)」、「未成工事受入金(=前受金)」ですが、ぶっちゃけ、試験で直に出るのは、第1問の仕訳問題くらいです。

 また、テキスト等でよく出るので、自然と憶えていきます。

 それに、語句の漢字もよく似ています。

 完成工事“”・・・売上“

 完成工事“原価”・・・売上“原価

 未成工事“”入金・・・前

 下線部分を意識して見ていけば、すんなり、頭に残るはずです。

配賦差異‐注意すべき個別論点その2

 当該「配賦差異」の論点は、考えれば考えるほど、混沌としてくる論点です。

 んなもんで、当方は、機械的に済ませるやり方を推奨します。

 ブログの「配賦差異の機械的作業‐建設業経理士2級の勉強」を参考にして、凌いでください。

工事収益の計上‐注意すべき個別論点その3

 建設業の個別論点で、一番注意すべきは、下の「工事収益の計上」の「工事進行基準」です。

 工事収益の計算

 工事収益総額や工事見積原価の修正

 数式の上に、漢字の羅列で、そのうえ、似たような文言が多いため、もの凄く間違えやすい論点です。

 ここは、丁寧に、何回も何回も目を通して、1言1語、完全に暗記する必要があります。

 ぶっちゃけ言うと、建設業経理士2級の多くの論点は、簿記2級なり3級の知識の応用で解けてしまうのです。

 しかし、当該「工事収益の計上」だけは、簿記では出てこない建設業経理士の固有論点となっています。

 これだけは、完全に憶えていないと、問題が解けません。

 繰り返しますが、本当に、ここだけは、異色の存在なのです。問題演習と過去問演習を何回も繰り返して、100%マスターしてください。

コツシリーズ

 建設業経理士2級の独学の負担を、多少和らげる「コツ」です。参考にしてみてください。

[コツ1]理論問題について

 建設業経理士2級では、会計理論の出題があります。

 たとえば、「第23回 第4問‐1問目:理論問題」とかです。

 ぶっちゃけ言うと、あまり難しくはありません。また、出るところは決まっているので、ブログの「理論ポイント」や「建設業経理士2級 理論問題 過去問リスト」などを参考に、消化してみてください。満点は厳しいですが、2~3個は、取れるようになるはずです。

 理論は、考えれば考えるほどわからなくなるので、先のリンク先のような「暗記」が一番です。

 なお、時間に余裕のない人は、理論問題は、「捨て問」でもいいでしょう。

 予想配点は、4~5点程度なので、言うなれば、「仕訳1問分」です。

 わけわからんし、時間的に追えそうもないなら、いっそのこと、「捨て問」です。

 理論問題が全滅しても、他の問題で、いくらでもカバー可能です。

[コツ2]仕訳問題は外で勉強

 本試験の第1問の「仕訳問題」ですが、簿記有資格者なら、外出先で勉強可能です。

 仕訳問題は、「第1問の仕訳問題について」にて、リストにしています。

 第11回試験からの仕訳問題あるので、通勤・通学時に目を通してみてください。

[コツ3]解答用紙はコピーする

 建設業経理士2級も、「繰り返し」が大前提です。

 ですから、テキスト・過去問の解答用紙は、1~3枚ほど、コピーするなり、PDFからプリントアウトなりしておきます。

 コピーすべきは、第3問、第4問、第5問の解答用紙です。

 白紙で演習すると、手間取るに加え、実に答えにくいです。また、余計な神経を使うので、“バカミスを連発する”ため、演習の意味が薄れてしまいます。

 必ず、解答用紙をコピーして、問題演習・過去問演習してください。200~300円で効率が買えるのですから、コピー代をケチらないでください。

 コピーの枚数ですが、簿記2級合格者は、1~2回の演習で合格レベルですので問題ごとに2枚を、簿記3級の人は、3回くらいは見ておきたいので、1問ごとに3枚のコピーが目安です。

 ほいで、後々、足りなくなったら追加コピーです。

 なお、第1問は仕訳問題で、第2問は文章問題なので、解答用紙のコピーは無用です。チラシの裏で、問題演習しましょう。

合格率

 建設業経理士2級の合格率は、おおむね「35%」前後です。

 合格率は、例年「30%~40%後半」で推移しているので、簿記試験と比べると、格段に受かりやすくなっています。

 また、建設業経理士2級の合格率には、極端な増減がありません。

 たとえば、簿記試験のように、あるときは1ケタ台になり、またあるときは40%超になるようなことは、2建経では、これまでに一度もありませんでした。

 過去のデータから、合格率をシビアに捉える必要はありません。

合格基準点+救済

 建設業経理士2級の合格基準点は、公式に「試験の合格判定は、正答率70%を“標準”とする。」とあるように、「7割得点」となっています。

 7割正解は、一見すると厳しいですが、キッチリ過去問を仕上げていれば、ふつうに取れるので、気にする必要はないと思います。

 さて、公表されていませんが、『調整(救済)』の存在について、指摘しておきたいと思います。

 さて、先ほど、「試験の合格判定は、正答率70%を“標準”とする。」と、述べました。

 文中の“標準”という文言の存在から、「受験生の得点が、あまりに低かったら、合格基準点を『調整』して、合格者を出す」という、主催者の意思表示が読み取れます。

 たとえば、新傾向問題を出してみたら、受験生のほとんどが解けず、平均点が50点くらいになったときには、“柔軟に”合格基準点を上げ下げする、ってな塩梅です。

 「7割正解」は、一応のものであり、ガチンコの基準ではないと思われます。

 んなもんで、試験を捨てないでください。

 受験生は似たり寄ったりの実力です。

 あなたができない問題は、他の受験生も無理です。

 難問ばかりに遭遇して、半分しか解けなくても、2建経には「調整(救済)」が“ありそう”なので、試験放棄しないでください。合格の可能性は、まだ“たっぷりと”残っています。

勉強時間

 簿記2級持ちの方は、ほとんどの論点が学習済みなので、「1日1~2時間」くらいの試験勉強で、早い人で「2週間」、普通の人で「1~2ヶ月」あれば合格ラインに到達します。

 簿記3級持ちの方は、原価計算という慣れない作業があるので、「1日1~2時間」の勉強を、「1~3ヶ月」くらいを、見ておくとよいでしょう。

 こんな次第で、受験を申し込んでから勉強を始めても、間に合います。

 ざっくりと、1日1~2時間くらいの試験勉強で、「1~3ヶ月」を見ておけば、大丈夫かと思います。

建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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