登録販売者 第2章:人体

第2節:薬が働く仕組み

第1項:薬の生体内運命

1)薬の生体内運命(b)薬の代謝、排泄

 「② 循環血液中に移行した有効成分の代謝と排泄

 「循環血液中に移行した有効成分は、主として肝細胞の薬物代謝酵素によって代謝を受ける。」

 「多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており(※2)、複合体を形成している有効成分の分子には薬物代謝酵素の作用で代謝されず、またトランスポーター(※3)によって輸送されることもない。」

 「したがって、代謝や分布が制限されるため、血中濃度の低下は徐々に起こる。」

注記‐※2

 「血漿タンパク質と結合して複合体を形成」の「注記」は…、

 「血漿タンパク質との結合は速やかかつ可逆的で、一つ一つの分子はそれぞれ結合と解離を繰り返している。」

 …となっています。

 そこそこ出る「注記」で、要チェックです。

 問われるのは、「可逆的」のところです。「関西広域連合 R3 第72問」のように、“不可逆的”と変えられるので、丁寧に読み込んでおきましょう。

注記‐※3

 「トランスポーター」のところの「注記」ですが…、

 「細胞膜の脂質二重層を貫き、埋め込まれて存在する膜貫通タンパク質で、細胞膜の外側から内側へ極性物質、イオンを選択的に運ぶ」

 …となっています。

 ナンノコッチャの「注記」ですが、なんと!!出題実績があります。「香川県 R3 第33問」です。

 ガチ暗記は無用ですが、先の過去問で問われた「選択的」のところは押えておきましょう。

 ほかのところも、その内容を押えておきましょう。




ひとくちコメント

 まずもって、当該節で最も問われる記述があって、それは…、

 「多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している有効成分の分子には薬物代謝酵素の作用で代謝されず、またトランスポーターによって輸送されることもない。」

 …のところです。

 ここは、太古の昔からよく出る記述です。

 ・血漿タンパク質と結合して複合体を形成。

 ・薬物代謝酵素の作用で代謝されない。

 ・トランスポーターによって輸送されることもない。

 …は、チェックしておきましょう。

 正直、ナンノコッチャの記述ですが、おそらく、手引きを書いている人もあまりわかってないので、こういう当たり障りのない無味乾燥な文章になっているのだろうと推測します。

 試験には、当該記述がそのまんま出るので、読み込んでおきましょう。当該「(b)薬の代謝、排泄」で最も出ている記述です。

 「島根県 R5 第32問」といった出題もあって、解答のキーとなるので、しっかり精読しておきましょう。

 んでは、本文に戻ります。


 「循環血液中に存在する有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄される。」

 「従って腎機能が低下した人では、正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくい。そのため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。」

 「また、排泄の過程においても血漿タンパク質との複合体形成は重要な意味を持つ。」

 「複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることとなり、作用が持続する原因となる。」




ひとくちコメント

 一口で言えば、薬の有効成分は、腎臓から尿中に排泄されます。

 こういうとアレですが、違法薬物の検査に、尿検査が行われるのも、このためです。

 次に、「腎機能が低下した人」ですが、「医薬品」の「相談すること」の理論的背景なので、押えておきましょう。

 あと、「複合体は腎臓で濾過されない」も、押えておきましょう。選択肢の1つによく出ます。「福岡県 R1 第34問」とかです。

 まあ、内容的には、難しくないです。理解しておけば、十分に試験問題は解けると思います。

 以上で、このページは、終了です。ご苦労様でした。

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 「2)薬の体内での働き その1」に続きます。

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