登録販売者 第2章:人体

第2節:薬が働く仕組み

第1項:薬の生体内運命

1)薬の生体内運命(a)有効成分の吸収

 「② 内服以外の用法における粘膜からの吸収

 「内服以外の用法で使用される医薬品には、適用部位から有効成分を吸収させて、全身作用を発揮させることを目的とするものがある。」

 「坐剤はその代表的な例である。」

 「肛門から医薬品を挿入することにより、直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させるものである。」

 「直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布して通っており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。」

 「また、口に含むため内服と混同されやすいが、抗狭心症薬のニトログリセリン(舌下錠、スプレー)や禁煙補助薬のニコチン(咀嚼剤)のように、有効成分が口腔粘膜から吸収されて全身作用を現すものもある。」

 「これらの部位を通っている静脈血は肝臓を経由せずに心臓に至るため、吸収されて循環血液中に入った成分は、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。」




ひとくちコメント

 「② 内服以外の用法における粘膜からの吸収」ですが、そこそこ試験に出るところで、要注意単元です。

 「適用部位から有効成分を吸収させて、全身作用を発揮させることを目的とするもの」の代表例たる「坐剤」と「抗狭心症薬のニトログリセリン(舌下錠、スプレー)や禁煙補助薬のニコチン(咀嚼剤)」は、押さえておいてください。

 「宮城県 R3 第80問」のように、意外にピンポイントで問われたりします。

 あと、「静脈」にも、注意です。「ひっかけ」で“”脈に変えられます。

 何度も目を通しておいて、シッカリと読み込んでおきましょう。

 んでは、本文に戻ります。


 「ただ、医薬品によっては、適用部位の粘膜に刺激等の局所的な副作用を生じることがある。」

 「したがって、そのような副作用を回避するため、また、その有効成分の急激な吸収による全身性の副作用を回避するため、粘膜に障害があるときは使用を避けるべきである。」

 「鼻腔の粘膜に医薬品を適用する場合も、その成分は循環血液中に入るが、一般用医薬品には全身作用を目的とした点鼻薬はなく、いずれの医薬品も、鼻腔粘膜への局所作用を目的として用いられている。」

 「しかし、鼻腔粘膜の下には毛細血管が豊富なため、点鼻薬の成分は循環血液中に移行しやすく、また、坐剤等の場合と同様に、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布するため、全身性の副作用を生じることがある※1)。」

 「眼の粘膜に適用する点眼薬は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがある。」

 「従って、眼以外の部位に到達して副作用を起こすことがあるため、場合によっては点眼する際には目頭の鼻涙管の部分を押さえ、有効成分が鼻に流れるのを防ぐ必要がある。」

 「咽頭の粘膜に適用する含嗽薬(うがい薬)等の場合は、その多くが唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため、咽頭粘膜からの吸収が原因で全身的な副作用が起こることは少ない。」

 「ただし、アレルギー反応は微量の抗原でも生じるため、点眼薬や含嗽薬(うがい薬)等でもショック(アナフィラキシー)等のアレルギー性副作用を生じることがある。」

注記‐※1

 「全身性の副作用を生じることがある」のところに、「注記」があります。挙げると…、

 「坐剤であっても、直腸上部から有効成分が吸収されると、肝臓で代謝を受け、全身へ分布する有効成分の量が少なくなってしまう

 …となっています。

 坐剤のすべてがすべて、肝臓で代謝を受けないわけではないです。チェックしておきましょう。




ひとくちコメント

 「副作用」は、近年の試験で、よくよく出題されています。

 「副作用」との文言が出てきたら、丁寧に読み込んでおきましょう。

 本項では、点鼻薬、点眼薬、含嗽薬(うがい薬)が登場しますが、それぞれの副作用の機序(発生メカニズム)を押えておきましょう。

 出題例としては、「高知県 R5 第31問」があります。参考にしてください。

 以上で、このページは、終了です。ご苦労様でした。

ページリンク

 「(a)有効成分の吸収 ③ 皮膚吸収」に続きます。

補足リンク

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