登録販売者 第1章:基本知識

第4節:薬害の歴史

第2項:医薬品による副作用等にかかる主な訴訟 サリドマイド訴訟

医薬品による副作用等にかかる主な訴訟 サリドマイド訴訟

解説

 「基本知識」での最大のガチ暗記ポイントです。

 細かいところまで、“これでもか!”と言うくらいに出まくっているので、注意してください。

 また、以下の…、

 ・ブログ:サリドマイド・サリドマイド訴訟のポイントまとめ+憶え方

 ・ブログ:薬害訴訟(CJD訴訟,HIV訴訟,スモン訴訟,サリドマイド訴訟,C型肝炎訴訟)の横断学習のページ‐論点整理とまとめ

 …も、参考にしてください。

(a) サリドマイド訴訟

 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。

 1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立した。




ひとくちコメント

コメント1

 「催眠鎮静剤」が、ガチで出ます。

 特に、他の薬害の薬と入れ替えられる傾向があり、たとえば、スモン訴訟の「整腸剤」と変えられたりします。

 ガチで暗記してください。

コメント2

 サリドマイド訴訟は、和解が成立しています。

 被告は、国と製薬会社です。

 こういうのも出るので、丁寧に押さえておきましょう。

 なお、年号・年月日は、問われたことがないので、1963年6月とかは、憶えなくていいです。もし出たら、諦めましょう。

 んでは、本文に戻ります。


 サリドマイドは催眠鎮静成分として承認された(その鎮静作用を目的として、胃腸薬にも配合された)が、副作用として血管新生(※1)を妨げる作用もあった。

 妊娠している女性が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。

 胎児はその成長の過程で、諸器官の形成のため細胞分裂が活発に行われるが、血管新生が妨げられると細胞分裂が正常に行われず、器官が十分に成長しないことから、四肢欠損、視聴覚等の感覚器や心肺機能の障害等の先天異常が発生する。

 なお、血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体(※2)のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)にはなく、また、鎮静作用はR体のみが有するとされている。

 サリドマイドが摂取されると、R体とS体は体内で相互に転換するため、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても(※3)催奇形性は避けられない。




ひとくちコメント

 「催眠鎮静成分」と「胃腸薬」が出ます。

 「胃腸薬」が、たとえば、健胃薬や解熱鎮痛薬等々に変えられたりするので、要注意です。

 R体とS体についての太文字部分も、よく出ています。ガチ暗記は無用ですが、何度も精読しておきましょう。

 なお、「注記」が3つありますが、ざっと読んでおけばいいでしょう。


 サリドマイド製剤は、1957年に西ドイツ(当時)で販売が開始され、日本では1958年1月から販売されていた。1961年11月、西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、西ドイツでは製品が回収されるに至った。

 一方、日本では、同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いており、かつ翌年になってからもその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、

 出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視された。

 サリドマイドによる薬害事件は、日本のみならず世界的にも問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。




ひとくちコメント

 まずもって、「行政の対応の遅さ」が出ます。

 必ず、チェックしておきましょう。

 そして、最大の論点が、「制度創設」です。

 薬害訴訟は、制度創設がらみの問題が本当によく出ます。ほぼ毎回です。

 「サリドマイド訴訟・・・副作用情報の収集体制の整備」は、ガチ暗記です。

 参考:サリドマイド訴訟‐副作用情報の収集体制の整備:過去問

注記1

 (※1)

 「既に存在する血管から新しい血管が形成されること。また、広義にはそれに伴い、新しい血管によって栄養分等が運ばれることも指す。」

 「胎児の成長過程のみならず、健康な成人においても重要であるが、成人における新しい血管の形成は胎児期に比べると活発でない。」

 「なお、腫瘍化した細胞近辺では血管新生が活発化し、腫瘍の成長を促すことから、血管新生を妨げる物質を抗癌剤として用いることがある。」

 選択肢の1つに出るかもですが、突っ込んだ出題は「ない」と思います。

 ざっくり目を通しておけばいいでしょう。

注記2

 (※2)

 「分子の化学的配列は同じであるが、鏡像関係(鏡に映ったように左右対称の関係)にあり、互いに重ね合わせることができないもの。」

 「互いに光学異性体にあるものについて、それぞれR体とS体として区別する表示方法のほか、d-体とl-体として区別する表記方法、D-体と L-体として区別する表記方法があり、医薬品の配合成分の名称の記載においては、それらの表記方法が用いられていることが多い。」

 これも、ざっくりでいいでしょう。

 登録販売者試験に、こういう難しい医学・薬学的なものは出ないと思います。

注記3

 (※3) 「サリドマイド製剤はR体とS体が分離されていない混合体(ラセミ体)を用いて製造されており、当時は、光学異性体の違いによって有効性や安全性に差が生じることは明確でなかった。」

 「その後、新たな有効成分を含む医薬品の承認にあたっては、光学異性体の有無や有効性、安全性等への影響についても確認、評価がなされるようになった。」

 これも、ざっくりですね。わたしたちは、医者になるわけじゃないですよ。

ページリンク

 「次のページ(主な訴訟 スモン訴訟)」へ。

補足リンク1

 通読用・・・「主な訴訟 全記述

補足リンク2

 大元インデックス・・・「Webテキスト インデックス

 本章インデックス・・・「基本知識 インデックス

 本節インデックス・・・「薬害の歴史 インデックス

こまごましたもの

 登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。

 そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。

みんなとシェアする