「税法」の勉強方法

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 宅建(宅地建物取引士)の試験科目「その他」に分類される「税法」の勉強方法を説述するページ。不動産取得税、固定資産税、印紙税、登録免許税、贈与税、所得税法、都市計画税ごとに、頻出論点を明記し、どのように勉強していけばいいかを述べます。税法科目の優先順位のほか、法改正アドバイスも。独学者向け内容。

税法

 「税法」ですが、「税法コメント」で述べているように、「2問」出題で、「1点」を狙う科目です。

 理想を言うと、試験とは「1点」を追うものなので、2点確保を目指したいところです。

 しかしながら、「2問」満点は、実に厳しいというか、費用対効果が極悪です。

 「2問」のうち、おおむね「1問」は取れるので、「コメント」のページで述べたように、「1点」確保を目標に、勉強していきましょう。

 長文ですが、最後らへんに述べているアドバイスの「法改正」だけは、目を通しておいてください。

時期

 結論からいうと、税法は、「後回し」です。

 試験勉強の「中盤」以降に、手を付けていけばいいです。

 税法ができても、他の重要科目ができなければ試験に落ちるからです。

 民法・宅建業法等がある程度終わってから、追々と税法を見ていくってな塩梅です。

過去問データ

 極端なことを言うと、すべての税法科目を勉強するのが理想的です。

 しかし、合理的な時間配分を踏まえれば、勉強対象を“絞る”方が賢明です。

 「宅建士 税法の過去問データ+出題予想」のページを参考に、受ける年度で出そうな税法をピックアップします。

 んで、まずは“それら”から、取り掛かることにします。

過去問データ注意

 まずもって、言っておきますが、「試験は水物」です。

 いつ傾向が変わるかわかりません。

 今年は出ない“はず”の税法科目が出てもいいように、対策はとっておくべきです。

 先のページの「予想」は、“最低限度の対策”であることを忘れないでください。

 勉強対象は絞るといえども、できるだけ、不動産取得税、固定資産税、印紙税、登録免許税は、やっておきましょう。

 後述しますが、まあ、「所得税」は、ガチ「捨て問」でもいいでしょう。

 んで、「都市計画税」も、ガチ「捨て問」です。

優先順位

 「税法」で優先すべき科目ですが…、

 優先すべきは、「不動産取得税・固定資産税」です。

 両法とも、ボリューム小で、試験傾向は明白で、最も1点に近い科目です。

 先述したように、例年、どちらかが出題され、ド級の出題率でもあります。「税法」では、最優先してください。

 次に優先すべきは、ボリューム小の「印紙税、登録免許税」です。

 両法は、これといった傾向がなく、全単元を押えないといけないので、手間なのですが、それでも、他の科目と比べたら、点数が取りやすいとしかいいようがないです。

 次いでは、「贈与税」です。

 これは、「できたら」くらいに見ておきます。

 最後に、“優先しなくていい”のは、「所得税」と「都市計画税」です。

 「所得税」は、ボリュームが大きく、かつ、内容が難儀なことが多く、脳が腐ります。

 また、試験の傾向も定まっておらず、実に点が取り難いです。

 よって、「所得税」は「捨て問」筆頭であり、本当に、最後の最後あたりで、やるくらいでいいでしょう。

 そして、「都市計画税」ですが、ほとんど出題されないので、最後の最後らへんで、ざっくり見ておけばいいでしょう。

傾向と勉強方法‐不動産取得税

 「不動産取得税」ですが、全単元が満遍なく出ています。

 一口で言うと、「べたっ」とした科目で、「ここがよく出る!!」的なものがほとんどありません。

 課税主体、課税客体(払わなくていい人・組織)、納税義務者、税額、徴収方法(普通徴収)、住宅・敷地の特例といった基本知識が問われます。

 よって、テキストで各論点を精読して、過去問演習をして、数字、定義、用語を押えていくという、オーソドックスな勉強となります。

 まあ、まずは、過去問で出題実績のあるところの制覇からやっていきましょう。

 一度出ると、数年後に、ぽこっと再出題されることがあるからです。

 特に…、

 ・課税されない取得(相続とか合併とか国・地方公共団体とか)

 ・納税義務者

 ・税率(ビル・倉庫等の非住宅家屋だけ4%)

 ・住宅・敷地の特例

 …は、しばしば“繰り返される”ので、テキストを念入りにチェックしておきましょう。

 こんな次第で、過去問事項を押えたら、テキストの精読を通じて、追々と、未出題事項を押さえていきましょう。

 参考:宅建「法令上の制限」の「税法」の過去問リスト

傾向と勉強方法‐固定資産税

 「固定資産税」ですが、要領的には、「不動産取得税」と傾向が似ているので、同じような勉強となります。

 「固定資産税」も、定番論点・頻出論点いうものがあまりなく、全単元・全論点から、バランス?よく出題されています。

 課税主体、課税客体、免税点、納税義務者、税額・税率、徴収方法(普通徴収)が出題されているほか、「特例(住宅用地、新築住宅)」も、よく出ています。

 基本的に、全範囲を押えることになるので、テキスト精読と過去問演習を通じて、数字、定義、用語を押えていきましょう。

 ま、「不動産取得税」と同様に、「固定資産税」も、まずは、過去問事項の制覇から初めて、追々と、未出題事項を押えて行きましょう。

 キチンと勉強したら、1点が格段に狙えます。がんばりましょう。

 参考:宅建「法令上の制限」の「税法」の過去問リスト

傾向と勉強方法‐印紙税

 「印紙税」ですが、これも、テキストに載っている全範囲から、バランス?よく、出題されています。

 よって、テキストの全内容を、押えていくことになります。

 問われるのは、主として、「契約書」の印紙税で、問われる論点は…、

 課税主体()、

 課税客体(課税文書・不課税文書・非課税文書、仮契約書など)、

 契約書別の税額(二以上の号の契約書・不動産交換契約書・変更契約書・土地賃貸借契約書・不動産贈与契約書)

 納付方法・納期限・過怠税(3倍)

 …となっています。

 また、ときおり、「領収書」の印紙税も問われており、「契約書」の論点と同じく、課税主体()、課税客体(各受取書、仮領収書など)、非課税文書、特殊な領収書(一部に売上代金を含む受取書・受領委託のケースの受取書)などが出題されています。

 「印紙税」では、「数字」が頻繁に出てくるので、最低でも、試験に出た数字や、テキストにて太文字・赤文字の数字は、押さえておくべきです。

 (太文字・赤文字のものは、かなり昔の試験(十年以上前の試験)で問われた数字であることが多いです。「使い回し」に備えて、損はありません。)

 ま、具体的な勉強方法としては、先の税法同様に、過去問事項の制覇から初めて、追々と、未出題事項を押えて行けばいいでしょう。

 ボリュームは小です。すぐ終わると思います。

 参考:宅建「法令上の制限」の「税法」の過去問リスト

傾向と勉強方法‐登録免許税

 先の「過去問データ」のページを見てもわかりますが、「登録免許税」は、毎度毎回試験に出ない税法です。

 んで、出るところですが、「住宅特例(軽減税率)」くらいです。

 過去問をチェックして、出題された周辺を、丁寧に読んでおきましょう。

 ボリュームは小なので、空き時間でちょっとずつ、読み進めるくらいでOKです。

 参考:宅建「法令上の制限」の「税法」の過去問リスト

傾向と勉強方法‐贈与税、所得税法、都市計画税

 さて、「贈与税」と「所得税」と「都市計画税」ですが、基本は、「後回し」です。

 時間に余裕があるとか、あと1点欲しいという人が、やるべき科目です。

贈与税

 3つのなかで優先すべきは、「贈与税」です。

 というのも、出題傾向が明白だからで、主として、「住宅がらみの資金の贈与」の出題に集中しているからです。

 よって、「相続時精算課税の住宅取得等資金贈与の特例」と「住宅取得等資金贈与の非課税特例」を、念入りに勉強します。

 “自分の年度が贈与税の周期に当たるなら”、テキストを精読して、過去問演習をしておきましょう。

 参考:宅建士 税法の過去問データ+出題予想

 なお、先の2つ論点は、FP試験でも頻出なので、FPという資格に興味があるなら、宅建を別にして、押えておいてもいいでしょう。

所得税

 「所得税」ですが、ボリュームが大で、これといった定番論点・頻出論点もなく、出題が宅建の範囲を超えることもあり、「捨て問」でよいと思います。

 それでも「やりたい」という人は、テキスト精読と過去問演習くらいが関の山かと思います。

 また、最低限度の対策として、「過去問に出たものだけは解けるようになっておく」と、「予想問題集・模試問題集に出たものは取れるようにする」くらいで、じゅうぶんかと思います。

 参考:宅建:予想問題集・模試問題集レビュー

都市計画税

 最後に、「都市計画税」ですが、単体での出題が過去10年に「ない」ので、これまた、最後の最後らへんに、テキストをチェックするくらいで、OKかと思います。

 分量的に、単独の出題は、まず考えられず、基本的に、「固定資産税」の選択肢1つとして、出題される可能性があるくらいです。

 「固定資産税」にプラスアルファするくらいで、押えたらいいでしょう。

 メンドウなら、「捨て問」です。

 ちなみに、わたしは都市計画税の存在すら忘れていました。

アドバイス1‐法改正

 アドバイスですが、「法改正」されたものは、キッチリと見ておきましょう。

 昨今の宅建では、「法改正」事項が頻出となっており、「税法」においても、直近・近年の改正事項がピンポイントで出題されることがあります。

 たとえば、R1の第24問:選択肢1の「タワーマンション」などがそうです。

 参考:R1 第24問:固定資産税

 いきなし「タワーマンション」と出てきたので、なんだこりゃ?となるのですが、実は、近年の改正事項でした。

 建築基準法や宅建業法のみならず、「税法」においても、「法改正」事項が、頻繁に出題されるようになっています。

 お使いのテキストなり過去問なりの出版社から、「法改正の手引き」などがパンフレット形式・PDF形式で提供されています。

 必ず、これらの法改正情報を入手し、「法改正」事項をチェックして、もし、「税法」に、「法改正」があれば、それだけでも、押えておきましょう。

 その法改正が、「捨て問」予定であっても、念のため、押えておくべきです。選択肢の1つにひょっこり登場し、それで判別できるかもしれません。

アドバイス2‐FP

 皆さんのうち、「FP」に興味があるなら、所得税と贈与税のうち、「住宅」に関した論点は、勉強しておくとよいでしょう。

 住宅関連の論点は、FPの予習になるからです。

 しかし、他の重要科目が遅れているなら、いくら、FPに出るからと言っても、所得税と贈与税は、「後回し」となります。

 FP試験は年3回、宅建は年1回。

 どちらを優先すべきかは、火を見るより明らかです。

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