登録販売者 第2章:人体

第1節:人体の構造と働き

第1項:胃・腸、肝臓、肺、心臓、腎臓などの内臓器官 3)循環器系(c)血液

循環器系(c)血液

 「血液は、血漿と血球からなり、酸素や栄養分を全身の組織に供給し、二酸化炭素や老廃物を肺や腎臓へ運ぶほか、ホルモンの運搬によって体内各所の器官・組織相互の連絡を図る役割もある。」

 「また、血液の循環によって、体内で発生した温熱が体表、肺、四肢の末端等に分配され、全身の温度をある程度均等に保つのに役立っている。」




ひとくちコメント

 当該記述は、ざっくり読んでおけばいいでしょう。

 体感的にも、一読すれば、内容を理解できるかと思います。

 んでは、本文に戻ります。

① 血漿

 「90%以上が水分からなり、アルブミン、グロブリン等のタンパク質のほか、微量の脂質、糖質、電解質を含む。」

 「アルブミンは、血液の浸透圧を保持する(血漿成分が血管から組織中に漏れ出るのを防ぐ)働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする。」

 「グロブリンは、その多くが、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担うため、そういったものは免疫グロブリンとも呼ばれる。」

 「脂質(中性脂肪、コレステロール等)は、血漿中のタンパク質と結合してリポタンパク質を形成し、血漿中に分散している。」

 「なお、血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない※3)。」

注記‐※3

 「脂質異常症や動脈硬化症に伴う血行障害は、血管の病変によるものであり、血液自体の粘稠性とは直接関係しない。」

 出題実績はありませんが、選択肢の1つとして出そうなので、見てはおきましょう。




ひとくちコメント

 「血漿」ですが、人体定番のカタカナ語句を制覇してください。以下の…、

 「アルブミンは、血液の浸透圧を保持する(血漿成分が血管から組織中に漏れ出るのを防ぐ)働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする。」

 「グロブリンは、その多くが、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担うため、そういったものは免疫グロブリンとも呼ばれる。」

 …は、確実に押さえておきましょう。

 「関西広域連合 R1 第64問」のように、これら2つのカタカナ語句がどういう働きをするのかが問われます。

 次に、数字です。「血漿・・・90%以上が水分」は、ガチ暗記です。

 んで、次に見ておくべきは、血液の粘稠性の記述です。

 一時期、ドロドロ血液が流行ったことがありますが、脂っこいものを食べても、別段、血液がドロドロになるわけじゃない、ってな塩梅です。

 尚書き部分の「血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない」は、押えておきましょう。

 昔から、こういう“一般的に誤った認識”の記述は、よく出ています。

 最後に、カタカナ語句の「リポタンパク質」ですが、あまり試験には出ません。

 とはいえ、「高コレステロール改善薬」で出てくる語句なので、ガチ暗記は無用ですが、内容だけは把握しておきましょう。

 んでは、本文に戻ります。

② 血球(赤血球、白血球、血小板)

 【赤血球】

 「中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占め※4)、赤い血色素(ヘモグロビン)を含む。」

 「ヘモグロビンは鉄分と結合したタンパク質で、酸素量の多いところ(肺胞の毛細血管)で酸素分子と結合し、酸素が少なく二酸化炭素が多いところ(末梢組織の毛細血管)で酸素分子を放出する性質がある。」

 「このようなヘモグロビンの性質によって、肺で取り込まれた酸素が、全身の組織へ供給される(二酸化炭素はヘモグロビンとほとんど結合せず、血漿中に溶け込んで末梢組織から肺へ運ばれる)。」

 「赤血球は骨髄で産生されるが、赤血球の数が少なすぎたり、赤血球中のヘモグロビン量が欠乏すると、血液は酸素を十分に供給できず、疲労や血色不良などの貧血症状(※5)が現れる。」

 「その原因としては、食事の偏りや胃腸障害等のため赤血球の産生に必要なビタミンが不足することによる場合(ビタミン欠乏性貧血)や、月経過多や消化管出血等による血液損失等のためヘモグロビンの生合成に必要な鉄分が不足することによる場合(鉄欠乏性貧血)などがある。」

注記‐※4

 「標高の高い土地での生活や重度の喫煙など、酸素が少ない環境で長期間過ごすと、血液中の赤血球の割合が増加する。」

 一読しておけばいいでしょう。

注記‐※5

 「心臓機能や自律神経系の障害による立ちくらみ(起立性低血圧)やめまいなどの症状が俗に貧血と呼ばれることがあり、誤って混同されやすい。」

 一読しておけばいいでしょう。




ひとくちコメント

 「赤血球」ですが、「貧血用薬」と大きく関係することから、昔からの定番論点です。

 出題例には、「長野県 R5 第44問」があります。

 選択肢の1つから、単独問題でも出るので、精読必須です。

 まずもって、数字の「血液全体の約40%」は、ガチ暗記です。20%や25%、70%等々に変えられてもいいようにしてください。

 次に、「鉄分と結合したタンパク質」の「ヘモグロビン」は、ガチで押えておきましょう。

 当該ヘモグロビンですが、中学理科レベルの記述ですが、小難しいところまで、出題されています。「島根県 R5 第24問」がそうです。

 油断できなくなっているので、括弧書きまで、丁寧に押さえておいてください。

 後は、一読しておけば大丈夫ですが、「赤血球は骨髄で産生される」ことを知らない人も多いことから、昔からよく出ています。押えておきましょう。

 んでは、本文に戻ります。


 【白血球】

 「体内に侵入した細菌やウイルス等の異物に対する防御を受け持つ細胞である。」

 「形態や機能等の違いにより、数種類に細分類される。」

 「ⅰ) 好中球は、最も数が多く、白血球の約60%を占めている。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、感染が起きた組織に遊走して集まり、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。」

 「ⅱ) リンパ球は、白血球の約1/3を占め、血液のほかリンパ液にも分布して循環している。リンパ節、脾臓等のリンパ組織で増殖し、細菌、ウイルス等の異物を認識したり(T細胞リンパ球)それらに対する抗体(免疫グロブリン)を産生する(B細胞リンパ球)。」

 「ⅲ) 単球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、組織の中ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。」

 「ⅳ) これらのほか、アレルギーに関与する白血球もある。」

 「これら種々の白血球が協働して、生体の免疫機能が発揮される。感染や炎症などが起きると全体の数が増加するとともに、種類ごとの割合も変化する。




ひとくちコメント

 「白血球」ですが、受験生が間違えやすいためか、超絶ド定番論点です。

 「好中球」、「リンパ球」、「単球」の重要語句と、それらの数字は、ガチ暗記してください。

 ここは、語句の「入れ替え」問題が特に多く、たとえば…、

 「“単球”は、最も数が多く、白血球の約60%を占めている」…、

 「“リンパ球”は、白血球の約5%と少ないが最も大きい」…、

 …といった次第です。

 語句(主語)の入れ替えのほかに、数字を突く問題も多々出ています。以下の…、

 「好中球・・・白血球の約60%

 「リンパ球・・・約1/3

 「白血球・・・約5%

 …は、ガチで憶える必要があります。

 憶え方があります。

 「登録販売者の「人体の働きと医薬品(人体)」の白血球の憶え方とまとめ」を、一読願います。

 次に、リンパ球では、「T細胞リンパ球」と「B細胞リンパ球」を、押えておきましょう。

 「石川県 R5 第5問」のような、人を食った出題が大半です。どっちがどっちなのか、把握しておきましょう。

 また、「三重県 R5 第19問」のように、いきなり薬害訴訟の問題で、免疫グロブリンが出てきたりします

 頭が???とならないよう、シッカリと憶えてください。

 本当に、カタカナ語句は、要注意ですが、その分、憶えたら選択肢を即答できるようになります。費用対効果が高いです。シッカリ憶えましょう。

 残る記述ですが、これまた、出題されるようになっています。

 「ⅳ) これらのほか、アレルギーに関与する白血球もある。」

 「これら種々の白血球が協働して、生体の免疫機能が発揮される。感染や炎症などが起きると全体の数が増加するとともに、種類ごとの割合も変化する。

 上記記述には、突っ込んだ出題はないですが、遺漏なく、読んでおくべきです。

 んでは、本文に戻ります。


 【血小板】

 「血管が破れたり切れたりすると、血液が血管外に漏れ出す。血管だけでなく皮膚まで傷ついて血液が体の外に流れ出す出血(外出血)に対し、血液が組織の隙間や器官の内部に流れ込むことを内出血という。」

 「生体には損傷した血管からの血液の流出を抑える仕組みが備わっており、血小板がその仕組みにおいて重要な役割を担っている。」

 「損傷した血管は、血管壁が収縮することで血流を減少させ、大量の血液が流出するのを防ぐ。同時に、損傷部位に血小板が粘着、凝集して傷口を覆う。」

 「このとき血小板から放出される酵素によって血液を凝固させる一連の反応が起こり、血漿タンパク質の一種であるフィブリノゲンが傷口で重合して線維状のフィブリンとなる。」

 「フィブリン線維に赤血球や血小板などが絡まり合い、血の凝固物(血餅※6))となって傷口をふさぎ、止血がなされる。」

注記‐※6

 「採血した血液が凝固して血餅が沈殿したときの上澄みを血清といい、血漿からフィブリノゲンが除かれたものである。」

 試験問題にしやすい記述といえます。何度か目を通しておいてください。

 このページを「お気に入り」に入れておいて、試験直前で、押えればいいでしょう。




ひとくちコメント

 「血小板」ですが、カタカナ語句を徹底攻略です。

 「フィブリノゲン→フィブリン」で、んで、「血の凝固物(血餅」と相なります。

 カタカナ語句以外も、試験に出ますが、体感的に理解できるから大丈夫かと思います。

 血小板の出題例としては、「長野県 R4 第45問」で、このくらいの問題が関の山です。

 テキストを遺漏なく精読して、カタカナ語句を憶えたら、十分かと思います。

 以上で、このページは、終了です。ご苦労様でした。

ページリンク

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補足リンク1

 通読用・・・「第1項 内臓器官 3)循環器系 全記述

補足リンク2

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