登録販売者 第1章:基本知識

第3節:適切な医薬品選択と受診勧奨

第1項:一般用医薬品で対処可能な症状等の範囲 全記述

一般用医薬品で対処可能な症状等の範囲 全記述

 一般用医薬品は、法(※1)において「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの(要指導医薬品を除く。)」(第4条第5項第4号)と定義されている。

 その役割としては、(1) 軽度な疾病に伴う症状の改善、(2) 生活習慣病ix等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)、(3) 生活の質(QOL)の改善・向上、(4) 健康状態の自己検査、(5) 健康の維持・増進、(6) その他保健衛生の6つがあり(※2)、

 医療機関での治療を受けるほどではない体調不良や疾病の初期段階、あるいは日常において、生活者が自らの疾病の治療、予防又は生活の質の改善・向上を図ることを目的としている。


 近年、急速な高齢化の進展や生活習慣病の増加など疾病構造の変化、生活の質の向上への要請等に伴い、自分自身の健康に対する関心が高い生活者が多くなっている。そのような中で、専門家による適切なアドバイスの下、身近にある一般用医薬品を利用する「セルフメディケーション」の考え方がみられるようになってきている。

 セルフメディケーションの主役は一般の生活者であり、一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されている。

 したがって、情報提供は必ずしも医薬品の販売に結びつけるのでなく、医療機関の受診を勧めたり(受診勧奨)、医薬品の使用によらない対処を勧めることが適切な場合があることにも留意する必要がある。

 症状が重いとき(例えば、高熱や激しい腹痛がある場合、患部が広範囲である場合等)に、一般用医薬品を使用することは、一般用医薬品の役割にかんがみて、適切な対処とはいえない。

 体調不良や軽度の症状等について一般用医薬品を使用して対処した場合であっても、一定期間若しくは一定回数使用しても症状の改善がみられない又は悪化したときには、医療機関を受診して医師の診療を受ける必要がある。

 なお、一般用医薬品で対処可能な範囲は、医薬品を使用する人によって変わってくるものであり、例えば、乳幼児や妊婦等では、通常の成人の場合に比べ、その範囲は限られてくることにも留意される必要がある。

 また、スポーツ競技者については、医薬品使用においてドーピングに注意が必要である。

 一般用医薬品にも使用すればドーピングに該当する成分を含んだものがあるため、スポーツ競技者から相談があった場合は、専門知識を有する薬剤師などへの確認が必要である。

注記1

 (※1)

 「薬事法等の一部を改正する法律により法律の名称が「薬事法」から(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に)改められた。「医薬品医療機器等法」「医薬品医療機器法」「薬機法」等と略される。」

注記2

 (※2)

 一般用医薬品承認審査合理化等検討会中間報告書「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」(平成14年11月)

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