「呼吸を行うための器官系で、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺からなる。」
「鼻腔から気管支までの呼気及び吸気の通り道を気道といい、そのうち、咽頭・喉頭までの部分を上気道、気管から気管支、肺までの部分を下気道という。」
「呼吸器は常時外気と接触する器官であり、様々な異物、病原物質の侵入経路となるため、幾つもの防御機構が備わっている。」
「鼻の内側の空洞部分である。鼻腔の入り口(鼻孔)にある鼻毛は、空気中の塵、埃等を吸い込まないようにするフィルターの役目を果たしている。」
「鼻腔の内壁は、粘膜で覆われた棚状の凸凹になっており、吸入された空気との接触面積を広げ、効率よく適度な湿り気と温もりを与えて、乾燥した冷たい外気が流れ込むのを防いでいる。」
「鼻腔内に物理的又は化学的な刺激を受けると、反射的にくしゃみが起きて激しい呼気とともに刺激の原因物を排出しようとする。」
「鼻腔の内壁には粘液分泌腺が多く分布し、鼻汁を分泌する。鼻汁は、鼻から吸った空気に湿り気を与えたり、粘膜を保護するため、常に少しずつ分泌されている。」
「鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つとなっている。かぜやアレルギーのときなどには、防御反応として大量に鼻汁が分泌されるようになる。」
「鼻腔と口腔につながっており、咽頭は消化管と気道の両方に属する。」
「咽頭の後壁には扁桃(※1)があり、粘膜表面が凸凹している。」
「扁桃はリンパ組織(白血球の一種であるリンパ球が密集する組織)が集まってできていて、気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。」
「喉頭は、咽頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分(喉頭隆起)がいわゆる「のどぼとけ」である。」
「喉頭は、発声器としての役割もあり、呼気で喉頭上部にある声帯を振動させて声が発せられる。声帯に過度の負担がかかると、声がかすれてくる。」
「喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支という。」
「喉頭の大部分と気管から気管支までの粘膜は線毛上皮で覆われており、吸い込まれた粉塵、細菌等の異物は、気道粘膜から分泌される粘液にからめ取られ、」
「線毛運動による粘液層の連続した流れによって気道内部から咽頭へ向けて排出され、唾液とともに嚥下される。」
「胸部の左右両側に1対ある。」
「肺自体には肺を動かす筋組織がないため、自力で膨らんだり縮んだりするのではなく、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われている。」
「肺の内部で気管支が細かく枝分かれし、末端はブドウの房のような構造となっており、その球状の袋部分を肺胞という。」
「肺胞の壁は非常に薄くできていて、周囲を毛細血管が網のように取り囲んでいる。」
「肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。」
「肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から二酸化炭素が肺胞気中に拡散し、代わりに酸素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われる(※2)。」
「肺胞気中の二酸化炭素は、呼気に混じって排出される。」
「俗に「扁桃腺」と呼ばれるが分泌腺ではなく、扁桃が正しい名称である。」
「ガス交換を行うため、肺胞は粘液層や線毛によって保護されておらず、肺胞まで異物や細菌が侵入してきたときには、肺胞表面を自在に移動できる肺胞マクロファージ(貪食細胞)がそれらを探しあてて取り込み、消化する防御機構が備わっている。」
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