農地法の「権利移動」と、国土利用計画法の「土地売買等の契約」を、整理してみました。復習やチェック用に。
結論から言うと、『地上権』と『賃借権』の設定・移転は、「農地法」と「国土利用計画法」の双方に適用がある、つまり、許可が必要、といった次第です。
農地法の「権利移動」に該当するのは、「地上権、永小作権、質権、使用貸借・賃借権等の使用収益権を設定もしくは移転すること」です。
そして、国土利用計画法の「土地売買等の契約」に該当するものの1つに、「地上権、賃借権設定契約(権利設定の対価のあるもの)」があります。
地上権と賃借権は、双方とも、規制対象となっており、「許可」が求められます。
地上権(ちじょうけん)と賃借権(ちんしゃくけん)の頭文字を取って、「ちちんプイプイ、許可必要」くらいの語呂で、頭に入れるといいでしょう。
(なお、国土利用計画法では、“対価の伴う”地上権・賃借権なので、注意してください。対価なしなら、契約に該当しないので、許可が無用となります。)
両法の相違点は、「永小作権、質権、使用貸借」の取扱いです。
農地法では、永小作権、質権、使用貸借の設定もしくは移転は、「権利移動」に該当し、法の適用があります。
よって、永小作権、質権、使用貸借の設定・移転には、農地法上の許可が必要です。
対して、国土利用計画法では、永小作権、質権、使用貸借権の設定または移転は、「土地取引等の契約」には該当せず、法の適用外です。
よって、国土利用計画法では、永小作権、質権、使用貸借の設定・移転には、許可が要りません。
こんな風に、両法では、永小作権、質権、使用貸借の取扱いが異なっているので、注意して見ておきます。
両法とも、本試験に出るのが、「抵当権」と「相続」です。
「抵当権」の設定は、農地法と国土利用計画法ともに、法の対象外です。
つまり、農地法では、抵当権の設定は、「権利移動」に該当せず、許可が無用です。
んで、国土利用計画法でも、抵当権の設定は、「土地取引等の契約」に該当せず、許可が無用です。
次に、「相続」による取得は、両法とも、許可は無用です。
農地法では、相続による取得は、「権利移動」に該当せず、許可が無用です。
んで、国土利用計画法でも、相続による取得は、「土地取引等の契約」に該当せず、許可は無用です。
まずは、上記のド頻出事項の2点を、ガチで押えてください。
以下に、細かい試験ポイントを挙げていきます。
農地法では、相続取得は、許可無用ですが、農業委員会に届け出る必要があります。
んで、「遺産分割」による取得は、農地法・国土利用計画法ともに、許可は無用です。
しかし、「遺贈」は、農地法では許可が必要で、国土利用計画法では、許可が無用です。
ややこしいですが、過去問のド頻出事項です。少しずつ、押えていってください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建‐法令上の制限 | 2019年9月6日 10:51 AM |
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超頻出論点「3条・4条・5条許可」の諸論点を、横断的にまとめて、憶えやすくしています。
以下に、許可権者、市街化区域内の特例、効力、処分、罰則といった論点を、ざっくり見ていきます。
なお、ほぼ毎回、試験に出るのは、「市街化区域内の特例」です。これだけは、特に意識して、憶えてください。
まずは、憶えやすいものから見ていきましょう。
「3条・4条・5条許可」に共通するのは、「罰則」です。
「3条・4条・5条許可」に違反すると、どの許可でも、「3年以下の懲役、300万円以下の罰金」に処せられます。
3と3なので、「農地法違反で、さんざん(3・3)」くらいに、憶えるといいでしょう。
許可なしに行なわれた「権利移動」は、「無効」です。
権利移動を伴う規定は、「3条」と「5条」でした。
よって、「権利移動」で、3条許可と5条許可のない契約(処分)は、無効となります。
4条許可は、「転用」のみなので、権利移動の規定そのものと関係がありません。
許認可権者・市街化区域内の特例・違反転用の3論点は、「3組(3条許可)」と、「4・5組(4条許可と5条許可)」に分けることができます。
それぞれの頭文字「許(きょ)」「市(し)」「違反(いはん)」を取って、「3組と4・5組の教師違反」くらいの語呂で憶えましょう。
以下、細かい規定を見て行きます。
許認可権者は、3組と4・5組とで、異なっています。
「3組(3条許可)」は、「農業委員会」です。
「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「都道府県知事等」です。
「農業委員会から5条許可を受ける必要がある」などと出題されても、即、「×」と、判別できるようになっておきましょう。
また、後述する「市街化区域の特例」と混同しないでください。特例を受ける場合は、「農業委員会への届出」です。「知事に届出」ではないので、注意です。
ひっかけ的な問題も出ています。
たとえば、「H29 問15」の「選択肢2」です。
「市街化調整区域内の4ヘクタールを超える農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。」ですが、「×」です。
「転用するために所有権を取得する」のは、「5条許可」が対象です。
んで、「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「都道府県知事等」なので、「知事等」が許可権者です。農林水産大臣ではないです。
前半の「市街化調整区域内」うんぬんは、出題者のブラフです。
農地法に出てくるのは、「市街化区域内」くらいしかないので、都市計画法の“ナンタラ区域”に、惑わされないようにしましょう。
当該「市街化区域内の特例」は、ほぼ毎年、出題される超絶ド頻出論点なので、必ず、憶えましょう。
「市街化区域内の特例」も、3組と4・5組とで、異なっているので、分けて憶えます。
「3組(3条許可)」は、「特例なし(許可必要)」です。
「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「あらかじめ、農業委員会に届出(許可不要)」です。
そもそも、3条許可に、「あらかじめ、農業委員会に届け出れば、許可無用」の規定は、存在していません。
たとえば、「H27 問22」の「選択肢1」です。
「市街化区域内の農地を耕作目的で取得する場合には、あらかじめ農業委員会に届け出れば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。」ですが、「×」です。
「3組(3条許可)」は、「市街化区域内の特例なし」なので、3条許可が必要です。
たとえば、「H30 問22」の「選択肢1」です。
「市街化区域内の農地を宅地とする目的で権利を取得する場合は、あらかじめ農業委員会に届出をすれば法第5条の許可は不要である。」ですが、「○」です。
設問の「5条許可」は、市街化区域内の特例があるので、届出でOK、許可は無用となります。
必ず、「3組(3条許可)・・・市街化区域内の特例なし(許可必要)」と、「4・5組(4条許可と5条許可)・・・市街化区域内の特例あり・・・あらかじめ、農業委員会に届出(許可不要)」と、憶えましょう。
また、「市街化区域“内”」のところにも、“よくよく”注意してください。
市街化区域“内”での特例です。
よって、市街化区域“外”なら、当該特例の適用はありません。
たとえば、「H27 問22」の「選択肢2と選択肢3」です。
選択肢2「農業者が自己所有の市街化区域外の農地に賃貸住宅を建設するため転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。」
「×」です。
市街化区域“外”での転用ですから、許可が要ります。
選択肢3「農業者が自己所有の市街化区域外の農地に自己の居住用の住宅を建設するため転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。」
「×」です。
市街化区域“外”での転用ですから、許可が要ります。
“内”か“外”かは、本当によく出るので、確実に、正確に、暗記してください。
「違反転用」に対する処置も、3組と4・5組とで、異なっています。
「3組(3条許可)」は、「規定が存在しない」です。
そもそも、3条許可は、「転用」が伴わないので、「違反転用」の規定が関係ないわけです。
んで、「転用」が伴うのは、4条許可と5条許可なわけですが、「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「原状回復・工事の停止命令、行政代執行」があります。
こんな風に、「3条」と「4・5条」の2つに分けると、整理しやすいです。
本ページは、以上です。
ある程度、わかってきたら、「宅建「法令上の制限」の「農地法」の過去問リスト」で、知識をチェックしてみてください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐法令上の制限, 宅建ノート‐農地法 | 2019年9月5日 10:50 AM |
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超頻出論点「3条・4条・5条許可」ですが、ゴチャゴチャしているので、憶え難いところです。
以下に、憶え方のコツを、述べていきます。
全体を、ざっくり憶えてしまいましょう。
3条許可は、「権利移動」を伴います。
4条許可は、「転用」が対象です。「権利移動」を伴いません。
5条許可は、「権利移動」を伴います。
上から見ていくと…、
権利移動(3条)
転用(4条)
権利移動(5条)
…となっており、4条許可は、「権利移動」に、挟まれて(サンドされて)います。
憶え方としては…、
「4条」は「転用」、前後の3条と5条が「権利移動」
…といった感じで、憶えます。
「3条・4条・5条許可」の内容は、文章で追うと、“合格者でも”混乱します。
よって、フレーズで憶えます。
まずもって、先に見たように、3条は、「権利移動」を伴うものでした。
これを前提にして…、
農→権利移動→農
採→権利移動→採
採→権利移動→農
…と憶えます。
個々の意味ですが、上段の「農農」は、「農地の権利移動で、転用を目的としないもの」です。
転用しないので、農地は農地のまんま、「農→農(農農)」ってな寸法です。
真ん中の「採採」は、「採草放牧地の権利移動で、転用を目的としないもの」です。
転用しないので、採草放牧地は採草放牧地のまんま、「採→採(採採)」ってな寸法です。
最後の「採農」は、「採草放牧地の権利移動で、農地に転用する目的のもの」です。
採草放牧地を農地に転用するので、「採→農(採農)」ってな寸法です。
3条許可は、文章で理解するより、フレーズで把握するのが一番です。
「3条許可は、権利移動を伴う、農農、採採、採農(のうのう、さいさい、さいのう)の3つ」くらいの語呂で憶えます。
4条許可ですが、その規制対象は、「権利移動を伴わない、農地の転用」です。
代表的な例に、子供の家を建てるために、田んぼを宅地にする例があります。
なお、一度、「宅地」にしたら、農地法の適用はありません。農地は好きに売れないので、当該4条許可を通じて「子供の家用の宅地」に転用して、家を建てずに、売却するようです。
さて、4条許可のフレーズですが…、
農→農以外
…で憶えます。
農地を、農地以外に転用する、ってな寸法です。
なお、4条許可のポイントですが、「採→採以外」は、適用対象外です。
つまり、「権利移動を伴わない、採草放牧地を採草放牧地以外への転用」については、制限されておらず、農地法の許可は、無用です。
まとめると、4条許可は「農→農以外」の「1つ」のみで、「採→採以外」は適用外といった次第です。
なお、転用について、国・県等と『協議』が成立した場合、許可があったものとみなされます。
当該協議は、4条許可の「例外」なので、念のため、押さえておきましょう。
先に見たように、5条許可は、「権利移動」を伴うものでした。
これを前提に、5条許可のフレーズを見ていくと…、
農→権利移動→農以外
採→権利移動→採・農以外
…で、憶えます。
文章で述べると、前者は、「農地の権利移動で、転用を目的とするもの」です。
後者は、「採草放牧地の権利移動で、採草放牧地・農地以外に転用するもの」です。
なお、「採草放牧地の権利移動で、農地に転用する」のは、「採→権利移動→農」なので、「3条許可」の対象です。
フレーズのまとめです。
3条許可の対象は、「権利移動を伴う、農農、採採、採農」です。
4条許可の対象は、「農→農以外」です。
5条許可の対象は、「農→権利移動→農以外、採→権利移動→採・農以外」です。
文章より、こういう短いフレーズの方が“間違えない”ので、苦手な人は、上記フレーズで押えてください。
本ページは、以上です。
ある程度、わかってきたら、「宅建「法令上の制限」の「農地法」の過去問リスト」で、知識をチェックしてみてください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐語呂合わせ, 宅建ノート‐農地法 | 2019年9月5日 10:39 AM |
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