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宅建無料ノート:農地法‐農地の定義と権利移動・・・重要ポイント直前チェック

「農地法」の頻出論点に、「農地の定義」と「権利移動」があります。

2~3年に1回は登場するので、遺漏なく、押さえておくべき論点です。

その前に、法目的を

「農地法」は、農地の荒廃や、農地の無秩序な開発等を阻止し、国家の根幹である食糧生産を担う「農地を保護」する法律です。

法の目的が、「農地の保護」にあることを、頭の片隅に置いておきましょう。

応用的な問題のときに、役立ちます。

たとえば、「H28の問22」の選択肢1です。

「相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合も、同項の許可を受ける必要はない。」ですが、「×」です。

後述しますが、前者の「相続」による農地取得は、許可は無用です。

問題は、後者の「相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合」の正否です。

「相続により農地を取得する場合」ですが、相続人は、おおむね農家の「子」なので、農地保護が図られる公算は、「大」です。

しかし、「相続人に該当しない者」だと、農家かどうか不明なため、農地がどうなるかわかったものじゃありません。

よって、「農地の保護」という法目的からすると、後半部分がおかしく、「許可を受けないとダメ」という推測が付く、ってな次第です。

こんな風に、「法の目的」から、選択肢を判断することもあるので、頭の片隅に置いていてください。

んでは、本編に入ります。

農地の定義

農地法の定義で、よく試験に出るのは、「現況主義」です。

登記簿上の地目は、関係ありません。

登記簿上、宅地で登記されていても、実際に、畑や田んぼなら、農地扱いとなります。これを、「現況主義」と言っています。

参考:H26 21問 選択肢4

他のポイントとしては、「休耕田(休耕地)」も「農地」です。

一時的に休耕していても、耕作の用に供しえる土地は、「農地」扱いです。

たとえば、「長期に休耕している農地を、宅地に転用する際は、許可は必要ない」などあれば、「×」となります。休耕地でも農地です。

なお、家庭菜園的ものは、農地ではありません。

権利移動

次によく出るのが、「権利移動」の内容です。

「権利移動」に該当するのは、「2つ」あって…、

所有権を移転すること(所有者規定)。

地上権、永小作権、質権、使用貸借・賃借権等の使用収益権を設定もしくは移転すること(使用者規定)。

要は、「権利移動」とは、農地の「所有者」か「使用者」が代わることです。

所有権の移転は、即、「権利移動」とわかりますが、使用収益権の設定・移転も、「権利移動」に含まれているので、注意してください。

なお、混同しやすいものに、「国土利用計画法」の「土地売買等の契約」があります。

混同しやすいので、違いを「農地法の権利移動と、国土利用計画法の土地売買等の契約のまとめ」にまとめました。後ほど、目を通しておいてください。

権利移動 頻出ポイント

「抵当権」は、超出論点です。絶対レベルです。

過去問参考:H26 第21問

過去問参考:H27 第22問

過去問参考:H29 第15問

「抵当権」の設定は、権利移動ではありません。

当該「抵当権」は、先の定義(地上権、永小作権、質権、使用貸借・賃借権等)に、列挙されていません。よって、「抵当権」の設定するのに、農地法の許可は必要ありません。

次に、試験に出るのは、「相続」です。

「相続」による取得は、「権利移動」に該当しないので、農地法の許可(3条許可)は、必要ありません。

しかし、遅滞なく、市町村の農業委員会に、届け出る必要があります。

また、「遺産分割」による取得も、相続に準じて、農地法の許可は、必要ありません。

「相続・遺産分割・・・3条許可要らない・・・農業委員会に届出」と、ガチ暗記です。

参考:H28 第22問

参考:H29 第15問

本ページは、以上です。

ある程度、わかってきたら、「宅建「法令上の制限」の「農地法」の過去問リスト」で、知識をチェックしてみてください。

農地法の権利移動と、国土利用計画法の土地売買等の契約の整理

農地法の「権利移動」と、国土利用計画法の「土地売買等の契約」を、整理してみました。復習やチェック用に。

共通するところ

結論から言うと、『地上権』と『賃借権』の設定・移転は、「農地法」と「国土利用計画法」の双方に適用がある、つまり、許可が必要、といった次第です。

農地法の「権利移動」に該当するのは、「地上権、永小作権、質権、使用貸借・賃借権等の使用収益権を設定もしくは移転すること」です。

そして、国土利用計画法の「土地売買等の契約」に該当するものの1つに、「地上権、賃借権設定契約(権利設定の対価のあるもの)」があります。

地上権と賃借権は、双方とも、規制対象となっており、「許可」が求められます。

地上権(じょうけん)と賃借権(ちんしゃくけん)の頭文字を取って、「ちちんプイプイ、許可必要」くらいの語呂で、頭に入れるといいでしょう。

(なお、国土利用計画法では、“対価の伴う”地上権・賃借権なので、注意してください。対価なしなら、契約に該当しないので、許可が無用となります。)

異なるところ

両法の相違点は、「永小作権、質権、使用貸借」の取扱いです。

農地法では、永小作権、質権、使用貸借の設定もしくは移転は、「権利移動」に該当し、法の適用があります。

よって、永小作権、質権、使用貸借の設定・移転には、農地法上の許可が必要です。

対して、国土利用計画法では、永小作権、質権、使用貸借権の設定または移転は、「土地取引等の契約」には該当せず、法の適用外です。

よって、国土利用計画法では、永小作権、質権、使用貸借の設定・移転には、許可が要りません。

こんな風に、両法では、永小作権、質権、使用貸借の取扱いが異なっているので、注意して見ておきます。

頻出ポイント・・・抵当権と相続

両法とも、本試験に出るのが、「抵当権」と「相続」です。

「抵当権」の設定は、農地法と国土利用計画法ともに、法の対象外です。

つまり、農地法では、抵当権の設定は、「権利移動」に該当せず、許可が無用です。

んで、国土利用計画法でも、抵当権の設定は、「土地取引等の契約」に該当せず、許可が無用です。

次に、「相続」による取得は、両法とも、許可は無用です。

農地法では、相続による取得は、「権利移動」に該当せず、許可が無用です。

んで、国土利用計画法でも、相続による取得は、「土地取引等の契約」に該当せず、許可は無用です。

まずは、上記のド頻出事項の2点を、ガチで押えてください。

以下に、細かい試験ポイントを挙げていきます。

農地法では、相続取得は、許可無用ですが、農業委員会に届け出る必要があります。

んで、「遺産分割」による取得は、農地法・国土利用計画法ともに、許可は無用です。

しかし、「遺贈」は、農地法では許可が必要で、国土利用計画法では、許可が無用です。

ややこしいですが、過去問のド頻出事項です。少しずつ、押えていってください。

参考:宅建「法令上の制限」の「国土利用計画法」の過去問リスト

参考:宅建「法令上の制限」の「農地法」の過去問リスト

宅建無料ノート:農地法‐3条・4条・5条許可の許可権者、市街化区域内の特例等の横断まとめ・・・重要ポイント直前チェック

超頻出論点「3条・4条・5条許可」の諸論点を、横断的にまとめて、憶えやすくしています。

以下に、許可権者、市街化区域内の特例、効力、処分、罰則といった論点を、ざっくり見ていきます。

なお、ほぼ毎回、試験に出るのは、「市街化区域内の特例」です。これだけは、特に意識して、憶えてください。

まずは、憶えやすいものから見ていきましょう。

罰則は共通

「3条・4条・5条許可」に共通するのは、「罰則」です。

「3条・4条・5条許可」に違反すると、どの許可でも、「3年以下の懲役、300万円以下の罰金」に処せられます。

3と3なので、「農地法違反で、さんざん(3・3)」くらいに、憶えるといいでしょう。

権利移動の効力

許可なしに行なわれた「権利移動」は、「無効」です。

権利移動を伴う規定は、「3条」と「5条」でした。

よって、「権利移動」で、3条許可と5条許可のない契約(処分)は、無効となります。

4条許可は、「転用」のみなので、権利移動の規定そのものと関係がありません。

【コツ】3組と、4・5組とで、『分けて憶える』

許認可権者・市街化区域内の特例・違反転用の3論点は、「3組(3条許可)」と、「4・5組(4条許可と5条許可)」に分けることができます。

それぞれの頭文字「許(きょ)」「市(し)」「違反(いはん)」を取って、「3組と4・5組の教師違反」くらいの語呂で憶えましょう。

以下、細かい規定を見て行きます。

許認可権者

許認可権者は、3組と4・5組とで、異なっています。

「3組(3条許可)」は、「農業委員会」です。

「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「都道府県知事等」です。

「農業委員会から5条許可を受ける必要がある」などと出題されても、即、「×」と、判別できるようになっておきましょう。

また、後述する「市街化区域の特例」と混同しないでください。特例を受ける場合は、「農業委員会への届出」です。「知事に届出」ではないので、注意です。

ひっかけ的な問題も出ています。

たとえば、「H29 問15」の「選択肢2」です。

「市街化調整区域内の4ヘクタールを超える農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。」ですが、「×」です。

「転用するために所有権を取得する」のは、「5条許可」が対象です。

んで、「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「都道府県知事等」なので、「知事等」が許可権者です。農林水産大臣ではないです。

前半の「市街化調整区域内」うんぬんは、出題者のブラフです。

農地法に出てくるのは、「市街化区域内」くらいしかないので、都市計画法の“ナンタラ区域”に、惑わされないようにしましょう。

【超重要】市街化区域内の特例

当該「市街化区域内の特例」は、ほぼ毎年、出題される超絶ド頻出論点なので、必ず、憶えましょう。

「市街化区域内の特例」も、3組と4・5組とで、異なっているので、分けて憶えます。

「3組(3条許可)」は、「特例なし(許可必要)」です。

「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「あらかじめ、農業委員会に届出(許可不要)」です。

そもそも、3条許可に、「あらかじめ、農業委員会に届け出れば、許可無用」の規定は、存在していません。

たとえば、「H27 問22」の「選択肢1」です。

「市街化区域内の農地を耕作目的で取得する場合には、あらかじめ農業委員会に届け出れば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。」ですが、「×」です。

「3組(3条許可)」は、「市街化区域内の特例なし」なので、3条許可が必要です。

たとえば、「H30 問22」の「選択肢1」です。

「市街化区域内の農地を宅地とする目的で権利を取得する場合は、あらかじめ農業委員会に届出をすれば法第5条の許可は不要である。」ですが、「○」です。

設問の「5条許可」は、市街化区域内の特例があるので、届出でOK、許可は無用となります。

必ず、「3組(3条許可)・・・市街化区域内の特例なし(許可必要)」と、「4・5組(4条許可と5条許可)・・・市街化区域内の特例あり・・・あらかじめ、農業委員会に届出(許可不要)」と、憶えましょう。

また、「市街化区域“内”」のところにも、“よくよく”注意してください。

市街化区域“内”での特例です。

よって、市街化区域“外”なら、当該特例の適用はありません。

たとえば、「H27 問22」の「選択肢2と選択肢3」です。

選択肢2「農業者が自己所有の市街化区域外の農地に賃貸住宅を建設するため転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。」

「×」です。

市街化区域“外”での転用ですから、許可が要ります。

選択肢3「農業者が自己所有の市街化区域外の農地に自己の居住用の住宅を建設するため転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。」

「×」です。

市街化区域“外”での転用ですから、許可が要ります。

“内”か“外”かは、本当によく出るので、確実に、正確に、暗記してください。

違反転用

「違反転用」に対する処置も、3組と4・5組とで、異なっています。

「3組(3条許可)」は、「規定が存在しない」です。

そもそも、3条許可は、「転用」が伴わないので、「違反転用」の規定が関係ないわけです。

んで、「転用」が伴うのは、4条許可と5条許可なわけですが、「4・5組(4条許可と5条許可)」は、「原状回復・工事の停止命令、行政代執行」があります。

こんな風に、「3条」と「4・5条」の2つに分けると、整理しやすいです。

本ページは、以上です。

ある程度、わかってきたら、「宅建「法令上の制限」の「農地法」の過去問リスト」で、知識をチェックしてみてください。