このページでは、「禁錮」系や「罰金」系の欠格要件を理解するための基礎知識を提供します。
法律用語がクタクタ出てくるので、個々の用語を、理解する必要があります。
以下に、執行猶予や量刑、刑に処せられ、刑の執行を終わり、執行を受けることがなくなったについて、見ていきます。
先に結論を言うと、「執行猶予中は、欠格要件。執行猶予満了なら、即、免許可能。」です。
よく見聞きする「執行猶予」ですが、注意してください。
「執行猶予」とは、刑の執行が止まっているだけであり、刑自体は、受けたことになっていて、欠格要件に該当します。
過去問参考:H27 問27‐選択肢2
『C社の政令で定める使用人Dは、刑法第234条(威力業務妨害の罪により、懲役1年、執行猶予2年の刑に処せられた後、C社を退任し新たにE社の政令で定める使用人に就任した。この場合においてE社が免許を申請しても、Dの執行猶予期間が満了していなければ、E社は免許を受けることができない。』
「○」です。Dは、執行猶予期間中ですが、「懲役刑」を受けていることには変わりないので、欠格要件に該当します。
しかし、なのです。
ご存知のように、たとえば、「懲役刑」をくらうと、その刑の執行が終わっても、5年間は、免許が受けられません。
対して、「執行猶予」の期間が満了すると、さかのぼって、「刑に処せられなかったことになる」ため、翌日から、免許が受けられるのです。
執行猶予中は、期間中は刑を受けていることになっているのだが、満了すると、刑を受けたことにはならないという、少々複雑な規定です。
「執行猶予中は欠格要件。執行猶予満了なら、即、免許可能。」と、区別して、憶えておきましょう。
ひっかけ例題です。
「Dは、刑法第234条(威力業務妨害の罪)により、懲役1年、執行猶予2年の刑に処せられ、先日、執行猶予期間が満了したが、当該執行猶予の満了日より、5年を経過しないと、免許が受けられない。」
言うまでもなく、「×」となります。先に見たように、執行猶予期間が終われば、即、免許可能です。
法律の「量刑」には、「死刑 ・ 懲役 ・ 禁錮 ・ 罰金 ・ 拘留 ・ 科料」があり、左が一番重い刑で、右が一番軽い刑となっています。
宅建に関係があるのは、「禁錮」と「罰金」ですが、これらの前後の量刑は、憶えておくべきです。
たとえば、「道路交通法に違反し“科料”1万円の刑を受けたため、免許が受けられなかった。」などと、出題されるからです。
「×」です。道路交通法等の一般の法律なら、「禁錮以上」に処せられないと、欠格となりません。
たとえば、「暴行罪に処せられ、拘留の刑を受けた。免許が受けられなかった。」と出題されたら、「×」です。
刑法の暴行罪は、「罰金刑」以上でないと、欠格となりません。選択肢は、「拘留」止まりです。
たとえば、「軽犯罪法に処せられ、罰金の刑を受けた。免許が受けられなかった。」と出題されたら、「×」です。
軽犯罪法は、一般的な法律のカテゴリなので、「禁錮以上」に処せられないと、欠格となりません。
こんな風に、「量刑」の知識がないと解けない選択肢が多々出ているので、量刑の種類は、キッチリ押えておきましょう。
「刑に処せられ」とは、確定的な判決が下されたことをいいます。
よって、控訴していたり、上告していて、まだ、刑が確定していないときは、欠格要件に該当しません。
んなもんで、たとえば、宅建業法の罰金刑の裁判中であるなら、刑が確定していない以上、欠格要件には該当せず、免許の申請は可能だし、免許が下りることもあります。
ただし、罰金刑が確定すると、欠格要件に該当にするので、即、免許が取り消されてしまいます。
「刑の執行を終わり」とは、刑の執行が完了したことをいいます。
懲役刑・禁固刑なら、服役が終わったことであり、罰金刑なら、罰金を払い終えたことが該当します。
滅多にないことですが、時効が完成した日や、恩赦や特赦で刑が免除された日をいいます。
言うまでもないですが、上記のように、執行を受けることがなくなっても、「5年を経過」しないと、免許が受けられないので、注意してください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐宅建業法, 宅建ノート‐免許 | 2019年9月17日 10:54 AM |
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このページは、免許の欠格要件のうち、「暴力団員系」に関するものを挙げています。
わかりやすいものから、見ていきましょう。
「暴力団員等がその事業活動を支配する者」は、欠格要件です。
役員や支配人が暴力団員等でなくても、実質的に、暴力団員等が事業を支配していたなら、欠格要件に該当し、免許が取り消されます。
「暴対法」に違反して、罰金刑に処せられると、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しないと、免許が受けられません。
なお、「暴対法」は、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」の略です。
暴力関係の罰金刑には、先の「暴対法」のほかに、「暴力行為等処罰に関する法律」もあります。
「暴力行為等処罰に関する法律」に違反して、罰金刑に処せられると、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しないと、免許が受けられません。
暴対法によって、暴力団員等とみなされた者は、つまり、現役のヤクザは、免許が受けられません。
当然といえば、当然です。
また、暴力団員等でなくなっても、その日から5年を経過しないと、免許が受けられません。
ヤクザでなくなっても、5年は、宅建業を営めない、ってな寸法です。
本ページは、以上です。
個々の欠格要件の詳細ページは、以下のとおりです。
インデックスは、「欠格要件 基本分類」です。
んで、個々の記事を、カンタンな順番で、並べています。
なお、これらのほかに、横断まとめとして、「暴力団員系のまとめ」もあります。併せて、お目汚しください。
また、ある程度、慣れて来たら、「宅建業法「免許」の過去問リスト」で、知識を確認してみてください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐宅建業法, 宅建‐横断まとめ, 宅建ノート‐免許, 宅建ノート‐宅建業法 | 2019年9月17日 10:50 AM |
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このページは、免許の欠格要件のうち、「本人以外」に原因があるものを挙げています。
論点としては、「未成年」が一番大事です。
「役員・使用人」の連座規定は、考えてみれば、その通りなので、理屈さえ押えておけばいいでしょう。
「その他」の規定は、その存在だけを、押えておけばいいでしょう。
「未成年」にも、いろいろあるので、注意が必要です。
前提にあるのは、「成年者と同一の行為能力を有しない未成年」です。
言うなれば、「ふつうの未成年」なのですが、「ふつうではない未成年」もいるので、話がややこしくなります。
まず、民法の成年擬制です。
結論から言うと、結婚した未成年者は、免許が受けられます。
民法 第七百五十三条・・・『未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。』
んなもんで、未成年でも、結婚すれば、「成年」扱いとなり、免許を受けることができます。
また、民法には、「営業の許可」制度がありました。
民法 第六条・・・『一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。』
んなもんで、法定代理人から、営業を許可されたなら、未成年者でも、営業が可能になります。
まずは、この2規定を、頭に入れましょう。
結論から言うと、ふつうの未成年者は、「法定代理人」が欠格要件に該当しないならば、「未成年」のまま、免許を受けることができます。
免許基準は、申請者本人たる「未成年者」ではなく、「法定代理人」だからです。
過去問参考‐「H27 問27」の選択肢3
『営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができない。』
刑法の背任罪で罰金刑は、欠格要件です。よって、免許が受けられません。「○」です。
注意してほしいのは、宅建士制度との違いです。
宅建業の免許は、ふつうの未成年でも、法定代理人が欠格要件に該当しないなら、受けることができるのです。
しかし、宅建士だと、ふつうの未成年なら、宅建士の登録もダメだし、宅建士にもなれないし、専任の宅建士にもなれないのです。
「ふつうの未成年」の扱いは、免許と宅建士とでは、絶妙に異なるので、確認しておきましょう。
条文を挙げるとややこしいのですが、要は、「脱法行為」を防ぐためです。
たとえば、あるズルイ人が傷害罪で罰金刑に処せられたとします。その人は、欠格要件に該当するので、当然、免許が受けれられません。
しかし、誰か代わりの人に、“名目的に”免許を取らせて、自分が役員や使用人になって経営に参加すれば、そのズルイ人が免許を取ったのと、実質的に同じことになります。
んなもんで、こういう欠格要件の「脱法行為」を防ぐため…、
「七 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者のあるもの」
「八 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者のあるもの」
…と、定められました。
理屈を考えれば、脱法予防の意味が、すっとわかるはずです。
その他の規定には…、
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
・事務所について、法定数の専任の宅建士を置いていない者
…があります。
あまり試験には出ないでしょうが(問題を作り難いので)、念のため、押えておきましょう。
前者は、暴対法関連なので、理解できると思います。
言うなれば、「脱法対策」の追加規定です。
使用人・役員が欠格要件に該当すれば、免許が下りません。
よって、潜在的な悪意者は、使用人や役員にはなれないことになりますが、逆を言えば、使用人・役員でなければいいわけで、株主や出資者になったり、相談役や顧問役になったりして、経営に参画します。
こうした、表に現れず、影で営業すればいいってな脱法行為を、「実質基準=実際にその企業を支配しているかどうか」で、取り締まれるようにしている、ってな塩梅です。
後者は、宅建制度の根幹なので、設置の法定要件を満たしていなければ、当然、ダメだとわかるはずです。
本ページは、以上です。
個々の欠格要件の詳細ページは、以下のとおりです。
インデックスは、「欠格要件 基本分類」です。
んで、個々の記事を、カンタンな順番で、並べています。
なお、これらのほかに、横断まとめとして、「暴力団員系のまとめ」もあります。併せて、お目汚しください。
また、ある程度、慣れて来たら、「宅建業法「免許」の過去問リスト」で、知識を確認してみてください。
| カテゴリー: 宅建 | Tags: 宅建, 宅建‐宅建業法, 宅建ノート‐免許, 宅建ノート‐宅建業法 | 2019年9月17日 10:49 AM |
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