登録販売者 第5章:適正使用

第4節:一般用医薬品に関する主な安全対策

Ⅳ 一般用医薬品に関する主な安全対策

 (a) アンプル入りかぜ薬

 「解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用(ショック)で、1959年から1965年までの間に計38名の死亡例が発生した。」

 「アンプル剤は他の剤形(錠剤、散剤等)に比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認されたことから、1965年、厚生省(当時)より関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収が要請された。」

 「その後、アンプル剤以外の一般用かぜ薬についても、1970年に承認基準(※1)が制定され、成分・分量、効能・効果等が見直された。」

 (b) 小柴胡湯による間質性肺炎

 「小柴胡湯による間質性肺炎については、1991年4月以降、使用上の注意に記載されていたが、」

 「その後、小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例による間質性肺炎が報告されたことから、」

 「1994年1月、インターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨の使用上の注意の改訂がなされた。」

 「しかし、それ以降も慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから、1996年3月、厚生省(当時)より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された。」

 (c) 一般用かぜ薬による間質性肺炎

 「2003年5月までに、一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が、計26例報告された。」

 「厚生労働省では、」

 「● 一般用かぜ薬は、一般の消費者が自らの選択により購入して使用するものであること」

 「● 間質性肺炎は重篤な副作用であり、その初期症状は一般用かぜ薬の効能であるかぜの諸症状と区別が難しく、症状が悪化した場合には注意が必要なこと」

 「を踏まえ、同年6月、一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示することとした。」

 「それ以前も一般用かぜ薬の使用上の注意において、「5~6回服用しても症状が良くならない場合には服用を中止して、専門家に相談する」等の注意がなされていたが、」

 「それらの注意に加えて、まれに間質性肺炎の重篤な症状が起きることがあり、その症状は、かぜの諸症状と区別が難しいため、症状が悪化した場合には服用を中止して医師の診療を受ける」旨の注意喚起がなされることとになった。」

 (d) 塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品

 「塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻充血や結膜充血を除去し、鼻づまり等の症状の緩和を目的として、鼻炎用内服薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬等に配合されていた。」

 「PPA含有医薬品については、2000年5月米国において、女性が食欲抑制剤(日本での鼻炎用内服薬等における配合量よりも高用量)として使用した場合に、出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ、米国食品医薬品庁(FDA)から、米国内におけるPPA含有医薬品の自主的な販売中止が要請された。」

 「日本では食欲抑制剤として承認されていないことなどから、同年11月、直ちに販売を中止する必要はないものとして、心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用しないよう注意喚起を行っていた。」

 「しかし、2003年8月までに、PPAが配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例※2)が複数報告され、それらの多くが用法・用量の範囲を超えた使用又は禁忌とされている高血圧症患者の使用によるものであった。」

 「そのため、厚生労働省から関係製薬企業等に対して、使用上の注意の改訂、情報提供の徹底等を行うとともに、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)等への速やかな切替えにつき指示がなされた。」

注記‐※1

 『承認審査の合理化、透明化を図るため、薬効群ごとに、その成分・分量、用法・用量、効能・効果等に関する概括的な基準を定めたもので、』

 『現在、かぜ薬のほか、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、胃腸薬、瀉下薬、鎮暈薬、眼科用薬、ビタミン主薬製剤、浣腸薬、駆虫薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、外用痔疾用薬、みずむし・たむし用薬、鎮痒消炎薬について、承認基準が制定されている。』

 『いわゆるスイッチOTC医薬品等、承認基準に合致しない医薬品については、製薬企業が承認申請を行うに際してより詳細な資料の提出が要求され、有効性、安全性及び品質に関して厳格な審査が行われる。』

注記‐※2

 『なお、これらの症例は、いずれも回復又は軽快している。』

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 「Ⅳ 一般用医薬品に関する主な安全対策」の全記述は、以上です。

 「Ⅴ 医薬品の適正使用のための啓発活動 全記述」に続きます。

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