いまいちイメージのつかめない「その他有価証券」ですが、間違いを恐れずに言うと、「ベンチャー株≒その他有価証券」と考えておくと、その一連の処理が憶えやすくなります。
言うなれば、学生時代の友人が会社を立ち上げた、この際に、“少し”出資してくれといわれ、対価として受け取った「株」が、その他有価証券だ、という塩梅です。
「小」は上記のようなケースで、「大」は、たとえば、アリババに出資したソフトバンクの手合いです。
なお、「≒」は、「ニア イコール」で「それに近い」的な意味です。
「その他有価証券」は、先述したように、「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式」「関連会社株式」以外の有価証券です。
そこで、その他有価証券をベンチャー株と見立てて、考えてみよう、ってな次第です。
ベンチャー株は、「売りもしないし買いもしない」ものです。
なぜなら、売買の機会は極めて限定的だからです。
皆さんは、これまで、ベンチャー株を買ったり売ったりする機会があったでしょうか?
ない、はずです。
いきなりあなた、たとえば、PTAで仲良くなった人や会社の人から、「ベンチャーのIT株買わない?」と言われてたら引くでしょ。
振って湧いたような「株買わない?」は、大概、投資詐欺です。
ベンチャー株の売買の機会は、極めて限定的で、ほぼありません。少なくとも、上場企業ほどに売り買いされるものではありません。
だから、ベンチャー株(≒その他有価証券)は、「売買目的有価証券」ではない、といった次第です。
ベンチャー株は、「株式」ですから、「満期」という概念がありません。
従って、ベンチャー株(≒その他有価証券)は、「満期保有目的債券」ではありません。
もし、あなたの配偶者が、先行き不透明なベンチャー株に、多額のお金を払い込もうとしたらどうしますか?
物置にしまうはずです。
ベンチャー株など、危なくて、よほど余力のある人しか買いません。
加えて、ベンチャー株の大株主は、おおむね創業者か強・利害関係者で、上場益を見込める「虎の子」を、大量に売ることはないです。
こんな次第で、ベンチャー株は、「子会社株式」や「関連会社株式」になるほど、売られもしないし、そして、危ないので買われもしない、という次第です。
ゆえに、ベンチャー株(≒その他有価証券)は、「子会社株式」や「関連会社株式」には当たらない、ってな次第です。
こんな風に、「その他有価証券」は「ベンチャー株」と捉えておけば、おおむね間尺に合う、ってな次第です。
しかし、「イコール」ではないので、注意です。
「満期保有目的債券」以外の「債券」も、言うなれば、売買目的で買った債券も、「その他有価証券」に分類されます。
また、出題はまずないでしょうが、今後、投資銀行や証券会社から発行される新型金融商品で、先に挙げた勘定科目に該当しないものも、当該「その他有価証券」に分類されるはずです。
こんな次第で、会計学その他から厳密に言えば、「その他有価証券≠ベンチャー株」ですが、会計学は犬も食わないので、人間であるわたしたちも気にしなくていいでしょう。
「その他有価証券≒ベンチャー株」と考えておけば、問題を解く分には支障がないはずです。
まあ、万が一、変わった有価証券が登場するにしても、資料中に指示があるはずなので、厳密に考えなくていいです。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記2級, 簿記2級‐勉強, 簿記2級‐有価証券 | 2016年9月23日 11:28 AM |
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子会社株式と関連会社株式の論点の第一は、「どういう株式が、それに当たるかどうか」です。
問題の資料には、おおむね、取得した株式の「発行済み株式総数」が記されているはずです。
その際に、自社の取得割合を計算して、判別する、ってなところが頻出論点です。
発行済み株式総数の「50%超」を保有しているなら「子会社株式」で…、
「20%以上50%以下」なら「関連会社株式」となる次第です。
資料にて、たとえば、『A株式:子会社株式なんたらかんたら』などと、有価証券の分類について、明記されていることもありますが、今後、難化が続けば一切、示されないはずです。
そう、受験生に計算させて、当該株式が、何株式に当たるかを判別させる、ってな塩梅です。
たとえば、『A株式 備考:当期にA株式を150株取得した。A社の発行済み株式総数は300株である』とだけ明記して、あとは知らんぷりといった次第です。
この場合、「150÷300」と電卓をたたいて、「0.5」の「50%」を保有していることを、計算しなくてはなりません。
当該論点では、「パーセンテージのしきい」は、注意点です。
とりわけ、慎重に見ておかねばならないのは、「50%超」と「50%以下」のところです。
「50%超」が「子会社株式」ですが、これは、便宜的に「51%」と憶えなおしておきます。(※)
「50%以下」は「関連会社株式」ですが、これは「50%」と憶えておきます。
出題者は、絶妙にこのあたりの「しきい」の部分を狙ってくるからです。
先の例で、「たとえば、A株式を150株取得した。A社の発行済み株式総数は300株である」という例が最たるものです。
保有割合は「50%」です。
この場合に、おっちょこちょいな受験生だと「子会社株式」で処理しかねないのです。
子会社株式は、50%“超”なので、50%を含みません。従って、「50%保有」は子会社株式になりません。
対して、関連会社株式は、50%“以下”なので、50%を含みます。従って、「50%保有」は関連会社株式となります。
このあたりの「超」と「以下」の使い分けは、ついウッカリしていると取り違えてしまいます。
「法律用語のコツ:以下・以上・未満・超える」を参考に、その使い分けをキッチリ押えておきましょう。
(※)正確に言うと、50%超=51%~ではありません。50.0000001%保有でも50%超だからです。でもまあ、こんな卑劣な比率は出さないでしょう。おおむね51%に割り切れる数字を、問題に使用するかと思われます。
子会社株式と関連会社株式は、ぜんぜん違います。
「50%超」つまり「51%~」と「50%」は、1%の差ですが、天と地ほど、結婚1年目と3年目のおかずの質くらいに違います。
経営(株主総会)は、多数決で決まるからです。
51%あれば、その保有者は、その意思のすべて行使できます。49%が反対しようと、です。
しかし、50%しかない保有者は、多数決で完勝できないので、他の保有者の意向を伺わなくてはいけないのです。
昔、FMWというプロレス団体があったのですが、事業譲渡の際、新経営陣は、創業者から「50%」しか株を取得しなかったため、つぶれた会社があるのです。
いったん経営から手を引いた旧経営陣ですが、後々、株をかき集め(他の株主の委任状なり意向を得た)、「50%」保有になったのです。
このため、新経営陣はその声を無視できなくなり、結果、会社は分裂・倒産と相なった次第です。
もし、新経営陣が「51%」取得していたなら、事態は全く違っていたでしょう。ちなみに新経営陣の社長は、私財をつぎ込んだ結果、自らの生涯を閉じています。
こんな次第で、たった「1%」の違いですが、50%と51%の実態は全く違うってな塩梅なので、試験勉強でも明白に意識しておきましょう。そこには、ある1私人の生涯を、分けたものがあるのです。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記2級, 簿記2級‐勉強, 簿記2級‐有価証券 | 2016年9月22日 10:56 AM |
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まず、漢字をアレすると、「甲>乙>丙」という評価の順位です。松竹梅、ABCみたいなもんです。
で、端的に言うと、乙4は丙種の完全上位の資格で、丙種は乙種4類の完全下位です。
言うなれば、「乙4の制限版」が「丙種」です。
個人的には、よほどの理由がないのなら、丙種よりも乙4の受験のほうを勧めます。
まあ、当のわたしは、「乙4に受かるかどうか不安→交通費と時間を無駄にしたくない→何かお土産は?→丙種を受けておこう!」ってな感じで、午前に乙4、午後に丙種を受けた手合いです。
ま、以下に、乙4と丙種の違いを述べていますので、受験の参考にしてください。
両者とも「可燃性液体」を取り扱う資格ですが、乙4はすべての可燃性液体(約30個)が取り扱えるのに対し、丙種では「12個」程度と、格段に制限されています。
まあ、世に流通する可燃性液体の大半は、「ガソリン」「灯油」「軽油」「重油」と、丙種で取り扱えるのですが、それでも、乙4のほうが、「汎用性」という点で優れているのは言を待ちません。
次に、「立ち合い」能力の有無です。
乙4には「立ち合い」という権能があります。
当該「立ち合い」とは、有資格者が近くにいれば、ド素人でも危険物を取り扱わせることができる権能のことです。
この「立ち合い」が、法律上、丙種には、認められていません。
これがため、劇的に資格の価値に差がついています。
たとえば、ガソリンスタンドでは、乙4の有資格者が1人いれば、他の従業者は無資格者でもよい、という次第です。
反対に言うと、乙4の有資格者がいないと、従業員全員が丙種を取らなくてはいけない、といった塩梅です。
言うなれば、一人が持っているとパーティー全員に効果のあるアイテムが乙4で、持っている本人しか効果のないアイテムが丙種、といった次第です。
どちらの価値が高いかは、説明無用でしょう。
次に、「試験の難易度」の違いについて述べます。
「危険物取扱者 丙種の独学」でも述べていますが、「勉強内容そのもの」は、乙4と丙種では、大差はないのです。
ただ、丙種は、「受かりやすい」ところに、乙4との違いがあります。
乙4の敷居を上げているのは、「基礎的な物理学及び基礎的な化学(通称:物化)」という、理系知識を問う試験科目の存在です。
不合格となる受験生のうち、大半の人は、法令や性消で合格点は確保できているのですが、当該「物化」で合格点が取れず憂き目に遭っています。
乙4の「物化」では、モル計算やら化学式やらが出題されるので、ガチ文系にとっては、鬼門そのものです。
この点、丙種では、試験科目の名称が「燃焼及び消火に関する基礎知識」となっていて、化学や物理に関する出題が除かれています。
このため、小難しいことを勉強しないで済み、応じて、格段に「受かりやすく」なっています。
ちなみに、乙4では「物化」は「10問」で、丙種は「5問」となっていて、試験のボリュームも格段に少ないです。
丙種は、問題ごとの選択肢が「4択」で、対して、乙4は「5択」です。
たった「1つ」の違いですが、これが、試験の「受かりやすさ」を、かなり左右します。
丙種では、あてずっぽの解答でも正解になる可能性が高いので、乙4と比べて、明らかに点数が採りやすいのです。
当方、乙4は「80%前後」の正解率でしたが、丙種は全科目「100%」でした。
4択だと、いかに“確率的に点が取りやすいか”の証左かと存じます。
先述したように、乙4では30前後の危険物が取り扱えるのですが、その分、試験科目の「性消」のボリュームが増えます。
丙種は「12個」くらいしか危険物がないうえ、出題の大半は「ガソリン」「灯油(ケロシン)」「軽油」「重油」の4つなので、「性消」のボリュームは格段に少ないです。
当方の手持ちのテキストだと、乙4では「27ページ」も危険物の説明に記述が割かれているのに、丙種では「11ページ」しかありません。
こういった次第で、「性消」のボリュームが少ないことも、丙種の「受かりやすさ」に貢献しています。
また、「法令」も問題数が異なります。
乙4だと「15問」なのに対し、丙種では「10問」となっており、丙種のボリュームが少なくなっています。
乙4の合格率は「30%前後」で、丙種は「50%前後」です。
乙種の受験料は「3,400円」で、丙種は「2,700円」です。
試験時間は、乙4は「2時間」で、丙種は「1時間15分」です。
教材費は、おおむね乙4は「2,640円(2冊分)」で、丙種は「821円(1冊)」です。
このように、危険物取扱者の乙4と丙種の違いを見てきました。
取るとしたら、ダンゼン「乙4」じゃんと思われるかもしれませんが、丙種は丙種で取得する意味はあります。
丙種は、主として、流通業・運送業の方が取る資格となっています。
危険物の『移送』業務のためです。危険物を運ぶだけなら、別段、立ち合いの必要はないので、丙種で十分、といった次第です。
危険物取扱者の取得目的が、『移送』用であるなら、わざわざシンドイ思いをして、乙4まで取らなくてもよい、といった次第です。
また、保安要員として、危険物取扱者の免状がすぐ要る!という場合なら、格段に受かりやすい丙種のほうが適切でしょう。
っとまあこんな次第です。
個人的には、一番最初に述べたように、乙4と丙種とでは、巨大な差もないので、せっかく時間とお金を費やすなら、乙4を取得するほうがよいかと思います。独学でじゅうぶん取れます。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 危険物・丙種, 危険物取扱者 | 2016年9月21日 10:45 AM |
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