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クレジット売掛金の支払手数料は、彼我の「力の差・立場の差」‐簿記2級新論点ノート

クレジット売掛金のポイントは、「支払手数料」が発生するところです。

この「支払手数料」は、「売上」の際に、おおむね計上されます。

公式のサンプル問題では、「信販会社への手数料は、販売時に計上する」との指示が記されています。

『新宿商店は、商品¥100,000をクレジット払いの条件で販売した。なお、信販会社への手数料は販売時に計上する。』

で、クレジット払いの仕訳は以下の通り。

こういう仕訳になる背景には、「力の差・立場の差」がある、と考えておけばいいです。

当該、クレジット売掛金とは、クレジットカードによって決済された売上です。

わたしたちが、言うなれば、小売店だと思ってください。

「販売者であるわたしたち」が、当該クレジットカードによる決済を利用するには、信販会社に申し込んで、審査を受けないといけないのです。

お店で「クレジットカード決済可」などとあるのは、その審査を受けて通った事業者、ってな塩梅です。

ここがポイントで、当該事業者は、「クレジットカード決済を“使わせてもらう”立場」なのです。

売上げ時は、こういう仕訳でもいいのです。

で、決済時にこういう仕訳を切ってもいいのです。

しかし、公式では、最初の仕訳のように、売上げ時に、支払手数料を計上するようになっています。

実質は「同じ」なのですが、「先に支払い手数料を払うところ」に、力の差・立場の差があるってな次第です。

支払手数料とは、われわれにとっては「費用」ですが、信販会社にとっては「収益」なわけです。

言うなれば、信販会社が「先に貰うね」という塩梅で、後払いでもいいのを先に取られている、という次第です。

このような背景があるので、クレジット売掛金の場合は、先に「支払手数料」を計上する、ってな次第です。

力の差・立場の差があるってことを憶えておけば、柔軟に対応できるかと思います。

なお、当該クレジット売掛金ですが、営業債権なので、貸倒引当金の計上の際は注意です。財務諸表上の記載箇所は「販管費」です。

また、「支払手数料」の計上については、問題文で指示があるはずなので、注意してください。

出るとしたら、ほぼおおむね「売上時」です。でないと、問題にならないからです。

しかし、邪悪な出題者は、それを見込んでの「決済時計上」を出してくるケースも考えられます。

クレジット売掛金を目にしたら、念のため、問題文の指示を丁寧に読み取ってください。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。

有価証券の「勘定科目」と「表示科目」についての基礎理解‐簿記2級ノート

財務諸表の作成問題では、まず、有価証券が狙われるはずです。

非常に煩雑だからで、落ち着いて解かないと、手痛い失点を犯してしまいます。

で、有価証券の「表示科目」ですが、当該論点は、『目的』からアプローチすると、やる気の遺漏が少ないです。

「勘定科目」と「表示科目」の差

間違えることを恐れずに言うと、「勘定科目」と「表示科目」の違いとは、「身内の上司用」と「外部のお客さん用」の違いです。

簿記の目的として大事なものに、「資料作り」があります。

勘定科目と表示科目とは、当該資料作りの方向性の違いです。

勘定科目の有価証券

有価証券の勘定科目には、「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式」「関連会社株式」「その他有価証券」と5種類あります。

勘定科目は、イメージとしては、社長に、「いまウチの金融資産、どんな感じなの?」と聞かれている体、という塩梅です。

有価証券を、勘定科目の5つで分類していると、どういうものにお金が行っているか一目瞭然で、社長の意思決定がしやすい、ってな塩梅です。

たとえば、手元にこんだけ売買目的有価証券があれば、資金繰りができるな的な、判断が即付くわけです。

ざっくばらんな言い方ですが、勘定科目は、「身内の上司用の資料」のため、と捉えておけば、勝手が見えてくるように思います。

表示科目の有価証券

これに対して、「表示科目」は、「外部のお客さん用の資料作り」と捉えておきます。

イメージとしては、「一般投資家」です。(まあ、簿記2級は中小企業向けなので、アレでアレですがイメージです。)

わたしたちは、まあ簿記の勉強をしているので、「売買目的有価証券」や「その他有価証券」と耳目しても、そこそこ検討がつきます。

しかし、“一般人”で構成される“一般投資家”は、そうではありません。

簿記・会計用語なんてものは、犬も食いません。ですから、人様が相手するものではないのです。

皆さんだって、昔はそうだったはずです。

ガチガチの専門用語を並べたところで、普通の人は「わからない」ので、一部を『簡略化』するってな要請から生まれたのが、有価証券の表示科目、ってな塩梅です。

有価証券の表示科目は、「有価証券」「投資有価証券」「関係会社株式」と、勘定科目に比べると3つしかなく、漢字も少なくて、シンプルになっています。

3つくらいなら、パーの一般人でも、嫌気が差さず、財務諸表を見てくれるはずです。まあ、見ないですが。

また、そのほか、「換金」もキーにあります。

わたしたちが、中小企業に金を貸す場合、収益云々の前に、「その会社が大丈夫かどうか?」に関心が向きます。

大丈夫かどうかは、その会社の財産の多寡で決まります。

ですから、投資(融資)判断の際に、「すぐ金になるもの」と「すぐに金にならないもの」とが、区別できるようにしている、ってな次第です。

言うまでもなく、有価証券は即、金になります。東証とかで売ればいいからです。

反対に、投資有価証券と関係会社株式は、市場性のない株式(たとえば、未上場のベンチャー株)も含まれるので、すぐには換金できない、ってな塩梅です。

ってな次第で、こんな風に、「勘定科目」と「表示科目」の違い的なものを把握していれば、その処理の方法も、頭に入りやすいです。

クソ面倒なことさせやがってとか、おメェさんがやればいいんじゃないですか?といった、毒づきも、多少は減るはずです。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。

有価証券の「表示科目」への処理は、念のためT字勘定で‐簿記2級ノート

結論から言うと、第3問の財務諸表の作成で、有価証券を表示科目別に分類するときは、念のため「T字勘定」で整理すると良い、といった次第です。

5つの勘定科目を、3つの表示科目に整理しなくてはいけない「表示科目への処理」には、「2作業」が入り組んで来るので、実に混沌としてきます。

当該2作業とは…、

勘定科目の有価証券を、表示科目ごとに分ける。

同時に、「1年基準」を適用して、分類する。

…となっています。

この表示科目への分類は、一見するとカンタンなのですが、何気に手間取ります。

ちなみに、「1年基準」の適用とは、「1年以内に満期が到来する、満期保有目的債券とその他有価証券は、流動資産の「有価証券」で計上する」といった塩梅です。

「勘定科目」で小難しい処理したものを、こんどは、「表示科目」で整理し直す、しかも、この整理の際に「どれが1年物かをチェックする」という、手間感が満載です。

このため、混沌とした受験生が“よく間違えてくれる”といった次第で、出題者の「お気に入り論点」となっています。

T字勘定で整理する

先ほど言ったように、出題者が好むこの論点は、間違いやすいです。

出題者は、ここぞとばかりに、資料中に、「×年○月に満期が来る」とか「○年まで保有する意思がある」的な、心がささくれ立つ文言を挿入してきて、受験生の脳みそをウニにしようと躍起になります。

このため、頭の中だけで作業すると、必ず、ケアレスミスを犯してしまいます。

ささっと整理できる人はしなくて結構ですが、よく間違う人は、いっそのこと、一手間かかりますが、「T字勘定を切って、慎重に、分類していく」ようにします。

全部ぶち込む

「2段階」かけて、処理していきましょう。

T字勘定を切ったら、とりあえず、勘定科目ごとの取り決めどおりに、T字勘定にぶち込んでいきます。

売買目的有価証券を、資料からピックアップして、「有価証券」のT字勘定にぶち込みます。(もちろん、借方に。)

で、“とりあえず”満期保有目的債券とその他有価証券を、「投資有価証券」のT字勘定に、ぶち込みます。(もちろん、借方に。)

これで、第1段階は終わりです。だいぶ、すっきりするはずです。

1年基準ものを探す

で、第2段階です。

資料に目を通して、「1年以内に期限が来る」ものをピックアップします。

で、その1年物ごとに、「投資有価証券」のT字勘定の貸方に記載します。(減らす感じです。)

で、当該記述を、今度は、「有価証券」の借方に転記する、ってな塩梅です。(増やす感じです。)

後は、「有価証券」と「投資有価証券」の残高を計算する、ってな次第です。

こうやって、2段階で整理すると、「頭の中だけの作業」より、格段に間違いが減るはずです。

まとめ

計算用紙に、いちいち「有価証券」と「投資有価証券」のT勘定を設けて、数字を転記するのは、めんどうです。

しかし、「ここ」で間違えてしまうと、これまでの苦労が水の泡です。

手間と時間をかける価値はあるのです。

有価証券の個々の処理は、クソメンドクサイこと、この上がありません。

売買目的有価証券は、意図的に売買をはさんで取得原価を変動させて、売却損益を出すのを手間取らせます。

満期保有目的債券は、社債の償却原価法をやらせて、手間取らせます。時には、期中売却をはさんで、端数利息の計上までやらせてくることでしょう。

子会社株式・関連会社株式では、わざと「時価」の額を資料中に入れてくることでしょう。

こんな次第で、その処理に苦労したはずです。

しかし、「表示」を間違えると、その苦労は点に結びつかないのです。

だからこそ、ケアレスミスを犯さないやり方をしなくてはいけない、ってな次第です。

とりわけ、処理する有価証券の数が多い場合は、当該T字勘定が、激烈に威力を発揮するはずです。

有価証券の表記で、煮え湯を飲んだ方は、「T字勘定」という1手間かけて、処理してみてください。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。