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有価証券の「勘定科目」と「表示科目」についての基礎理解‐簿記2級ノート

財務諸表の作成問題では、まず、有価証券が狙われるはずです。

非常に煩雑だからで、落ち着いて解かないと、手痛い失点を犯してしまいます。

で、有価証券の「表示科目」ですが、当該論点は、『目的』からアプローチすると、やる気の遺漏が少ないです。

「勘定科目」と「表示科目」の差

間違えることを恐れずに言うと、「勘定科目」と「表示科目」の違いとは、「身内の上司用」と「外部のお客さん用」の違いです。

簿記の目的として大事なものに、「資料作り」があります。

勘定科目と表示科目とは、当該資料作りの方向性の違いです。

勘定科目の有価証券

有価証券の勘定科目には、「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式」「関連会社株式」「その他有価証券」と5種類あります。

勘定科目は、イメージとしては、社長に、「いまウチの金融資産、どんな感じなの?」と聞かれている体、という塩梅です。

有価証券を、勘定科目の5つで分類していると、どういうものにお金が行っているか一目瞭然で、社長の意思決定がしやすい、ってな塩梅です。

たとえば、手元にこんだけ売買目的有価証券があれば、資金繰りができるな的な、判断が即付くわけです。

ざっくばらんな言い方ですが、勘定科目は、「身内の上司用の資料」のため、と捉えておけば、勝手が見えてくるように思います。

表示科目の有価証券

これに対して、「表示科目」は、「外部のお客さん用の資料作り」と捉えておきます。

イメージとしては、「一般投資家」です。(まあ、簿記2級は中小企業向けなので、アレでアレですがイメージです。)

わたしたちは、まあ簿記の勉強をしているので、「売買目的有価証券」や「その他有価証券」と耳目しても、そこそこ検討がつきます。

しかし、“一般人”で構成される“一般投資家”は、そうではありません。

簿記・会計用語なんてものは、犬も食いません。ですから、人様が相手するものではないのです。

皆さんだって、昔はそうだったはずです。

ガチガチの専門用語を並べたところで、普通の人は「わからない」ので、一部を『簡略化』するってな要請から生まれたのが、有価証券の表示科目、ってな塩梅です。

有価証券の表示科目は、「有価証券」「投資有価証券」「関係会社株式」と、勘定科目に比べると3つしかなく、漢字も少なくて、シンプルになっています。

3つくらいなら、パーの一般人でも、嫌気が差さず、財務諸表を見てくれるはずです。まあ、見ないですが。

また、そのほか、「換金」もキーにあります。

わたしたちが、中小企業に金を貸す場合、収益云々の前に、「その会社が大丈夫かどうか?」に関心が向きます。

大丈夫かどうかは、その会社の財産の多寡で決まります。

ですから、投資(融資)判断の際に、「すぐ金になるもの」と「すぐに金にならないもの」とが、区別できるようにしている、ってな次第です。

言うまでもなく、有価証券は即、金になります。東証とかで売ればいいからです。

反対に、投資有価証券と関係会社株式は、市場性のない株式(たとえば、未上場のベンチャー株)も含まれるので、すぐには換金できない、ってな塩梅です。

ってな次第で、こんな風に、「勘定科目」と「表示科目」の違い的なものを把握していれば、その処理の方法も、頭に入りやすいです。

クソ面倒なことさせやがってとか、おメェさんがやればいいんじゃないですか?といった、毒づきも、多少は減るはずです。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。

有価証券の「表示科目」への処理は、念のためT字勘定で‐簿記2級ノート

結論から言うと、第3問の財務諸表の作成で、有価証券を表示科目別に分類するときは、念のため「T字勘定」で整理すると良い、といった次第です。

5つの勘定科目を、3つの表示科目に整理しなくてはいけない「表示科目への処理」には、「2作業」が入り組んで来るので、実に混沌としてきます。

当該2作業とは…、

勘定科目の有価証券を、表示科目ごとに分ける。

同時に、「1年基準」を適用して、分類する。

…となっています。

この表示科目への分類は、一見するとカンタンなのですが、何気に手間取ります。

ちなみに、「1年基準」の適用とは、「1年以内に満期が到来する、満期保有目的債券とその他有価証券は、流動資産の「有価証券」で計上する」といった塩梅です。

「勘定科目」で小難しい処理したものを、こんどは、「表示科目」で整理し直す、しかも、この整理の際に「どれが1年物かをチェックする」という、手間感が満載です。

このため、混沌とした受験生が“よく間違えてくれる”といった次第で、出題者の「お気に入り論点」となっています。

T字勘定で整理する

先ほど言ったように、出題者が好むこの論点は、間違いやすいです。

出題者は、ここぞとばかりに、資料中に、「×年○月に満期が来る」とか「○年まで保有する意思がある」的な、心がささくれ立つ文言を挿入してきて、受験生の脳みそをウニにしようと躍起になります。

このため、頭の中だけで作業すると、必ず、ケアレスミスを犯してしまいます。

ささっと整理できる人はしなくて結構ですが、よく間違う人は、いっそのこと、一手間かかりますが、「T字勘定を切って、慎重に、分類していく」ようにします。

全部ぶち込む

「2段階」かけて、処理していきましょう。

T字勘定を切ったら、とりあえず、勘定科目ごとの取り決めどおりに、T字勘定にぶち込んでいきます。

売買目的有価証券を、資料からピックアップして、「有価証券」のT字勘定にぶち込みます。(もちろん、借方に。)

で、“とりあえず”満期保有目的債券とその他有価証券を、「投資有価証券」のT字勘定に、ぶち込みます。(もちろん、借方に。)

これで、第1段階は終わりです。だいぶ、すっきりするはずです。

1年基準ものを探す

で、第2段階です。

資料に目を通して、「1年以内に期限が来る」ものをピックアップします。

で、その1年物ごとに、「投資有価証券」のT字勘定の貸方に記載します。(減らす感じです。)

で、当該記述を、今度は、「有価証券」の借方に転記する、ってな塩梅です。(増やす感じです。)

後は、「有価証券」と「投資有価証券」の残高を計算する、ってな次第です。

こうやって、2段階で整理すると、「頭の中だけの作業」より、格段に間違いが減るはずです。

まとめ

計算用紙に、いちいち「有価証券」と「投資有価証券」のT勘定を設けて、数字を転記するのは、めんどうです。

しかし、「ここ」で間違えてしまうと、これまでの苦労が水の泡です。

手間と時間をかける価値はあるのです。

有価証券の個々の処理は、クソメンドクサイこと、この上がありません。

売買目的有価証券は、意図的に売買をはさんで取得原価を変動させて、売却損益を出すのを手間取らせます。

満期保有目的債券は、社債の償却原価法をやらせて、手間取らせます。時には、期中売却をはさんで、端数利息の計上までやらせてくることでしょう。

子会社株式・関連会社株式では、わざと「時価」の額を資料中に入れてくることでしょう。

こんな次第で、その処理に苦労したはずです。

しかし、「表示」を間違えると、その苦労は点に結びつかないのです。

だからこそ、ケアレスミスを犯さないやり方をしなくてはいけない、ってな次第です。

とりわけ、処理する有価証券の数が多い場合は、当該T字勘定が、激烈に威力を発揮するはずです。

有価証券の表記で、煮え湯を飲んだ方は、「T字勘定」という1手間かけて、処理してみてください。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。

関連会社株式と関係会社株式の区別は、語呂で行なう‐簿記2級ノート

簿記2級において、有価証券は、屈指の論点です。

当該論点は煩雑を極めているので、整理の付いていない受験生は、たちどころに点を失います。

当該有価証券の論点の中で、微妙に厄介なのが、「似た奴」の存在です。

「関連会社株式」は、「勘定科目」です。

「関係会社株式」は、「表示科目」です。

もう一度述べます。

勘定科目は「関“連”会社株式」で、表示科目は「関“係”会社株式」です。

この2つは、受験生泣かせの極め付けの科目で、どっちがどっちやら、「わからん」の1言に尽きてしまいます。

しかし、明白に憶えていないと、とりわけ、第3問で財務諸表の作成問題があった場合に、致命的な失点をしかねません。

そう、うっかりしていると、「投資その他の資産」のところに、「関連会社株式」と勘定科目を記入しかねない…、

または、仕訳問題で、ついうっかり表示科目の方の「関係会社株式」で仕訳を切りかねない、ってな次第です。

イヤらしい出題者は、仕訳問題の語群の中に、両者を置きそうです。

語呂で憶える

憶え方は、語呂です。その表記の違いを、考えようがないからです。

まず、左に勘定科目の「関“連”会社株式」があるとします。で、固定します。

次に、右に表示科目の「関“係”会社株式」があるとします。で、固定します。

『関“連”会社株式 ― 関“係”会社株式』といった感じです。

“連”と“係”で…、

格闘ゲームの定番語句「れんけい(技)」とか…、

ボウリングの「レーン係り」とか…、

「RK」(ローマ字のRENとKEIの略)とか、「ReiKo」(こち亀の使い勝手の良いキャラ)とか、「RiKi」(力道山・長州力:往年のレスラー)とか…、

「連」の方のしんにょうを取って、「車」に「係」で「車係」とか…、

こういう語呂・語句で、無理から頭に入れるしかありません。

「関連会社株式」と「関係会社株式」の表記の違いには、会計学上のウンチクがあるはずです。

しかし、会計学は犬も食いません。

また、どのような理屈も聞きたくありません。わたしたちは、きっちり「科目」の使い分けができればいいだけです。

自然記憶だけだと、後で必ずわからなくなります。

先に挙げた語呂いいですし、自作の語呂でもいいので、関連会社株式と関係会社株式の混同を、語呂で防いでください。

なお、出題によっては、勘定科目のまま、財務諸表上に表記する場合もありますので、問題文の指示に従ってください。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。