「4)泌尿器系」
血液中の老廃物を、尿として体外へ排泄するための器官系である。
泌尿器のほかに、広義の排泄器官としては、二酸化炭素を排出する呼吸器や、老廃物を汗として排出する外皮等も含まれるが、生命活動によって生じた老廃物の排出のほとんどは、泌尿器系によって行われている。
(a) 腎臓
横隔膜の下、背骨の左右両側に位置する一対の空豆状の臓器で、内側中央部のくびれた部分に尿管、動脈、静脈、リンパ管等がつながっている。
腎臓に入る動脈は細かく枝分かれして、毛細血管が小さな球状になった糸球体を形成する。
糸球体の外側を袋状のボウマン嚢が包み込んでおり、これを腎小体という。
ボウマン嚢から1本の尿細管が伸びて、腎小体と尿細管とで腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)を構成している。
腎小体では、肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素など、血液中の老廃物が濾過され、原尿として尿細管へ入る。そのほか、血球やタンパク質以外の血漿成分も、腎小体で濾過される。
尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。その結果、老廃物が濃縮され、余分な水分、電解質とともに最終的に尿となる。
腎臓には、心臓から拍出される血液の1/5~1/4が流れている。
血液中の老廃物の除去のほか、水分及び電解質(特にナトリウム)の排出調節が行われており、血液の量と組成を維持して、血圧を一定範囲内に保つ上でも重要な役割を担っている。
このほか腎臓には内分泌腺としての機能もあり、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。
また、食品から摂取あるいは体内で生合成されたビタミンDは、腎臓で活性型ビタミンDに転換されて、骨の形成や維持の作用を発揮する。
【副腎】
左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、皮質と髄質の2層構造からなる。
副腎皮質では、副腎皮質ホルモン(※1)。が産生・分泌される。
副腎皮質ホルモンの一つであるアルドステロンは、体内に塩分と水を貯留し、カリウムの排泄を促す作用があり、電解質と水分の排出調節の役割を担っている(※2)。
一方、副腎髄質では、自律神経系に作用するアドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が産生・分泌される。
(b) 尿路(膀胱、尿道)
左右の腎臓と膀胱は尿管でつながっており、腎臓から膀胱を経て尿道に至る尿の通り道を尿路という。
尿のほとんどは水分で、尿素、尿酸等の老廃物、その他微量の電解質、ホルモン等を含む。尿は血液が濾過されて作られるため、糞便とは異なり、健康な状態であれば細菌等の微生物は存在しない。
【膀胱】
下腹部の中央に位置し、尿を一時的に溜める袋状の器官である。尿が膀胱に溜まってくると刺激が脳に伝わって尿意が生じる。
膀胱の出口にある膀胱括約筋が緩むと、同時に膀胱壁の排尿筋が収縮し、尿が尿道へと押し出される。
【尿道】
膀胱に溜まった尿が体外に排泄されるときに通る管である。
女性は尿道が短いため、細菌などが侵入したとき膀胱まで感染を生じやすい。高齢者では、膀胱や尿道の括約筋の働きによって排尿を制御する機能が低下し、また、膀胱の容量が小さくなるため、尿失禁を起こしやすくなる。
また、男性では、膀胱の真下に尿道を取り囲むように前立腺がある。加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿困難等を生じることがある。
「ステロイドという共通する化学構造を持つことから、ステロイドホルモンともいう。医薬品に用いられるステロイド性抗消炎成分は、化学的に合成された副腎皮質ホルモンの誘導体である。」
「アルドステロンの分泌が過剰になると、高血圧、むくみ(浮腫)、カリウム喪失などを生じる(アルドステロン症)。」
本項のコメント入りは…、
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