FP(ファイナンシャルプランニング)技能士2級のテキスト・問題集レビュー

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 FP技能士2級は、「やることさえやっていたら受かる」試験です。テキストと問題集ともに、出版社ごとに大差はなく、合否に決定的な影響を及ぼしません。好きなのを使って支障なし、というのが実情です。とはいえ、実技試験の注意点があり、教材の使いやすさもあるので、敢えて、「初心者向け」「本格派向け」「簡易版」の3つの点からレビューします。

実技試験の対応を確認する

 教材選択で一番大事なのは、「受験予定の実技試験に応じた、テキストと問題集を選ぶ」ことです。

 実技試験の「中小事業主資産相談業務」や「損保顧客資産相談業務」を受験予定の方は、きんざいから出版されている実技専用の問題集「パーフェクトFP技能士2級対策問題集・実技編(中小事業主資産相談業務) 」か「パーフェクトFP技能士2級対策問題集・実技編(生保・損保顧客資産相談業務) 」を、“追加的に”購入する必要があります。対応している問題集がこれくらいしかないので、ご注意ください。

 対して、数多く実施される、金融財政事情研究会の「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」、FP協会の「資産設計提案業務」は、大半の市販教材が対応しています。

 とはいえ、間違えて買うとショックなので、これらの実技受験の方も、実技対応の適否を確認した上でご購入ください。

全くのゼロから勉強を始める初心者向け1

 ナツメ社:テキスト「一発合格! FP技能士2級AFP完全攻略テキスト」と、問題集「一発合格! FP技能士2級AFP完全攻略実戦問題集

 全体的に良質。内容に過不足なし。テキストと問題集との相性がよい。選択肢ごとに「テキストのページ」が表記されているので便利で親切。

 漫画的なコマ割や挿し絵が多く、セリフ表記を多用し、できるだけ紙面を柔らかくする工夫が随所に見られる。文字のギッシリ感が薄まっているので、ウンザリしない。挫折しにくい。ぱっとしないナツメ社のなかで、本シリーズは異色の出来上がり。編集と作者の努力の後が偲ばれる。

 3級でも推薦。個人的に、わたしが全くゼロから勉強するなら、本書。

 金融財政事情研究会の「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」、FP協会の「資産設計提案業務」に対応。

ゼロからの初心者向け2

 TAC:テキスト「みんなが欲しかった! FPの教科書 2級・AFP」と、問題集「みんなが欲しかった! FPの問題集 2級・AFP

 見た目で攻める教材。わかりやすい表現・わかりやすい図示に徹しているが、子供だましじゃない計算された本格作り。内容にやや不足感はあるが、試験のカン所や点数を取るツボは心得ているので、安心して使えることは使える。できるだけ「簡単なところ」から始めたい人に勧められる。挫折しにくい。

 個人的なヘンな感想を言うと、「プレゼントしやすい」。こどもやおいやめいに、これ使ってみたらと言える教材。

 金融財政事情研究会の「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」、FP協会の「資産設計提案業務」に対応。

本格派のお勉強

 成美堂:テキスト「FP技能士2級問題集&テキスト」と、問題集「FP技能士2級 重要過去問スピード攻略

 金融機関等に奉職し数字や漢字に嫌気が指さない人や、他資格ホルダー、FP的知識のある人に向いている。試験勉強以上に「広い」勉強ができる。

 内容で一番の本格教材。ほとんどあらゆる論点を網羅している、“漢字と数字”でギッシリ埋まったスニッカーズ教材。お勉強はお勉強、と割り切っている人向け。勉強なんだから、しんどいに決まっている→子供だましの漫画チック挿絵やセリフなど無用と考える人にぴったり。

 「このくらいのことは勉強しないと、使える知識にならない」という、筆者の意気込みを感じる。難点は、文字と漢字ばかりなので挫折しやすいこと。初心者には勧められない。使う人を選ぶ。なお、上記シリーズには、テキストと問題集以外に、「最速合格ブック」があるが、これは無用である。

 なお、テキストには「問題集&テキスト」と明記されているが、単元ごとに例題が1問が挙げられているだけである。問題集としての利用には耐えない。姉妹編の問題集を買うのは必須。

 一番勉強になる教材で、真剣に勉強したい人や、企業研修等でビシビシ鍛え上げるのにいい。個人的に言うと、そっと本棚にしまう教材。会計系の人が書いた本は本当に頭が痛くなる。

 金融財政事情研究会の「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」、FP協会の「資産設計提案業務」に対応。

簡易版

 TAC:テキスト「スッキリわかる FP技能士2級・AFP」と「スッキリとける 過去+予想問題 FP技能士2級・AFP

 とにかく資格だけほしい人、一番はやく終わらせたい人、他資格ホルダーに最適。わたしが受験時に使っていた。が、改めて見直してみると、先に紹介した教材と比べて、“何でこんなものを使っていたのか?”という忸怩たる気がしてならない。

 体育会的な粗さと雑さ。一昔前の公務員風な不親切さ。Windows MEなみの抜け落ちの多さ。全くのゼロから始める人には、到底勧められるものではない。しかも、簡易版なのに安くもない。

 しかし、本シリーズは、『テンポがよい』という、先の教材にはない特徴がある。テキストは「2~3ページの記述を読んだら即問題」で、過去問は「問題ばっかりがざぁ~」で、「当たらない予想問題」も付いており、問題演習の「量」は稼げる作りとなっている。

 合格だけを考えるなら、本シリーズが一番てっとり早い。ただし、使う人を選ぶのと、先の教材に比べたら、“わかりにくく、落ちやすい”ことは念頭に置くべき。

 実技試験ごとにテキスト・問題集は分かれているので、受験予定の教材を買うこと。

電卓、買った?

 FP技能士の本試験では、電卓の持ち込みが認められています。

 計算問題も多くないので、FP技能士2級だけの受験なら、別に買わなくてもいいです。

 しかし、2級以降、1級やその他簿記なども念頭にあるのなら、今、本格的な高品質電卓を買っておいて、全く損はありません。

 高品質の電卓は、能率と快適さが違います。

 計算機を選ぶ基準は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」を参考にしてみてください。

 読んだり考えたりするのがめんどくさい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」から選べば、間違いはありません。

FP技能士2級のこまごましたもの

 FP技能士2級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「FP技能士:ブログ記事」をばご参考ください。

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