FP(ファイナンシャルプランニング)技能士2級の独学

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 FP技能士2級の独学方法と、学科のやり方、実技の2大注意事項を述べていきます。そのほか、3級合格者への警告と、法改正情報の入手先、使用電卓の是非など。

ひとくち基本方針

 結論から言うと、FP技能士2級は、「テキストと問題集を3回やって、Webの過去問を2年分解いておけば、間違いなく合格する」という寸法です。

 合格点は6割。合格率が20~30%で、しかも競争試験ではないので、やることさえやれば必ず受かる試験です。

 簿記の計算のような、特別な技術に習熟する必要もなく、解答はほぼマークシート。このため、更に受かりやすい試験となっています。

 学科は「4択」問題で、実技は選択式と記述式の併用です。やることに巨大な『差』はありませんが、実技は少しクセがあるので問題演習で慣れておく必要があります。

 使用教材は、「教材レビュー」にまとめています。ま、読むのがメンドウな人は、本屋で好きなのを選んでください。どれでも支障はありません。

カモになる3級合格者

 2級から受ける人や他資格ホルダーは、以下の注意事項はあまり関係ありません。

 本項で注意喚起をしたい人は、「3級の合格者」です。

 3級に合格した人たちに、老婆心から言っておきたいことは、「2級は、しっかり勉強していないと受からない」ということです。

 言うなれば、『3級感覚のままだと、2級には絶対に受からない』です。

 「3級」では、テキスト杜撰・演習僅かの「てきとー」な勉強でも、出題が出題なので、誰だって受かってました。

 しかし、2級ともなると、そうは問屋がおろさなくなります。向こうも商売なので、そうカンタンにライセンスを発行しません。

 2級では、テキストに書かれていることは、細かなところまで読んでおき、問題演習をみっちりしてその大半を答えられるようになっていないと、合格できないです。

 3級と同じ感覚で2級を受けるのは、試験主催者に「お布施」するようなもの。

 3級をてきとーに済ませ、2級も真剣に勉強する気がないなら、受けない方がいいでしょう。イイカモです。

 「合格率は20~30%」という数字を、真に受けてはいけません。「合格者」には、他資格合格者や知識・経験の優れた人が、多数混じっているのを忘れてはいけません。

 やるからには、しっかり勉強しましょう。

 なお、2級の勉強内容は、3級の焼き直しが多いので、3級でキッチリ勉強した人は、いつもどおりのお勉強をしていれば受かります。わたしは、2週間で受かっていますが、その口です。

完全な試験対策を望まない

 たとえば、社会保険の問題には、社労士レベルの問題が見受けられます。また、不動産も問題では、宅建レベルの問題が出ています。そこそこに、各専門の問題が採用されています。

 ですから、仮に、FP技能士2級を完全に網羅するテキストを作るとしたら、社労士や宅建のテキストを合わせたものになり、到底、今のサイズに止まりませんし、あまりのぶ厚さに誰も使わないでしょう。

 FP技能士2級では、細かい数字や規定は追わないことが大事です。完全主義者は墓穴を掘ります。

 合格するのに大事なことは、例年問われている頻出事項や、テキスト・過去問の基礎的・基本的事項をしっかり『物』にすることです。

 見たことのない細かい数字や規定などは、出題者側の難易度調整だと思って、押さえる程度に済ませましょう。

 そういう問題を落としても、他の問題で取れるようになっています。

 細かい数字や規定を追及するのは、1級になってからです。2級では、うっちゃっておく方が、時間と手間の双方で賢明です。

バックグラウンド別の作業量

 先に挙げた、テキスト・問題集「3回」とWeb過去問「2年分」という数字は、『全くゼロからのド素人』の作業量です。

 『繰り返す数字』は、受験生のバックグラウンドによって変わります。

 「FP技能士3級をしっかり勉強した人」は、教材を「1~2回+Web過去問少々」をやれば、合格できます。

 宅建等を持っている「他資格ホルダー」は、教材を「2~3回+Web過去問」をやれば、合格できます。

 で、全くはじめてという人は、先に挙げた本格派を「3回」と「2年分」+Web過去問直近2年という塩梅です。

 不安があるなら、予想問題集等を加えれば鉄板です。

 詳しくは「FP技能士ほど、受験生に大差のある資格もない」に述べていますが、スタート地点がバラバラなのを考慮に入れ、彼我の経験や知識量をもとに「作業量」を調整してください。

学科の勉強方法‐「広く浅く薄く」が基本

 端的に言うと、学科の勉強方法は、『テキストや過去問に羅列されている、細々とした語句や数字を憶えるだけ』です。

 たとえば、住宅ローン控除について、テキストでは、以下のように述べられています。

 ①6ヶ月以内に、床面積の半分以上を居住の用に供する、②床面積は50㎡以上、③中古住宅の場合は築20年以内(耐火建築物の場合は25年)、④増築の場合は工事費用が100万円超、という条件を満たす住宅のローンを組んでいると、控除の対象になる、と。

 だいたい本試験ではこんな風に問われます。

 ①関連で、住宅ローン控除の適用を受けるには、「1年以内に住む必要がある」などと問題化されます。

 ②がらみでは、「床面積100㎡以上」とか、③では「新築住宅しか適用されない」とか、④では「増築には住宅ローン控除の適用はない」といった選択肢が出てきます。

 ですから、テキストの「6ヶ月」とか、「半分以上を居住の用」とか、「床面積は50㎡以上」とか、「中古住宅もOK」といった細々としたことを憶えることになります。

 で、難易度の上がった出題になると、「いったん居住したが、後々、引越しで住まなくなったらどうなるか?」とか、「宅地は100㎡以上でないといけない?」といった選択肢が出題されます。

 大雑把な言い方ですが、試験問題は、おおむね『基本事項が出題のメインで、添え物のように、細かいことが追加的に突っ込まれる』という塩梅です。

 で、得点調整的な問題になると、あからさまに誰も知らないような事柄が出題される、といった塩梅です。

 学科のコツは、テキストや問題集の基礎・基本事項をしっかり消化することです。

 テキストや問題集の内容をきっちり押さえておくだけで、正解を導けることはもとより、選択肢を消去法で潰すことができるので、確率的に点が取れます。最終解答が覚束なくても、「運」で1点取れるのです。

 学科は、テキストと過去問を繰り返していれば、合格点の6割を確保できます。

 「細かいことや深い」選択肢には拘泥せず、「広く浅く薄く」をモットーに、テキストや問題集の基礎・基本事項を勉強していってください。

 FP技能士2級の学科の勉強は、ざっとこんな感じです。要は、「知ってさえいればいいだけ」なのがFP技能士です。

 ゆえに、『テキストや過去問に羅列されている、細々とした語句や数字を憶えるだけ』になるのでした。

 正直に言うと、試験勉強では、「頭」をほとんど使いません。中身は「大人の言葉」ですが、やってることは小・中学生レベルの作業です。

 しかし、これには「大人の事情」が濃密に絡んでいます。興味のある方は、「『業際』という士業の壁‐FP技能士の試験勉強が「広く浅く薄く」になる理由」を参考にしてください。

ひとくち実技

 結論から言うと、大半の問題は、知識を問う問題なので、学科の延長と捉えておいて構いません。作業は、テキストと問題集を「3回」です。

 実技試験で新たにやることは、『資料処理』です。

 実技試験では、問題ごとに、いろいろ細かくてシチメンドクサイ資料が与えられます。これを読んで解答するわけですが、そのほとんどは解答に関係のないことです。

 つまり、試験では、資料のどことどこに着目するかが試されている、という塩梅です。

 最初は、慣れない作業のため難しく感じることでしょう。でも、問題集なり過去問を数回やっておけば、まず、解けるようになります。

 単純に、やってない人ができないだけです。

 実際、大半のテキストは、実技の解説はちょびっとしかありません。

 それもその筈、実際に問題を解くのが一番手っ取り早いからです。その分、問題集の方が実技は充実しています。

 正直、あまり、「実技」という文字に拘泥せず、学科をシッカリやっていれば大丈夫なので、そう気にする必要はありません。

 さて、実技試験には、「選択科目」と「計算過程」という、2つの大きな注意事項があるので、以下に、挙げていきます。

実技は選択科目制

 まず1つ目は、「選択科目」についてです。

 実技試験は選択制となっていて、自分の受けたい実技試験を受けることになります。

 当該選択科目は、試験主催者と試験の実施月によって異なるので、とても注意が必要です。

 FP協会の実技試験は、「資産設計提案業務」の1本です。

 対して、金融財政事情研究会の実技試験は、「個人資産相談業務」と「中小事業主資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」と「損保顧客資産相談業務」の4つがあります。

 そして、注意すべきは、「損保顧客資産相談業務」は年1回、「中小事業主資産相談業務」は年2回しかやっていないため、受けたい実技試験によって、受験回(受験月)を変える必要があります。

 実技試験は、①「どの実技試験を受けたいか」をきっちり見定めて、②実技試験の実施の有無を確認した上で、勉強のスタートを切らなくてはいけません。

 たとえば、金財の「損保顧客資産相談業務」を受けたい人は、年に1回・9月にしか行われないので、応じて、学習計画を調整する必要があります。

 受験予定の試験に、勉強してきた実技試験が実施されてなかった、なんてことのないようにしてください。

 加えて、教材を買う際も、自分の受ける実技試験に対応しているかどうかを確かめてください。

計算過程を重視‐出題形式に慣れておく

 2級が3級と大きく異なるところは、「計算過程」を書くよう指示される点です。

 一見すると、メンドクセエなと思うことでしょうが、それは全くの見当違いです。

 実技試験の2番目の注意点は、テキスト・問題集・過去問に掲載されている、『計算過程』を重視する、ことです。

 応用編で紹介される、知識も大事、公式も大事、数式も大事です。

 でもそれ以上に、個々の問題の『計算過程の書き方』を物にしてください。

 計算過程が、一番得点になります。ここを取り違えていると、落ちかねません。

 当該計算過程は、「部分点を稼がせてくれる、出題者側からの支援」と踏まえておきます。

 というのも、最終的な計算結果のみの採点だと、出題者・受験生ともどもに、不都合があるからです。

 たとえば、「ホニャララ年金の最終額はいくらですか?」→「700,420円」と解答。答えが「700,000円」だったとすれば、間違いです。つまり、ゼロ点になってしまいます。

 でも、年金のように、複雑な計算式を経て算出される数字とは、「まず合わない数字」で、「ほとんど誰も正解できない類の問題」です。

 簿記検定などで、当期純利益や繰延利益剰余金の最終額といった「集計」の正解率は極端に低く、最終的な答えでしか採点しないと、『受験生が落ちまくる』という現実があります。

 以下、わたし個人の意見です。

 『受験生が落ちまくる』と、「受ける人が少なくなってしまう」という配慮が働きます、だからこそ、計算過程を解答に書かせて、「点数を上乗せする」というわけです。

 わたくし事ですが、FP技能士2級の実技は、解答の大半を不安なまま提出し、「こら、落ちたかも知れんなー」と思いつつ帰路に付きましたが、蓋を開けてみると、全体で8割近く点数が取れていてビックリしました。

 

 どれだけ部分点を稼いだのかが窺えます。

 こんなことを言うとアレですが、別段、最終的な答えなど、適当に答えてもいいのです。

 計算過程で部分点をたくさん取ることさえ、できればいいのです。

 『計算過程にて部分点を稼ぐ』のが実技試験の固有ポイントです。

 必ず1度は、模範解答の計算過程を紙の上に書き出して、計算を展開しておきましょう。

 ぶっつけ本番だと、何を書いて何を省けばいいか、意外に戸惑います。「答えは出ているが、どう書いたらいいかわからない」ので、かなり、怯んでしまいます。

国税庁から法改正

 法改正事項は頻繁に出題され、とりわけ、実技でその傾向が顕著です。

 とはいえ、端的に言うと、法改正は、言うほど、重要ではありません。

 というのも、別段知らなくても・対策を採っていなくても、合格点を確保できるからです。

 ただ最終的な得点は、下がります。

 いい得点で気持ちよく受かりたい、会社で受けさせられ最終得点が会社にばれてしまう、同僚との考課につながるなど、最終得点をプラス2~3点底上げしたいのなら、「国税庁」のHPから税法改正のパンフレット(PDF)を落として読んでおくことをお勧めします。

 最初は文字と漢字と数字ばかりでウンザリですが、配偶者の顔と比べたらどうってことありませんし、何度も見ているうちに慣れます。人は酷さに慣れるのです。

 税法の改正は、当該PDFからよく出ています。

 過去問を解いて、「ここからでてんなー、なら、今回はここかー」程度の押さえでも、十分に点数の可能性を上げることができます。

 なお、社会保険関連の改正も問われますが、非常に多岐にわたるので、興味がなければ捨てていいでしょう。わたしは社労士有資格者ですがヤッテランネで捨てました。

 参考:国税庁‐税制改正の概要

基本的な日本語おk?

 学科や実技の計算問題では、最終的な解答を、以上や以下、未満やら越えるといった指示で処理させます。

 このため、計算過程が合っていても、最終的な答えの出し方を間違っていると、痛恨の失点となります。

 数字の端数の処理は、意外に意外、忘れていたり勘違いしていたり、“勉強しているとこんがらがってだんだんわからなくなる”傾向があります。

 「「以下」「以上」「未満」「超える」」や「以下・未満の四捨五入+切捨て」を参照して、記憶を改めておきましょう。

使用電卓について

 FP技能士には、電卓の持ち込みが許されています。

 しかし、注意すべきは、“ファイナンシャル”なのに、金融電卓の使用がダメな点です。

 参考:「金融電卓は、FP技能士に使えない

 ふつうの電卓を使うことになるので、注意してください。

FP技能士2級のこまごましたもの

 FP技能士2級に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。興味のある方は、「FP技能士:ブログ記事」をばご参考ください。

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