FP技能士1級の独学合格するには、点数の取りやすい「応用編」の「計算問題」に主軸を置いて勉強する。計算問題の過去問は、最低3回は解いておき、本試験で確実に計算できるようにしておく。同時に、“採点者視線”の計算手順の書き方を押さえる。基礎編は深入りしない。教材は本格版の一択。実技は、学科が通ればまず受かる。
結論から言うと、1級FP技能士に合格するとは、「学科試験を突破すること」です。
反対に言うと、学科試験が通ったなら、1級FP技能士には合格したも同然、という塩梅です。
1級FP技能士試験は、学科試験と実技試験とに分かれますが、実技試験は一種の“卒業試験”となっていて、よほどのポカをしない限り、合格できるようになっています。
このため、実技を気にする必要はありません。少なくとも、1級FPの学科に合格できるのであれば、間違いなく実技も通る実力がある、と言えます。
学科試験こそが、1級FP技能士の天王山です。
学科の突破で大事なことは、学科試験には、本格版のテキストである「合格ターゲット 1級FP技能士 特訓テキスト」と…、
これまた本格版の問題集の「パーフェクトFP技能士1級対策問題集」を使い…、
必要に応じて、補強テキストの「FP技能検定教本1級」で苦手を補うこととなっています。
教材事情の詳細は、「1級学科・教材レビュー」で述べていますが、簡易廉価版は、よほどの実力者でない限り、使ってはいけません。
特に、わたしのように、2級・3級を簡易廉価版で済ませてきた人は、1級でも同じように使いたくなりますが、絶対に勧めないことを、ここに明記しておきたいと思います。
頭の中が森三中の大島さんで一杯になります。
学科試験は、午前実施の基礎編と、午後実施の応用編の2つの試験で構成されています。
基礎編は、50問が出題され、4択のうちから一つを選ぶ択一式です。
応用編は、計算問題を主軸に、記述式(単語や用語を書くだけ)や択一式や○×式が出てくるというアラカルト方式です。
合格基準は「6割得点」で、つまり、「200満点中、120点以上」を確保できれば合格です。
当該6割得点(120点得点)は、「基礎編と応用編の合算」した数字となっていて、足切り点は、“設定されていない”という次第です。
極端な例を言えば、基礎編が20点しか取れなくても、応用編が100点なら、20+100で120点となり合格する、という試験形式なわけです。
何でこんなことを長々と述べるかというと、「足切り点」が「存在しない」以上は、基礎編が全く解けなくても、試験を捨ててはならない故です。
足切り点がない以上、基礎編がほとんど間違っていても、応用編で挽回できる可能性は大です。
「合格体験記」に、個人的な憶測として、救済や調整の存在があることを指摘していますが、基礎編が難しければ難しいほど、何らかの処置があるように思われます。
基礎編で面食らっても試験を投げず、できる問題だけでも点数を取れば、前途は開きます。わたしのケースだと、基礎編は10問も満足に解けなったけれども、合格はしていました。
学科の基礎編は、明らかに傾向が変わって格段に難化し、受験生泣かせの試験科目となっています。
近年の基礎編は、以前の頻出問題・定番問題は影を潜め、過去問の使い回しも激減し、テキストや過去問で全く触れられない事柄が、ビシバシ出題されています。
従来のテキスト・過去問を中心とした試験勉強の実効性は、「落ちている」というのが実情です。
しかし、なのです。
基礎編の出題を完全網羅するようなテキストや、万全の対策ができる問題集があるかというと、『ない』のです。
したがって、基礎編で取りうる対策といえば、結局、従来の「過去問演習」となってしまう次第です。
実効性が落ちていても、「出ることは出る」過去問演習を捨てることもできず、1級基礎の試験勉強では、ロスの多い作業を強いられます。
ですから、後述していますが、基礎編は、一応やることにはやるが深追いはせず、手も足も出ない難問・難論点は見切る・見捨てる作業も必要となっています。
対して、応用編は、手を焼きません。
傾向はあまり変わっておらず、定番の計算問題を中心とした出題となっています。
後述しますが、応用編の計算問題は、難易度が高くて勉強もし難い基礎編に比べたら、格段に点数を取りやすいので、当該計算問題を、試験勉強の中心に据えることになります。
結論を言うと、学科試験の合格のキーは、「応用編」の「計算問題」を、しっかりと演習しておくこと、となっています。
端的に言うと、計算問題で点数を取らないと、合格できません。他に取れるところがないからです。
応用編の計算問題を重視する理由は、2つあって…、
①計算問題は、得てして定番の出題が多く、安定して点を確保できる。
②計算問題は、計算手順を「書かせる」ことが多く、部分点を取ることができる。
…からです。
①が大事なのは、学科試験の基礎編では、とんでもない出題が多用される「きらい」があり、安定して点数が取れないためです。
対して、応用編の計算問題は、例年通りであり、きちんと計算問題の解き方を身につけておけば、点数を確保できます。
②の部分点も大事です。
部分点をくれるということは、反対に言うと、最終解答が間違っていてもいい、という次第でして、得点の可能性が著しく高まります。
基礎編の択一は、4つの選択肢のうちそれぞれを正確に判別し最終解答が合っていて、ようやく得点となります。
つまりは、1個2個の選択肢をきちんと判別できても、最終解答が間違えてしまうと、0点になってしまうわけで、いかに、計算手順の部分点が「点数となりうる」のが大きいか、お分かりかと存じます。
基礎編では、難問奇問珍問が続出することがあり、安定した得点源となる応用編の計算問題は、合格の生命線といって過言ではありません。
まず第一に、「基礎編」の細々した勉強には、本腰を入れない方が賢明です。
費用対効果が悪いからで、まずは、受験生にとって生命線である「応用編」の「計算問題」を、「最低3回」は解いておきます。
3回ほど繰り返しておけば、本試験では落ち着き切って解答できます。
逆に言うと、本試験で“あれ、これはどうやってたっけ?!”的な惑いが出るようではダメだ、という次第です。
身体が憶えるまで、練習します。「できる」ようでも、3回までは計算機を叩いておく方が無難です。
そして、同時に、「計算手順」の書き方も、練習しておきます。
本試験の解答用紙には、計算手順を書かせる空白がありますが、それは、“メモ用紙”ではないことを、絶対的に留意しておかねばなりません。
つまり、クチャクチャと殴り書きした計算手順を書くと、減点される(嫌気が差した採点者がまともに読まないことがある、採点者が見落とすことがある)可能性が高いです。
1点でもおろそかにしないためにも、計算手順は、『採点者視線』で、『見やすいく』『わかりやすく』『読みやすく』書けるまで練習しておきます。
解答や解説の計算手順にしっかり目を通し、理想的な「書き方」をおさえておきましょう。
正直言うと、「これ」といった方法論がわたしには見えません。
昨今のような、たとえば、医療法人の相続の特例といったトンチンカンな出題をされると、お手上げだからです。
見たことも聞いたこともないものを問われても、答えられるわけがないからです。
しかし、手を抜くわけにはいきません。
で、やることですが、過去問を最低でも「3回」は解いておき、過去問で問われたことは、確実に解答なり判別できるようになっておきます。
過去問の使い回し等が減ったとはいえ、厳然として、まだ「行われている」からです。
そして、先に紹介した本格版のテキストも、みっちりと読み込んで置きます。
テキストレベルの基礎・基本事項が問われた際に、それを落としてしまうと、致命的な失点となるからです。
そして、です。
「1級学科・教材レビュー」でも述べたのですが、本気で勉強したい人や絶対に合格したい人は、6冊ある補強テキストである教本シリーズを追加して、精読します。
これだけしていても、学科・基礎はギリギリですが、合格ラインに滑り込む可能性は格段に高まると思います。
こんなことを言うと椅子からずり落ちるかもしれませんが、学科の基礎編とは、個々人がこれまでに培ってきた・経験してきた・学んできた「地力」勝負なのが実情です。
地力のある人は通りますが、ない人は、地力を身に付けない限り、受かるのは運否天賦の半々というのが実感とするところです。
なお、わたしは、社労士で社会保険関係をしごかれていたので、「それ」が地力となって数点を上乗せすることができ、結果、ギリギリ滑り込みで受かった、と分析している次第です。
かつては定番の出題だった税法の改正問題ですが、最近ではストレートに出題されていません。
しかし、今後出ないわけではないし、FPとして、税法の改正事情は実務柄必要となるので、対策は取っておく必要があります。
おおむね、所得税や法人税の改正問題は、3回に1回は問われています。
法改正の情報は、国税庁のWebサイトに挙がっているPDFで得ることができます。
「国税庁 法改正」などと検索をかければ、該当するページに飛べるので、PDFを端末に落として、空き時間に主要な数字や制度の変更点に目を通しておきましょう。
最初は、漢字と数字とベクトル記号ばかりでウンザリしますが、配偶者の面と比べれば何でもないので、何回か読みさえすれば、苦手意識は消えていきます。
FP技能士には、電卓の持ち込みが許されています。
しかし、注意すべきは、“ファイナンシャル”なのに、金融電卓の使用がダメな点です。
参考:「金融電卓は、FP技能士に使えない」
ふつうの電卓を使うことになるので、注意してください。
あと、計算問題の能率はお金で買えるので、受験を機に、本格派の電卓を使うことを勧めます。
計算機を選ぶ基準は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」を参考にしてみてください。
読んだり考えたりするのがめんどくさい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」から選べば、間違いはありません。
比較的点数が取りやすいのは、「応用編」の「計算問題」です。
年金額の計算とか所得税の計算とか株価の計算とか容積率・建ぺい率の計算とか、凄く面倒ですが、基礎編の徒労の多い勉強に比べたら、点数の可能性は段違いに高いです。
応用編の計算問題で“どれだけ点数を確保できるか”が、最終得点に跳ね返ってきます。
先述したように、計算問題の過去問は、「最低3回」は解いておくことを推奨します。
基礎編の択一は、お使いのテキストと過去問を、まず、みっちり仕上げることです。
テキストと問題集は、値は張りますが、本格版の「合格ターゲット 1級FP技能士 特訓テキスト」と、「パーフェクトFP技能士1級対策問題集」の利用を推奨します。
少しでも内容のあるものを使い、基礎・基本レベルの問題(選択肢)を、絶対に落とさないようにするためです。
過去問には、わけのわからない問題があるでしょうが、全く手が追いつかない場合は、『捨て問』にします。
個人的には、深い知識を問う問題は深入りせず、テキストや問題集の範疇の事項をしっかりやる、というのが一番ロスが少ないと思われます。
また、傾向が激変した基礎編でも、定番の計算問題、たとえば、外貨預金の利回りなど、があるので、しっかり練習しておいて、運よく出題されたら100%得点できるようになっておきます。
基礎編は、「問題を解いて点数を獲得する」というよりかは、「いかにして点数を落とさないか」が眼目です。
昨今の難化した傾向に惑わされず、がんばってください!
最後に実技試験について述べておきます。
先述したように、実技試験は一種の“卒業試験”的なものなので、試験試験していません。
きんざいの実技の合格率は「70%台」で、FP協会のそれは「90%台」です。
合格率からして心配することはなく、学科をパスできた人なら、実技はまず通ることでしょう。
勉強方法云々は、「実技試験・教材レビュー」や「1級FP技能士・合格体験記」をお目汚し下されば、大方のものはつかめるように思います。
FP技能士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。興味のある方は、「FP技能士:ブログ記事」をばご参考ください。
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